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19:卒業プロムの準備~前編~
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『竜の御目通り』から一ヶ月ほど経ったのだが、竜の就任式の前に、騎士学校の卒業式がある。(本来は騎士全般の就任式であるが、竜騎士の就任ついては名物になったことから『竜の就任式』というのが通称になっている。)
そして卒業式直後には他の学校や学院と同じようにプロムがあるのだ。だが、騎士学校は圧倒的に男子比率が高い。そういうわけでダンスは男女ペアとなっていることから、パートナーを他所から調達しなければいけないのだ。
貴族であれば、婚約者がいる者もいるので当然婚約者がパートナーとなるのだが、特に竜騎士を目指していたものは、縁談そのものを受け付けていなかったので、貴族といえど婚約者がいない者も多数いた。となると、やはり他所から調達しなければいけないのだが、パートナーの決まりは特にないので、身内でも友人も構わなかった。
「あ、兄さまに言っとかないと。」
当然セレスティアは婚約者などいなかったので、悩む必要もなく無難に兄のディーンにパートナーをお願いしようと思っていた。それに飲み会に行っただけで、焼もちを焼くカイエルだ。きっと他人と密接してダンスなどしたら、また嫉妬するのは火を見るよりも明らかであったからである。
ちなみに兄のディーンは5年前に優秀な成績で騎士学校を卒業し、今は近衛騎士として、王子の警護に当たっていた。
新人の竜騎士たちとしては、実はこのプロムが5年の恋愛禁止縛りがある為、唯一の大義名分の元に、女性と密接できるチャンスなのだ。
「セレスティアは、ダメだろうな。」
ノアベルトがわざと真剣な顔をして言った。
「うっ!いちいち言われなくてもわかってるよ!」
ルッツはうんざりした顔でいった。本当は初めはダメ元で誘うつもりにしていた。セレスティアが竜騎士になったまではいい、だがカイエルというパートナーであることから、ルッツは誘うのを断念したのだ。訓練時もカイエルからジト目で見られており、まるでルッツの恋心を見透かすような視線に、誘うのを諦めることにした。あの視線が何を意味するのか、それがわからないほどルッツは野暮ではなかった。
「あのヤキモチ焼きのカイエルがいるからな。さすがにお前も嚙みつかれたくないもんな。」
すると、途端にニヤニヤし始めて、ルッツをからかった。
「当たり前だよ!ダンス踊っただけで、噛みつかれたくないよ!犬や猫じゃないレベルだし!」
通常であればダンスくらいとは思うのだが、いかんせんルッツも竜騎士だから、毎日訓練でセレスティアとカイエルと顔を合わせている。もしダンスなど踊った日には、カイエルからどんな報復とか、あの獰猛な強面の目で毎回威嚇されるかもと思ったら、ルッツは落ち着かない生活よりも身の安全を取った、というのが彼の建前だ。
「なんだ、それでもっていう気概を見たかったのに。」
そうノアベルトが茶化すと、
「嫌だよ、毎日何をされるのかと怯えて暮らしたくないよ!」
「まぁ、それもそーか」
「そうだよ。それに・・・セレスティアも気を使うだろ?」
「お~そこまで考えてたのか。」
ノアベルトはルッツはなんだかんだと優しい奴だから、そっちが本心なのだろうとわかった。
「まぁ一応はね。」
「ま、彼女のことだし多分パートナーは兄貴にお願いするんだろうな。」
「だろうね。てか、ノアも人の事より自分はどうなのさ?」
「俺は妹に頼むよ。で、ルッツは結局どうするの?姉貴は確か嫁いだんじゃなかったけ?」
「そうなんだよ。あ~どうしようかな。急遽だしなぁ、多分・・・従妹にお願いするかな。」
と、そろそろプロムの相手を探さないといけないギリギリの期限になっていたわけだが、誰もがそして本人もセレスティアのパートナーは兄であろうと思っていた。ところが、ここで予期せぬ横槍が入ることになってしまったのである。
そして卒業式直後には他の学校や学院と同じようにプロムがあるのだ。だが、騎士学校は圧倒的に男子比率が高い。そういうわけでダンスは男女ペアとなっていることから、パートナーを他所から調達しなければいけないのだ。
貴族であれば、婚約者がいる者もいるので当然婚約者がパートナーとなるのだが、特に竜騎士を目指していたものは、縁談そのものを受け付けていなかったので、貴族といえど婚約者がいない者も多数いた。となると、やはり他所から調達しなければいけないのだが、パートナーの決まりは特にないので、身内でも友人も構わなかった。
「あ、兄さまに言っとかないと。」
当然セレスティアは婚約者などいなかったので、悩む必要もなく無難に兄のディーンにパートナーをお願いしようと思っていた。それに飲み会に行っただけで、焼もちを焼くカイエルだ。きっと他人と密接してダンスなどしたら、また嫉妬するのは火を見るよりも明らかであったからである。
ちなみに兄のディーンは5年前に優秀な成績で騎士学校を卒業し、今は近衛騎士として、王子の警護に当たっていた。
新人の竜騎士たちとしては、実はこのプロムが5年の恋愛禁止縛りがある為、唯一の大義名分の元に、女性と密接できるチャンスなのだ。
「セレスティアは、ダメだろうな。」
ノアベルトがわざと真剣な顔をして言った。
「うっ!いちいち言われなくてもわかってるよ!」
ルッツはうんざりした顔でいった。本当は初めはダメ元で誘うつもりにしていた。セレスティアが竜騎士になったまではいい、だがカイエルというパートナーであることから、ルッツは誘うのを断念したのだ。訓練時もカイエルからジト目で見られており、まるでルッツの恋心を見透かすような視線に、誘うのを諦めることにした。あの視線が何を意味するのか、それがわからないほどルッツは野暮ではなかった。
「あのヤキモチ焼きのカイエルがいるからな。さすがにお前も嚙みつかれたくないもんな。」
すると、途端にニヤニヤし始めて、ルッツをからかった。
「当たり前だよ!ダンス踊っただけで、噛みつかれたくないよ!犬や猫じゃないレベルだし!」
通常であればダンスくらいとは思うのだが、いかんせんルッツも竜騎士だから、毎日訓練でセレスティアとカイエルと顔を合わせている。もしダンスなど踊った日には、カイエルからどんな報復とか、あの獰猛な強面の目で毎回威嚇されるかもと思ったら、ルッツは落ち着かない生活よりも身の安全を取った、というのが彼の建前だ。
「なんだ、それでもっていう気概を見たかったのに。」
そうノアベルトが茶化すと、
「嫌だよ、毎日何をされるのかと怯えて暮らしたくないよ!」
「まぁ、それもそーか」
「そうだよ。それに・・・セレスティアも気を使うだろ?」
「お~そこまで考えてたのか。」
ノアベルトはルッツはなんだかんだと優しい奴だから、そっちが本心なのだろうとわかった。
「まぁ一応はね。」
「ま、彼女のことだし多分パートナーは兄貴にお願いするんだろうな。」
「だろうね。てか、ノアも人の事より自分はどうなのさ?」
「俺は妹に頼むよ。で、ルッツは結局どうするの?姉貴は確か嫁いだんじゃなかったけ?」
「そうなんだよ。あ~どうしようかな。急遽だしなぁ、多分・・・従妹にお願いするかな。」
と、そろそろプロムの相手を探さないといけないギリギリの期限になっていたわけだが、誰もがそして本人もセレスティアのパートナーは兄であろうと思っていた。ところが、ここで予期せぬ横槍が入ることになってしまったのである。
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