117 / 233
116:ソフィアの片思い~前編~
しおりを挟む
「えーとお嬢さん、どういったご用件で?」
ソフィアは何故か、竜騎士団支部の門の付近でウロウロとしていた。軍施設に貴族の婦女子が来ることなど、家族以外では普通はあまりないのである。何せ飛竜を扱う軍部であることから、未婚の女性は家族と婚約者以外は本来訪問することも禁じられているからだ。
「こ、ここに黒髪で金色の目の背の高い男性がいたと思うの。その方に御目通りさせていただけないかしら?」
ソフィアは思い切って門番に聞いてみた。だが先にもあるように、竜騎士団支部は仕事以外では身内と婚約者以外の面会は許可できない。それによくある話だったのだ。若い女性が竜騎士に懸想して凸してくることは。門番はソフィアも、そういった類なのだろうと思い、
「あー悪いけど、お嬢さん。ここではそういったことは受け付けていないんだよ。ここにはまして飛竜もいるからね。危ないから帰りなさい。」
「くっ」
けんもほろろに追い返されそうになった。だが、ソフィアには秘策があったのだ。
「・・・で、どうして貴方が私に会いに来たのかしら?」
セレスティアは怪訝な顔をソフィアに向けていた。
ここは竜騎士団支部の中にある、面会室である。門番から、セレスティアの身内であるソフィアが面会に来たと知らせがあり、ここでご対面となった訳であるが・・・
ソフィアは確かにセレスティアとは名目上では姉妹ではあるものの、今までの経緯から仲は決して良くはない。セレスティアもまさかソフィアが訪問するなど有り得ないと思っていた。それ故、ソフィアが自分に面会をしにわざわざ来たのは何か裏があると確信していた。
「・・・・別にたまたま近くを通ったから見にきただけよ。」
「たまたまねぇ・・・」
竜騎士支部は軍部施設である故、繁華街からは離れている。到底たまたま近くを通ったというには少々無理があるのだ。意図的に来たとしか考えられなかった。
「単刀直入に聞くけど、何の目的でここに来たの?」
「も、目的なんて?!」
ソフィアは明らかに動揺していた。思い切りわかり易いくらいに。
「た、たまたまって言ったでしょ!」
「私が学生の頃に寮に入っていた時でさえ、一度も来たこともない貴方が?わざわざこんなところまで?たまたまで?へぇ~」
セレスティアは明らかに、何か意図をもってここに来たであろうソフィアに容赦はなかった。
「くうっ!」
「何の目的があってか知らないけれど、私もこう見えて忙しいの。何も言えないならお引き取り願えないかしら?」
ソフィアが何か意図があるのわかるが、口を割る気はないようだ。であれば、セレスティアとしてはいつまでも付き合ってやる義理はないゆえ、セレスティアは早々に見切りをつけた。
「会いたかったのよ・・・」
「え?」
セレスティアはこの場から立ち去ろうと、椅子から立ち上がったのだが、話す気はないだろうと思っていたソフィアが何かを口走ったことで、その動作は止まった。
「会いたかった?一体誰に?」
この中でソフィアが知っていると言えば、自分と叔父であるユージィンくらいだ。その他だと誰の事なのかと思ったら、
「あんたが、この間家に連れてきていたでしょ?!黒い髪の金色の目の背の高い男性よ!!その人に会いに来たのよ!!」
ソフィアは顔を真っ赤にしながら一気にまくし立てた。
「え・・・まさか・・・」
さすがにセレスティアも誰の事を言っているのかわかっった。ソフィアがわざわざここまで来たのは、カイエルに会いにきたのだと。そしてそれがただならぬ感情を持っていることにも、ソフィアの赤くなった顔を見て、合点がいったのだ。
ソフィアは何故か、竜騎士団支部の門の付近でウロウロとしていた。軍施設に貴族の婦女子が来ることなど、家族以外では普通はあまりないのである。何せ飛竜を扱う軍部であることから、未婚の女性は家族と婚約者以外は本来訪問することも禁じられているからだ。
「こ、ここに黒髪で金色の目の背の高い男性がいたと思うの。その方に御目通りさせていただけないかしら?」
ソフィアは思い切って門番に聞いてみた。だが先にもあるように、竜騎士団支部は仕事以外では身内と婚約者以外の面会は許可できない。それによくある話だったのだ。若い女性が竜騎士に懸想して凸してくることは。門番はソフィアも、そういった類なのだろうと思い、
「あー悪いけど、お嬢さん。ここではそういったことは受け付けていないんだよ。ここにはまして飛竜もいるからね。危ないから帰りなさい。」
「くっ」
けんもほろろに追い返されそうになった。だが、ソフィアには秘策があったのだ。
「・・・で、どうして貴方が私に会いに来たのかしら?」
セレスティアは怪訝な顔をソフィアに向けていた。
ここは竜騎士団支部の中にある、面会室である。門番から、セレスティアの身内であるソフィアが面会に来たと知らせがあり、ここでご対面となった訳であるが・・・
ソフィアは確かにセレスティアとは名目上では姉妹ではあるものの、今までの経緯から仲は決して良くはない。セレスティアもまさかソフィアが訪問するなど有り得ないと思っていた。それ故、ソフィアが自分に面会をしにわざわざ来たのは何か裏があると確信していた。
「・・・・別にたまたま近くを通ったから見にきただけよ。」
「たまたまねぇ・・・」
竜騎士支部は軍部施設である故、繁華街からは離れている。到底たまたま近くを通ったというには少々無理があるのだ。意図的に来たとしか考えられなかった。
「単刀直入に聞くけど、何の目的でここに来たの?」
「も、目的なんて?!」
ソフィアは明らかに動揺していた。思い切りわかり易いくらいに。
「た、たまたまって言ったでしょ!」
「私が学生の頃に寮に入っていた時でさえ、一度も来たこともない貴方が?わざわざこんなところまで?たまたまで?へぇ~」
セレスティアは明らかに、何か意図をもってここに来たであろうソフィアに容赦はなかった。
「くうっ!」
「何の目的があってか知らないけれど、私もこう見えて忙しいの。何も言えないならお引き取り願えないかしら?」
ソフィアが何か意図があるのわかるが、口を割る気はないようだ。であれば、セレスティアとしてはいつまでも付き合ってやる義理はないゆえ、セレスティアは早々に見切りをつけた。
「会いたかったのよ・・・」
「え?」
セレスティアはこの場から立ち去ろうと、椅子から立ち上がったのだが、話す気はないだろうと思っていたソフィアが何かを口走ったことで、その動作は止まった。
「会いたかった?一体誰に?」
この中でソフィアが知っていると言えば、自分と叔父であるユージィンくらいだ。その他だと誰の事なのかと思ったら、
「あんたが、この間家に連れてきていたでしょ?!黒い髪の金色の目の背の高い男性よ!!その人に会いに来たのよ!!」
ソフィアは顔を真っ赤にしながら一気にまくし立てた。
「え・・・まさか・・・」
さすがにセレスティアも誰の事を言っているのかわかっった。ソフィアがわざわざここまで来たのは、カイエルに会いにきたのだと。そしてそれがただならぬ感情を持っていることにも、ソフィアの赤くなった顔を見て、合点がいったのだ。
10
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
婚約解消された私はお飾り王妃になりました。でも推しに癒されているので大丈夫です!
初瀬 叶
恋愛
王宮に呼ばれ、案内された部屋に入ると錚々たる顔ぶれに怯みそうになる。
そこには、国王陛下、側妃であるライラ妃、王太子殿下、私の父であるオーヴェル侯爵、そして、私の婚約者…いや、元婚約者であるジュネ公爵令息のセドリック・ジュネ様が私を待ち構えていた。
私の名前はクロエ。オーヴェル侯爵の長女としてこの世に生を受けた。現在20歳。
ちなみに私には前世の記憶がある。所謂、異世界転生というやつだ。
そんな私が婚約解消されました。で、なんでお飾りの王妃に?
でも、側で推しが私を癒してくれるそうです。なら大丈夫?!
※ 私の頭の中の異世界のお話です。史実に基づいたものではありません。
※設定もふんわり、ゆるゆるです。
※R15にしています。詳しい性描写はありませんが、匂わせる描写や直接的な単語を使用する予定です。
※2022.10.25 14話と16話と24話のクロエの名前、オーヴェルがオーウェンとなっておりましたので、訂正させて頂きました。読者の皆様に混乱を招いてしまったかと思います。申し訳ありません。
※2022.10.26 HOTランキング1位を獲得する事が出来ました。たくさんの方に読んでいただける事が、とても励みになっています。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
※2022.11.13 ジーク・ロイドの婚約者の名前をマイラからアリシエに変更させて頂きました。同じ名前が重複していた為です。申し訳ありません。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる