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第二章 選択する、選択させる

奴隷兵士

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 ナサギ教会のある村は周囲に石造りの塀が張り巡らされた要塞と化していた。もちろん、村の人間で歯向かうやつらはすべて殺した。歯向かわなかった奴らは奴隷にした。
 奴隷にする方法はカマエルに聞いた。俺は殺しすぎたためにレベルが異常なほど上がり、すでにチュートリアルはチュートリアルではなく質問の時となっていた。

「焼き印を押せばいい。ポイントで生成できる」

 俺は迷わず生成し、村の人間たちに押し付けた。
 村の中には醜い悲鳴がこだました。

「うるさい、次」

 生き残ったすべての村人は奴隷となった。シスターたちが奴隷に特級ポーションを使おうとした。

「やめろ」

 俺はシスターを睨んだ。

「しかし……」
「こいつらは教会を利用するだけ利用してろくに還元しなかった奴らだろ」
「お布施をくださる方も中にはいました!」
「お前らの恩に足りるお布施か? 気持ちだけだろ?」
「それでも」

 俺はシスターに近づいて言った。

「いいか、お前たちだけが特別なんだ。俺は恩を感じている。ただ、歯向かうようなら容赦しない。奴隷に落とすだけだ」

 シスターはへたり込んで、震えていた。

「申し訳ありません……。申し訳ありません……」

 
 獣人たちは村を気に入ったようだった。

「本当に安全ですね」

 村長は塀の上についているバリスタを見ていった。

「この近くに人間は住んでいない。思う存分魔物を狩って食料にするといい。街を広げたいときは言ってくれ、塀を拡張する。村の統治は引き続き村長が行ってくれ」
「いいんですか!?」

 村長は目を丸くした。

「ただ、ひとつだけ願いがある」

 俺は村の端にある建物へと村長を連れて行った。その中には奴隷たちが密集していた。

「これは……」
「奴隷だ。全員に戦闘訓練をつけて欲しい。こいつらを使って周りの村を襲い、俺の領域を拡大する」

 俺は扉を閉じて外に出ると、村長の耳元に口を近づけて言った。

「拡大すれば拡大するほど、お前の利益も大きくなるぞ」
「わかりました! 村一番の強者に指導させます」
「殺す気でやって構わない。何なら何人か殺してもいい。どうせ、人間だ」

 俺は笑ってそういった。
 それは純粋な笑みだった。 

 数か月、経過した。奴隷たちの何人かが死んだが、立派に奴隷兵士へと格上げした。彼らは鎧を身にまとい、剣を振っているが、顔は死人のように動かない。私語はない、感情もない。まるで機械みたいに命令に従って、人を殺す。

 俺は何度かほかの村の人間をさらってきては彼らに殺させた。そうやって人間を殺すことに慣れさせていった。他の村を何度も襲い、殺さなければ殺されることを教え込んだ。
 洗脳した。

「並べ!」

 俺が叫ぶと奴隷兵士はぴったり長方形に並んだ。寸分の狂いもない。素晴らしい。
 今や軍勢は500。その中には領主の命令を受けてきたのだろうか、騎士も含まれていた。やつらはいい。訓練されている。

 と、目の前にマップが表示され、1000を超える青い人間の軍勢が迫っているのが見えた。索敵装置で見ると騎士だ。どこから来たのかは知らない。
 俺は笑みを浮かべた。
 これでまた、軍が増強される。
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