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43:ラーファイルの特殊事情~後編~
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「あ~そうねぇ、確かにややこしいもね、兄さま。」
合点がいったようで、イシュタルは納得した。
「な!俺のどこがややこしいんだよ!可愛くっていう理想については間違ってないぞ!」
確かに、声と話し方はあれだが、見た目は可愛らしい女性ではあった。だが、理想という言葉に引っ掛かりを覚えたセレスティアは疑問を口にした。
「理想?」
「セレスティア、私達は番と同じ種族に形態を変えるって話をしたでしょ?」
「はい・・・」
「あれにはまだ続きがあってね。私達はできるだけ、番の期待に応える形になるのよ。」
んっ??とセレスティアは思った。(ってことは、カイエルのあの姿は、まさか!)ハインツを見るとバツが悪そうに目を逸らした。
「もしかして、番の理想のタイプってやつでしょうか?」
「そうよ。完全合致とまではいかないかもだけど、できるだけ番の理想のタイプにはなれるようになってるわね♪」
と、いい笑顔の回答だった。
「僕、恥ずかしいんだけど!」
ハインツを顔を手で覆っていた。セレスティアも真っ赤になっていた。まさかカイエルが自分の理想に沿って人化しているとは思っていなかったである。ということは、ハインツも理想は可愛い系の女の子(少なくともラーファイルの見た目は)な訳で、ユージィンに至っては何故か腕を組んでうんうんと頷いていた。
「そりゃそーだよ!番とは上手くやっていきたいからね、」
ラーファイルが言うも、まさかの新事実にセレスティアもハンイツも居た堪れなくなった。セレスティアは今まで竜騎士になる為に、恋愛ごとはそっちのけでいろいろと頑張ってきていたのだが、まさか無意識化では、理想のタイプがアレだったのかと思うと、納得できる部分もあれば認めたくない自分もいて、複雑な心境であった。そんなことを思っていたら、ハインツが口を開いた。
「で、さっきの質問なんだけど、結局どうなんだろう?」
(そうだった、私もこれがすごく気になってたんだった。)話は少し脱線したが、そうラーファイルの性別を知りたかったのである。
「えーと、俺が男か女かってこと?」
「うん。」
「うーん・・・それはどっちになるのかな?」
「「え?」」
「兄さま、それじゃ全然伝わらないわよ。ハンイツ、兄さまはね、男でもあり、女でもあるのよ。」
「「え??」」
イシュタルの言葉にセレスティアもハインツも余計に訳が分からなかったが、ユージィンがその疑問に応えてくれた。
「いわゆるね、両性具有ってやつだよ。」
「「!!!」」
聞いたことはある。滅多といないが、稀に男女両性を備えている生物がいるということは二人とも知っていた。
「えーと何か不味かった?」
ラーファイルはキョトンとした感じ本人はさほど気にした感じではなかった。思っていたよりもディープな事情だったので、セレスティアもハインツも慌てて首を横に何度も振った。
「ごめんね。知らなかったとはいえ、そんな事情だったとは。」
ハインツはラーファイルに頭を下げた。
「え?俺そんなの気にしてないよ!だからハンイツが謝ることじゃないから、頭を上げて!」
ラーファイルも慌ててハインツに頭を上げるよう説得した。ハインツは少し冷静になり、自分なりに考えをまとめたようであった。
「だけど、なんで僕なのかな?っだって僕は平民だし、まぁ今回は努力が実って竜騎士は慣れたけど、ごく普通の一般人だと自覚はしているからね。竜の番と言われてもちょっとピンとこないというか、今聞いたばかりなので、頭の中で整理できていないのもあるんだけど・・・」
ハインツは、なぜ自分が番なのか納得できていないようであった。
「んー?俺難しいことはわからないけどさ、俺達はね、ただ約束を守っているだけなんだよ。」
「約束?」
ハインツは約束という言葉も、身に覚えがないことから怪訝な顔をした。
「そう。ハンイツは全然覚えていないんだろうけどね、魂の約束。だから俺は会いに来たんだよ。」
ラーファイルは少し物悲しいも懐かしい顔で、ハインツを見つめていた。
合点がいったようで、イシュタルは納得した。
「な!俺のどこがややこしいんだよ!可愛くっていう理想については間違ってないぞ!」
確かに、声と話し方はあれだが、見た目は可愛らしい女性ではあった。だが、理想という言葉に引っ掛かりを覚えたセレスティアは疑問を口にした。
「理想?」
「セレスティア、私達は番と同じ種族に形態を変えるって話をしたでしょ?」
「はい・・・」
「あれにはまだ続きがあってね。私達はできるだけ、番の期待に応える形になるのよ。」
んっ??とセレスティアは思った。(ってことは、カイエルのあの姿は、まさか!)ハインツを見るとバツが悪そうに目を逸らした。
「もしかして、番の理想のタイプってやつでしょうか?」
「そうよ。完全合致とまではいかないかもだけど、できるだけ番の理想のタイプにはなれるようになってるわね♪」
と、いい笑顔の回答だった。
「僕、恥ずかしいんだけど!」
ハインツを顔を手で覆っていた。セレスティアも真っ赤になっていた。まさかカイエルが自分の理想に沿って人化しているとは思っていなかったである。ということは、ハインツも理想は可愛い系の女の子(少なくともラーファイルの見た目は)な訳で、ユージィンに至っては何故か腕を組んでうんうんと頷いていた。
「そりゃそーだよ!番とは上手くやっていきたいからね、」
ラーファイルが言うも、まさかの新事実にセレスティアもハンイツも居た堪れなくなった。セレスティアは今まで竜騎士になる為に、恋愛ごとはそっちのけでいろいろと頑張ってきていたのだが、まさか無意識化では、理想のタイプがアレだったのかと思うと、納得できる部分もあれば認めたくない自分もいて、複雑な心境であった。そんなことを思っていたら、ハインツが口を開いた。
「で、さっきの質問なんだけど、結局どうなんだろう?」
(そうだった、私もこれがすごく気になってたんだった。)話は少し脱線したが、そうラーファイルの性別を知りたかったのである。
「えーと、俺が男か女かってこと?」
「うん。」
「うーん・・・それはどっちになるのかな?」
「「え?」」
「兄さま、それじゃ全然伝わらないわよ。ハンイツ、兄さまはね、男でもあり、女でもあるのよ。」
「「え??」」
イシュタルの言葉にセレスティアもハインツも余計に訳が分からなかったが、ユージィンがその疑問に応えてくれた。
「いわゆるね、両性具有ってやつだよ。」
「「!!!」」
聞いたことはある。滅多といないが、稀に男女両性を備えている生物がいるということは二人とも知っていた。
「えーと何か不味かった?」
ラーファイルはキョトンとした感じ本人はさほど気にした感じではなかった。思っていたよりもディープな事情だったので、セレスティアもハインツも慌てて首を横に何度も振った。
「ごめんね。知らなかったとはいえ、そんな事情だったとは。」
ハインツはラーファイルに頭を下げた。
「え?俺そんなの気にしてないよ!だからハンイツが謝ることじゃないから、頭を上げて!」
ラーファイルも慌ててハインツに頭を上げるよう説得した。ハインツは少し冷静になり、自分なりに考えをまとめたようであった。
「だけど、なんで僕なのかな?っだって僕は平民だし、まぁ今回は努力が実って竜騎士は慣れたけど、ごく普通の一般人だと自覚はしているからね。竜の番と言われてもちょっとピンとこないというか、今聞いたばかりなので、頭の中で整理できていないのもあるんだけど・・・」
ハインツは、なぜ自分が番なのか納得できていないようであった。
「んー?俺難しいことはわからないけどさ、俺達はね、ただ約束を守っているだけなんだよ。」
「約束?」
ハインツは約束という言葉も、身に覚えがないことから怪訝な顔をした。
「そう。ハンイツは全然覚えていないんだろうけどね、魂の約束。だから俺は会いに来たんだよ。」
ラーファイルは少し物悲しいも懐かしい顔で、ハインツを見つめていた。
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