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第十話
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「ほぉー・・・これが僕の身分証・・・」
アレクは『冒険所ギルド』で発行してもらった身分証通称『ギルドプレート』と呼ばれるものををまじまじと見つめていた。それは楕円形のプレートで、ネックレスかもしくはブレスレットにして装備するのが一般的であった。表面はシルバーで統一されているが、裏はランクによって色が変わる。ちなみにアレクは初心者なので白色である。
「プレートはなくした場合は再発行は一応できるけど、なくさないようにしてね!結構な手数料かかっちゃうし。汚れとか傷の場合はそんなにかからないわ。」
「え?そんなに?!き、気を付けます。」
実はレイリアは過去に一度やらかしていた!
アレクはさらにプレートをジーっと見つめて、ふと思い付いた。
「でもこれ思ったんですけど、これってズルしようと思えばできますよね?」
「ズルって?」
「えっと例えばなんですが、犯罪者が身分を隠すのにギルドに登録して、また再犯したら、新しく身分証をギルドに登録するなんてことができちゃうんじゃないかと・・・」
「・・・アレクはその年ですごいこと考えるのね。賢そうとは思っていたけど、やっぱり頭いいのねー!」
レイリアはアレクの頭をわしわしと撫でた。
「い、いや僕だけでなく、誰でも思い付くと思いますよ!」
アレクは恥ずかしそうに本当に凄いとは思っていなかったので、謙遜していた。
「まーでもそれはできないわね。」
「え?できない?」
「うん。ギルドの登録は一回だけって決まってるのよ。」
「え?そうなんですか?素知らぬ顔してでもですか?」
「うん、バレるよ。」
アレクは驚いて、食い気味に聞いてきた。
「ど、どうしてです?」
「さっきも言ったけど、登録は一回。なんでかと言うと、アレクもさっきやったでしょ?採血。」
「あ・・・」
「血を個人登録するために魔法で登録されるのよ。だから同じ血液を再度登録しようとすると、ちゃんと前に登録していることがわかるからはじかれちゃうの。登録時には、そう言ったズルを阻止するために、その場で血を取るし、数人の立会人も必要なのよ。」
実はギルド登録自体はそんなに難しい登録ではなかった。ギルドは成果主義のため、請け負った依頼をきっちり達成できるかどうかにかかっている。ただし、プロセスの過程で人の成果を横取りするなどの不正が行われた場合には、当然それなりのペナルティは課せられる。
「あーなんだ。やっぱり僕が思いつくようなことはとうに対策されてるんですねー」
アレクは少しだけがっかりするも納得していた。
「でもね、年に何人かはそれを知らないで、再登録で捕まってしまう輩も少なからずいるのよ。弾かれた場合は、調査が入るからね。それで悪いことしたことがバレてお縄っていうのも聞いたことあるし。でもアレクの年でそういうことを思い付くのはやっぱり凄いわ。かしこいのねー」
「え、そんなことは、ほめ過ぎですよ。」
アレクは顔を赤くして照れていたが、レイリアはおべんちゃらではなく、本当にそう思っていた。
『ほんと、あの頃の私よりは少し大きいとはいえ、すごくしっかりしてるのよねーまぁ貴族だったらそういう教育を受けていても不思議はないけれど・・・』
レイリアはそう思いつつも、そういえば自分の幼い頃は、家庭教師どころか碌にかまってもらえず放置され、かまってもらえたと思えば、嫌がらせじみたことしかされなかったなと、いやなことを思い出した。
アレクは『冒険所ギルド』で発行してもらった身分証通称『ギルドプレート』と呼ばれるものををまじまじと見つめていた。それは楕円形のプレートで、ネックレスかもしくはブレスレットにして装備するのが一般的であった。表面はシルバーで統一されているが、裏はランクによって色が変わる。ちなみにアレクは初心者なので白色である。
「プレートはなくした場合は再発行は一応できるけど、なくさないようにしてね!結構な手数料かかっちゃうし。汚れとか傷の場合はそんなにかからないわ。」
「え?そんなに?!き、気を付けます。」
実はレイリアは過去に一度やらかしていた!
アレクはさらにプレートをジーっと見つめて、ふと思い付いた。
「でもこれ思ったんですけど、これってズルしようと思えばできますよね?」
「ズルって?」
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「・・・アレクはその年ですごいこと考えるのね。賢そうとは思っていたけど、やっぱり頭いいのねー!」
レイリアはアレクの頭をわしわしと撫でた。
「い、いや僕だけでなく、誰でも思い付くと思いますよ!」
アレクは恥ずかしそうに本当に凄いとは思っていなかったので、謙遜していた。
「まーでもそれはできないわね。」
「え?できない?」
「うん。ギルドの登録は一回だけって決まってるのよ。」
「え?そうなんですか?素知らぬ顔してでもですか?」
「うん、バレるよ。」
アレクは驚いて、食い気味に聞いてきた。
「ど、どうしてです?」
「さっきも言ったけど、登録は一回。なんでかと言うと、アレクもさっきやったでしょ?採血。」
「あ・・・」
「血を個人登録するために魔法で登録されるのよ。だから同じ血液を再度登録しようとすると、ちゃんと前に登録していることがわかるからはじかれちゃうの。登録時には、そう言ったズルを阻止するために、その場で血を取るし、数人の立会人も必要なのよ。」
実はギルド登録自体はそんなに難しい登録ではなかった。ギルドは成果主義のため、請け負った依頼をきっちり達成できるかどうかにかかっている。ただし、プロセスの過程で人の成果を横取りするなどの不正が行われた場合には、当然それなりのペナルティは課せられる。
「あーなんだ。やっぱり僕が思いつくようなことはとうに対策されてるんですねー」
アレクは少しだけがっかりするも納得していた。
「でもね、年に何人かはそれを知らないで、再登録で捕まってしまう輩も少なからずいるのよ。弾かれた場合は、調査が入るからね。それで悪いことしたことがバレてお縄っていうのも聞いたことあるし。でもアレクの年でそういうことを思い付くのはやっぱり凄いわ。かしこいのねー」
「え、そんなことは、ほめ過ぎですよ。」
アレクは顔を赤くして照れていたが、レイリアはおべんちゃらではなく、本当にそう思っていた。
『ほんと、あの頃の私よりは少し大きいとはいえ、すごくしっかりしてるのよねーまぁ貴族だったらそういう教育を受けていても不思議はないけれど・・・』
レイリアはそう思いつつも、そういえば自分の幼い頃は、家庭教師どころか碌にかまってもらえず放置され、かまってもらえたと思えば、嫌がらせじみたことしかされなかったなと、いやなことを思い出した。
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