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第二章 魔女の森編
第41話 作戦開始!
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「魔女が不死身の奴隷を作り出したのは、おそらく、マンドレイクの栽培をするためだろう」
と、骸骨野郎が言っていたのは、この少し前、五階層の奥へ進む途中のことだった。
このダンジョンが『赤金竜の森』すなわちSランク冒険者になるための登竜門だという話もそのとき聞いていた。
言われてみれば確かにという感じだったが、そのとき俺はある作戦を思いついた。
マンドレイク魔女の家の前で引っこ抜いたら倒せるんじゃねえか?
前に魔女を倒したときも別の方法で気をそらしてその間に不意打ちを食らわして倒したが、今回はマンドレイクがあるんだ。
使わない手はない。
そもそも不死身の奴隷に栽培させて自分は何もしていないところから見て、マンドレイクの悲鳴は魔女にも効くんじゃねえかというのが俺の考えだった。
で、いま、それを実行しようとしているところ。
「一、二、三……ここにいる奴隷は全部で五体か。倒してる間に他の奴隷がやってくるのも困んだけど、そもそも他にいるのか? というか、あそこにお前の友人とやらはいるのか?」
「……いや、見た感じいなそうだ。と言うことは、他にも奴隷がいるとみて間違いないだろう」
どこにいるのかは解らないが、
「ま、見つかる前に処理するか」
ライラに、耳栓つけておけよ、とジェスチャーで示して、俺と骸骨野郎は畑の中に飛び込んでいく。
俺たちの姿に気づいた奴隷たちが武器を構える。
影の姿になっても格好は冒険者のままで鎧やら武器やらは装備している。
と言うか、弓を持ってる奴までそのままマンドレイクを収穫していた。
絶対動きにくいだろ。
まあ鎧を着たまま農作業している時点で動きにくいのは解ってるんだけど。
矢をつがえた冒険者がこちらを狙う。
「私が先行しよう」
骸骨野郎が言ってその巨大な剣を構えた。
矢が飛ぶ。
骸骨野郎の剣がいとも簡単に弾く。
ほとんど盾であるその剣で次々に矢を弾きながら接近。
と、そこに弓の奴隷を守るように剣を構えた男の影が駆けてきた。
連携、なのだろうか。
もしかしたら、元は同じパーティだったのかもしれない。
骸骨野郎が剣を振る。
駆けてきた影はそれを剣で受けようとするが、重量も速度も桁違い、影は剣を押し返され、そのまま首を刎ねられる。
ふらふらと歩く影に骸骨野郎は追撃を食らわし、身体を三つに切ったあたりで影は崩れ球体を成した。
ちなみに、その間に俺の方へ他の三人が駆けてきたので、蹴りを入れ、武器を腕ごと切り飛ばし、なんやかんやと木っ端微塵にして、球体に変えている。
骸骨野郎は影の球体をそのままにして弓の奴隷に接近した。
弓は何度か矢を射ったが、その全てを骸骨野郎は弾き、ついにその首を刎ねた。
五体全部が影の球体になるまでそれほど時間はかからなかったためか、他の影がやってくると言うこともない。
俺は安堵しつつ、ライラを呼ぼうと振り返った。
違和感。
【荒れ地】で培った危険を探知する感覚が警告を鳴らしている。
なんだ?
どこかから見られているような……。
殺気。
俺は眼球をぐるりと動かして、飛んできたそれを掴む。
「ナイフ、か」
薄く、左右対称で、投擲するためだろう、鍔はなく全て金属製、柄もなめらかな形状をしている。
弓の奴隷を倒したばかりの骸骨野郎は何が起きたか理解すらできていないだろう、頭にナイフが突き刺さって、その場に倒れこんでいた。
まあ、すぐ起きるだろうけど。
敵がどこにいるのか解らない。
五人だと思っていたがどうやらそれ以上にいるらしい。
姿を隠し敵を殺すのは暗殺者の技術だろうが、そんな奴がこのダンジョンに入ったんだろうか。
なんのために?
いや、思い出せ。
「そういえばキシリアは探索者も送ったって言ってたな」
探索者の中には暗殺者上がりの奴も少なからずいるって話を聞いたことがある。
多分そうだ。
絶対そうだ。
「だあ、めんどくせえ」
と言いながら、飛んできたナイフをまた掴む。
探索者も冒険者も一般的には並の冒険者より腕が立つ。
つまりここには、何人かただの冒険者よりヤバい奴がいるってことだ。
「それと骸骨野郎の友人もだな」
元王立騎士団所属。
そいつのことも計算に入れなきゃならない。
「割に合うのか、これ?」
またナイフが飛んできて、掴む。
おお、三本になった。
弓でもないのによくこんな物をまっすぐ飛ばせるよな、と関心してしまう。
そこら辺で、骸骨野郎が身体を起こして、
「な……何があった?」
「暗殺者だよ、暗殺者。お前は知らぬ間に殺されたの」
「暗殺者? どうしてそんなのがっ――」
また骸骨野郎の頭に刺さる。
うーん。
「このままだと埒があかねえな。どうすっかな」
そう言いつつ、また飛んできたナイフを掴んだ。
ふむ。
「大体の位置は掴んだ」
反撃開始!
と、骸骨野郎が言っていたのは、この少し前、五階層の奥へ進む途中のことだった。
このダンジョンが『赤金竜の森』すなわちSランク冒険者になるための登竜門だという話もそのとき聞いていた。
言われてみれば確かにという感じだったが、そのとき俺はある作戦を思いついた。
マンドレイク魔女の家の前で引っこ抜いたら倒せるんじゃねえか?
前に魔女を倒したときも別の方法で気をそらしてその間に不意打ちを食らわして倒したが、今回はマンドレイクがあるんだ。
使わない手はない。
そもそも不死身の奴隷に栽培させて自分は何もしていないところから見て、マンドレイクの悲鳴は魔女にも効くんじゃねえかというのが俺の考えだった。
で、いま、それを実行しようとしているところ。
「一、二、三……ここにいる奴隷は全部で五体か。倒してる間に他の奴隷がやってくるのも困んだけど、そもそも他にいるのか? というか、あそこにお前の友人とやらはいるのか?」
「……いや、見た感じいなそうだ。と言うことは、他にも奴隷がいるとみて間違いないだろう」
どこにいるのかは解らないが、
「ま、見つかる前に処理するか」
ライラに、耳栓つけておけよ、とジェスチャーで示して、俺と骸骨野郎は畑の中に飛び込んでいく。
俺たちの姿に気づいた奴隷たちが武器を構える。
影の姿になっても格好は冒険者のままで鎧やら武器やらは装備している。
と言うか、弓を持ってる奴までそのままマンドレイクを収穫していた。
絶対動きにくいだろ。
まあ鎧を着たまま農作業している時点で動きにくいのは解ってるんだけど。
矢をつがえた冒険者がこちらを狙う。
「私が先行しよう」
骸骨野郎が言ってその巨大な剣を構えた。
矢が飛ぶ。
骸骨野郎の剣がいとも簡単に弾く。
ほとんど盾であるその剣で次々に矢を弾きながら接近。
と、そこに弓の奴隷を守るように剣を構えた男の影が駆けてきた。
連携、なのだろうか。
もしかしたら、元は同じパーティだったのかもしれない。
骸骨野郎が剣を振る。
駆けてきた影はそれを剣で受けようとするが、重量も速度も桁違い、影は剣を押し返され、そのまま首を刎ねられる。
ふらふらと歩く影に骸骨野郎は追撃を食らわし、身体を三つに切ったあたりで影は崩れ球体を成した。
ちなみに、その間に俺の方へ他の三人が駆けてきたので、蹴りを入れ、武器を腕ごと切り飛ばし、なんやかんやと木っ端微塵にして、球体に変えている。
骸骨野郎は影の球体をそのままにして弓の奴隷に接近した。
弓は何度か矢を射ったが、その全てを骸骨野郎は弾き、ついにその首を刎ねた。
五体全部が影の球体になるまでそれほど時間はかからなかったためか、他の影がやってくると言うこともない。
俺は安堵しつつ、ライラを呼ぼうと振り返った。
違和感。
【荒れ地】で培った危険を探知する感覚が警告を鳴らしている。
なんだ?
どこかから見られているような……。
殺気。
俺は眼球をぐるりと動かして、飛んできたそれを掴む。
「ナイフ、か」
薄く、左右対称で、投擲するためだろう、鍔はなく全て金属製、柄もなめらかな形状をしている。
弓の奴隷を倒したばかりの骸骨野郎は何が起きたか理解すらできていないだろう、頭にナイフが突き刺さって、その場に倒れこんでいた。
まあ、すぐ起きるだろうけど。
敵がどこにいるのか解らない。
五人だと思っていたがどうやらそれ以上にいるらしい。
姿を隠し敵を殺すのは暗殺者の技術だろうが、そんな奴がこのダンジョンに入ったんだろうか。
なんのために?
いや、思い出せ。
「そういえばキシリアは探索者も送ったって言ってたな」
探索者の中には暗殺者上がりの奴も少なからずいるって話を聞いたことがある。
多分そうだ。
絶対そうだ。
「だあ、めんどくせえ」
と言いながら、飛んできたナイフをまた掴む。
探索者も冒険者も一般的には並の冒険者より腕が立つ。
つまりここには、何人かただの冒険者よりヤバい奴がいるってことだ。
「それと骸骨野郎の友人もだな」
元王立騎士団所属。
そいつのことも計算に入れなきゃならない。
「割に合うのか、これ?」
またナイフが飛んできて、掴む。
おお、三本になった。
弓でもないのによくこんな物をまっすぐ飛ばせるよな、と関心してしまう。
そこら辺で、骸骨野郎が身体を起こして、
「な……何があった?」
「暗殺者だよ、暗殺者。お前は知らぬ間に殺されたの」
「暗殺者? どうしてそんなのがっ――」
また骸骨野郎の頭に刺さる。
うーん。
「このままだと埒があかねえな。どうすっかな」
そう言いつつ、また飛んできたナイフを掴んだ。
ふむ。
「大体の位置は掴んだ」
反撃開始!
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