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224:ジョアンナの葛藤~前編~
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ローエングリン家の執務室にて__
「なっ!セレスティアが結婚ですって?!い、いつの間に?」
セレスティアの義母ジョアンナはセレスティアが結婚すると聞いてかなり驚いていた。
何せ自分が縁談話を持っていった時には、セレスティアが全然乗り気ではなかったことから、セレスティアはてっきり竜騎士のまま独身を貫くのだろうと思っていたからだ。
「あぁ、歳は少し遅くなったかもしれんが、ようやくな。セレスティアの夫となるカイエル殿は、目の覚めるような美男子だぞ。」
セスは嬉しそうにジョアンナに話をしていた。ぶっきらぼうな性格は置いておいて、見目に置いてはカイエルは突出して美形であるのは間違いなかった。
「お相手の方はカイエル様・・・と仰るのね。で、どこのご子息なのかしら?」
ジョアンナは怪訝そうにセスに聞いた。
「あーまぁ竜騎士の関連でな、騎士爵のお方だ。」
カイエルが『竜の祖』であることは言えないので、とりあえず決まっている『騎士爵』であることは告げた。
「騎士爵ですって?・・・まぁセレスティアには調度いいかもですわね。」
ジョアンナの物言いにセスは引っかかりを覚えた。
「・・・そういうものの言い方は感心しないな。」
「あら、旦那様だって・・・騎士爵なんて、一代限りでしょ?つまりは元は平民だと思いますし・・・・まぁ一応何かしら武勲を立てれば爵位は上がるのかもしれませんけど、ソフィアの嫁ぎ先に比べたら・・ねぇ?」
ジョアンアは優越感を含んだいやらしい笑みを浮かべていた。自分の実子であるソフィアは貴族の中でも高位の侯爵家に嫁いだが、セレスティアが貴族の爵位では低い騎士爵と聞いて、マウントを取った気になっていたのだ。
「いい加減にしないか!」
「!!」
ジョアンナの態度にセスは叱責した。
「今は私も引退したが、仮にも私も騎士をしていたのに、何という言い草だ?騎士爵になった平民とお前は言うが、逆に言えば、それだけの実力があるからだ。ある意味ただ代々貴族だからと受け継いでる者に比べれば、私は骨があると思っているけどね。」
「あ・・・」
今は自身の伯爵家をディーンに引き継ぐために、セスは騎士職を引退していたのだ。セスの叱責にジョアンナは真っ青になっていたが、その様子にセスは溜息混じりに話を続けた。
「・・・ジョアンナお前が私に献身的に尽してる様は本当に有難いとは思っている。だが、なぜお前は昔からセレスティアに対して当たりが強いんだ?」
「・・・・・」
ジョアンナは俯きながら、下唇を噛んでいた。
「セレスティアがお前に何かしたのなら、私もセレスティアに改めるように言っておこう。何かあったのか?」
「それは・・・」
ジョアンナは、言い淀んでいた。逆はあってもセレスティアから何かをされたことなどないからだ。
「・・・言える訳がないだろうな。セレスティアは騎士学校に入ってからは、ほとんど家には寄り付いていないのだから。昔からいや、お前は私が見ていないところでは、セレスティアに対して厳しい・・・いや虐待紛いなこともしていたようだったからな。」
「!」
セスは知っていた。だが、セレスティア騎士学校に入ってからは、ジョアンナやソフィアとはほとんど接点がなくなったために、そういった行為が激減したので、敢えて今まで話に出さなかったのだ。
「・・・私も悪かったとは思ってる。セレスティアが私に言ってこないことをいいことに、あの子の我慢強さに甘えてしまった。騎士学校に入学してから、家との接点はあまりなかったからな。それ故トラブルがほとんどなかったことから、私も黙認していたのだから・・・」
セスは後悔していた。今は問題がないからと、あえて蒸し返す必要はないのかもしれないと、そのままなあなあにしていたことに。そしてセスはなぜジョアンナがセレスティアに対して、当たりが強いのか今は知っていた。
「・・・ティーニアの面影があるセレスティアが気に入らないのか?」
「!!」
セスに核心を突かれ、ジョアンナは思わず顔を上げた。そしてその顔は見る見るうちに怒りを顕わにしていった。
「そうよ・・・そうよ!!気にいらなかったわ!ティーニアの面影があるあの子が!セレスティアを見るたびに、ティーニアがいるようで、気に入らなかったわよ!!」
ジョアンナは昔から、セレスティアの生みの母ティーニアが嫌いだった。大嫌いだったのだ。
「ジョアンナ・・・」
セスは憐憫の眼差しでジョアンナを見つめていた。
「なっ!セレスティアが結婚ですって?!い、いつの間に?」
セレスティアの義母ジョアンナはセレスティアが結婚すると聞いてかなり驚いていた。
何せ自分が縁談話を持っていった時には、セレスティアが全然乗り気ではなかったことから、セレスティアはてっきり竜騎士のまま独身を貫くのだろうと思っていたからだ。
「あぁ、歳は少し遅くなったかもしれんが、ようやくな。セレスティアの夫となるカイエル殿は、目の覚めるような美男子だぞ。」
セスは嬉しそうにジョアンナに話をしていた。ぶっきらぼうな性格は置いておいて、見目に置いてはカイエルは突出して美形であるのは間違いなかった。
「お相手の方はカイエル様・・・と仰るのね。で、どこのご子息なのかしら?」
ジョアンナは怪訝そうにセスに聞いた。
「あーまぁ竜騎士の関連でな、騎士爵のお方だ。」
カイエルが『竜の祖』であることは言えないので、とりあえず決まっている『騎士爵』であることは告げた。
「騎士爵ですって?・・・まぁセレスティアには調度いいかもですわね。」
ジョアンナの物言いにセスは引っかかりを覚えた。
「・・・そういうものの言い方は感心しないな。」
「あら、旦那様だって・・・騎士爵なんて、一代限りでしょ?つまりは元は平民だと思いますし・・・・まぁ一応何かしら武勲を立てれば爵位は上がるのかもしれませんけど、ソフィアの嫁ぎ先に比べたら・・ねぇ?」
ジョアンアは優越感を含んだいやらしい笑みを浮かべていた。自分の実子であるソフィアは貴族の中でも高位の侯爵家に嫁いだが、セレスティアが貴族の爵位では低い騎士爵と聞いて、マウントを取った気になっていたのだ。
「いい加減にしないか!」
「!!」
ジョアンナの態度にセスは叱責した。
「今は私も引退したが、仮にも私も騎士をしていたのに、何という言い草だ?騎士爵になった平民とお前は言うが、逆に言えば、それだけの実力があるからだ。ある意味ただ代々貴族だからと受け継いでる者に比べれば、私は骨があると思っているけどね。」
「あ・・・」
今は自身の伯爵家をディーンに引き継ぐために、セスは騎士職を引退していたのだ。セスの叱責にジョアンナは真っ青になっていたが、その様子にセスは溜息混じりに話を続けた。
「・・・ジョアンナお前が私に献身的に尽してる様は本当に有難いとは思っている。だが、なぜお前は昔からセレスティアに対して当たりが強いんだ?」
「・・・・・」
ジョアンナは俯きながら、下唇を噛んでいた。
「セレスティアがお前に何かしたのなら、私もセレスティアに改めるように言っておこう。何かあったのか?」
「それは・・・」
ジョアンナは、言い淀んでいた。逆はあってもセレスティアから何かをされたことなどないからだ。
「・・・言える訳がないだろうな。セレスティアは騎士学校に入ってからは、ほとんど家には寄り付いていないのだから。昔からいや、お前は私が見ていないところでは、セレスティアに対して厳しい・・・いや虐待紛いなこともしていたようだったからな。」
「!」
セスは知っていた。だが、セレスティア騎士学校に入ってからは、ジョアンナやソフィアとはほとんど接点がなくなったために、そういった行為が激減したので、敢えて今まで話に出さなかったのだ。
「・・・私も悪かったとは思ってる。セレスティアが私に言ってこないことをいいことに、あの子の我慢強さに甘えてしまった。騎士学校に入学してから、家との接点はあまりなかったからな。それ故トラブルがほとんどなかったことから、私も黙認していたのだから・・・」
セスは後悔していた。今は問題がないからと、あえて蒸し返す必要はないのかもしれないと、そのままなあなあにしていたことに。そしてセスはなぜジョアンナがセレスティアに対して、当たりが強いのか今は知っていた。
「・・・ティーニアの面影があるセレスティアが気に入らないのか?」
「!!」
セスに核心を突かれ、ジョアンナは思わず顔を上げた。そしてその顔は見る見るうちに怒りを顕わにしていった。
「そうよ・・・そうよ!!気にいらなかったわ!ティーニアの面影があるあの子が!セレスティアを見るたびに、ティーニアがいるようで、気に入らなかったわよ!!」
ジョアンナは昔から、セレスティアの生みの母ティーニアが嫌いだった。大嫌いだったのだ。
「ジョアンナ・・・」
セスは憐憫の眼差しでジョアンナを見つめていた。
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