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125:『竜紋』
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ハインツは、5年縛りが終了した後、セレスティアと同じように宿舎を出た。現在はラーファイルとフィンとで2人と1匹で暮らし始めたばかりであった。住処はやはり、住宅街からは少々離れており、家ではラーファイルがユージィンは邸のメイドのジェシーに鍛えられた家事スキルを惜しみなく発揮していた。
今日ハインツは辞令を言われたことで、しばらく家に帰れなくなることを帰宅早々にラーファイルに告げていた。
「そうなんだ・・・」
「ごめんな。せっかく一緒に住めるようになったばかりだって言うのに。」
「ううん、お仕事だもの、仕方ないよ!」
ラーファイルは残念に思ったものの、仕事で駄々をこねる訳にはいかないと、顔には出さないように努めていた。そんな顔をハンイツはじーと見つめ、ラーファイルが落ち込んでいるとわかった。
「この埋め合わせは必ずするから。」
「そんなのいいよ!そんなことより・・・」
「そんなことより?」
まさか、そんなことと、言われると思ってなかったハインツはちょっとだけ地味にショックを受けていた。
「無事に帰ってきてね?何となく胸騒ぎがするんだ。」
「おいおい、怖いこと言うなよ。」
ハインツもラーファイルから只ならぬモノ感じたが、それを受け入れたくなくて少し茶化した物言いになったが、
「ハインツ!僕は真面目だよ?」
ラーファイルはハインツの顔を真剣に見つめていたので、ハインツも茶化した態度はやめておいた。
「・・・わかった。ラーファイルがそう言うなら、きっとそうなんだろう。用心しておくよ。」
ハインツはラーファイルを安心させるように、柔らかな笑みを向けた。
「うん、お願いね。」
ラーファイルはハンイツの身体の胸あたりにそっと手を置き、人差し指でなぞっていった。
「・・・僕の加護が刻まれているから、少々の事では大丈夫とは思うんだけどね。でも用心にこしたことはないし。」
「加護?ってあぁ、これのことか。」
ハインツは上半身の服を捲って見せた。鍛え抜かれた身体には、刺青のような『竜紋』の模様があった。『竜紋』は、番の竜によって模様も色も異なる。ハインツの場合は薄い緑色で、上半身の胸のところに竜を象ったような模様が浮き出ていた。これは心身共に、竜の番になったという証しであり、同時に竜の加護が得られるものなのだ。
「時間があったら、もっと濃くしてやるのに・・・」
そう言いながらラーファイルは、今度は直にハインツの『竜紋』の痕を指でなぞった。
「え?これって濃くなるの?」
ハインツは自身の服をさらに捲って竜紋を見て驚いていた。
「くふふふふ、そうだよ~竜精がもっと入るとさらにくっきりと濃くなって、加護も強固になるからね。まだ日が浅いから今はこんなもんだけど・・・」
「へぇ・・・これがねぇ・・・ん?ということは、団長やフェルディナント王子、セレスティアにも同じようなモノがあるのか?」
ハインツは、ラーファイルの話からそうなのだろうとは思ったが、念のため聞いてみた。
「んー?どうだろうわからないなぁ。正直自分以外の身体の関係まで僕わかんないからね。まぁ交尾してたらあると思うよ。」
あっけらかんとラーファイルは言うが、ハインツは少し自己嫌悪に陥っていた。
「そうか、これがあるってことは、肉体関係がありましたって、丸わかるなんだな・・・」
「ん?そうだけど、何か問題が?」
ラーファイルは何を当たり前のことを今更言ってるのだろうと、ハインツの方を見て不思議に思っていた。
「いや、うん。いいんだ。そっか・・・」
ハインツは恥ずかしさで、しゃがみながら顔を覆い真っ赤にさせていた。
今日ハインツは辞令を言われたことで、しばらく家に帰れなくなることを帰宅早々にラーファイルに告げていた。
「そうなんだ・・・」
「ごめんな。せっかく一緒に住めるようになったばかりだって言うのに。」
「ううん、お仕事だもの、仕方ないよ!」
ラーファイルは残念に思ったものの、仕事で駄々をこねる訳にはいかないと、顔には出さないように努めていた。そんな顔をハンイツはじーと見つめ、ラーファイルが落ち込んでいるとわかった。
「この埋め合わせは必ずするから。」
「そんなのいいよ!そんなことより・・・」
「そんなことより?」
まさか、そんなことと、言われると思ってなかったハインツはちょっとだけ地味にショックを受けていた。
「無事に帰ってきてね?何となく胸騒ぎがするんだ。」
「おいおい、怖いこと言うなよ。」
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「ハインツ!僕は真面目だよ?」
ラーファイルはハインツの顔を真剣に見つめていたので、ハインツも茶化した態度はやめておいた。
「・・・わかった。ラーファイルがそう言うなら、きっとそうなんだろう。用心しておくよ。」
ハインツはラーファイルを安心させるように、柔らかな笑みを向けた。
「うん、お願いね。」
ラーファイルはハンイツの身体の胸あたりにそっと手を置き、人差し指でなぞっていった。
「・・・僕の加護が刻まれているから、少々の事では大丈夫とは思うんだけどね。でも用心にこしたことはないし。」
「加護?ってあぁ、これのことか。」
ハインツは上半身の服を捲って見せた。鍛え抜かれた身体には、刺青のような『竜紋』の模様があった。『竜紋』は、番の竜によって模様も色も異なる。ハインツの場合は薄い緑色で、上半身の胸のところに竜を象ったような模様が浮き出ていた。これは心身共に、竜の番になったという証しであり、同時に竜の加護が得られるものなのだ。
「時間があったら、もっと濃くしてやるのに・・・」
そう言いながらラーファイルは、今度は直にハインツの『竜紋』の痕を指でなぞった。
「え?これって濃くなるの?」
ハインツは自身の服をさらに捲って竜紋を見て驚いていた。
「くふふふふ、そうだよ~竜精がもっと入るとさらにくっきりと濃くなって、加護も強固になるからね。まだ日が浅いから今はこんなもんだけど・・・」
「へぇ・・・これがねぇ・・・ん?ということは、団長やフェルディナント王子、セレスティアにも同じようなモノがあるのか?」
ハインツは、ラーファイルの話からそうなのだろうとは思ったが、念のため聞いてみた。
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あっけらかんとラーファイルは言うが、ハインツは少し自己嫌悪に陥っていた。
「そうか、これがあるってことは、肉体関係がありましたって、丸わかるなんだな・・・」
「ん?そうだけど、何か問題が?」
ラーファイルは何を当たり前のことを今更言ってるのだろうと、ハインツの方を見て不思議に思っていた。
「いや、うん。いいんだ。そっか・・・」
ハインツは恥ずかしさで、しゃがみながら顔を覆い真っ赤にさせていた。
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