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第二章 選択する、選択させる
セレナをダンジョンへ
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「城の警備がどうなっているかも知らないのに助けられると思うのか?」
セレナは俺が家に戻る途中ずっとついてきて話しかけてくる。正直ウザイがナオミが傷つくくらいならこのくらい安いもんだ。どんな条件でカマエルのやつがナオミを痛めつけるのかわかったものではないからな。
「できる」
俺は振り返り言い放った。セレナはぐっと息を止めるようにして、立ち止まって俺を見るとその目で俺を見定めた。
「ほんとうに?」
「ほんとうだ」
そう言ってあるき出そうとするといきなりブラックウルフの群れが俺たちを囲った。
アラームは頭の中で鳴り響かなかった。カマエルのせいかどうかは知らないが多分いきなり出現したのだろう。
「くっ、こんなときに」
セレナは剣を抜いて身構えた。
「武器は……持ってないのだろう。任せろ。わたしがなんとかして……」
俺は目をくっと奴らに向けると、バリスタを出現させ、射抜いた。高速で移動するにもかかわらずブラックウルフの群れは一瞬で死体になった。
俺はすでにスマホなんて操作していない。
わかるんだ。
目の前に画面が浮かび上がって、その上を蛆虫みたいに這い回る敵の姿がわかるんだ。
俺はそれをただ潰していくだけ。
それだけのゲームだ。
たとえその蛆虫が人間であったとしても、操作方法は変わらない。バリスタを出して、魔法兵器を出して、排除するだけ。
俺は目を閉じて、バリスタを収納する。地面に埋まっていくようにバリスタは消えた。
「今のはなんだ? 魔法か?」
セレナは剣を構えたままの姿勢で俺に尋ねた。
「しるかよ」
俺は知らない。何も知らない。
ただレベルが上がるにつれて、人間じゃあなくなっていく感覚があるだけ。まるで機械と一緒になっていくようなそんな気がする。
いや、もう人間ではないのだ。いくら首を切り裂こうと、心臓を突き刺そうと、俺は死なない。すぐにもとに戻る体。それを人間とは言わない。
俺はいくらでも盾になろう。
ナオミのためなら。
他の人間のことなど知らない。獣人には少しだけ愛着がある。
ただそれだけだ。
俺はあるき出す。
しばらく歩いて、ダンジョンに入ると、セレナは悲鳴を上げた。
「スケルトンナイトじゃないか。こんな敵……」
「うるせえ。……下がってろお前ら」
そう言うとスケルトンナイトたちは頭を下げ、ダンジョンの奥に引き下がった。
「俺はここの主人だ。コイツラに殺されたくなかったら俺にしっかりついてこい」
セレナは俺の服を掴んであるき出した。
ボス部屋の扉を開く。
「ああ、ご主人おかえり。お客さんかな」
「イエロードラゴン……こんなものまで従えているのか……」
「ただのトカゲだ」
「ひどいよねご主人。このメスが正しい反応なんだよ」
イエロードラゴンはそう言ってしっぽを地面に叩きつけた。ホコリが舞う。
「ああ、そうなのか。知らなかった」
そう言って、奥の扉を開けた。
「おかえりなさいませご主人さま。お客様ですか?」
「ただいまナオミ」
俺は彼女を抱きしめてキスをした。
「なあっ!」
セレナは赤面した。
セレナは俺が家に戻る途中ずっとついてきて話しかけてくる。正直ウザイがナオミが傷つくくらいならこのくらい安いもんだ。どんな条件でカマエルのやつがナオミを痛めつけるのかわかったものではないからな。
「できる」
俺は振り返り言い放った。セレナはぐっと息を止めるようにして、立ち止まって俺を見るとその目で俺を見定めた。
「ほんとうに?」
「ほんとうだ」
そう言ってあるき出そうとするといきなりブラックウルフの群れが俺たちを囲った。
アラームは頭の中で鳴り響かなかった。カマエルのせいかどうかは知らないが多分いきなり出現したのだろう。
「くっ、こんなときに」
セレナは剣を抜いて身構えた。
「武器は……持ってないのだろう。任せろ。わたしがなんとかして……」
俺は目をくっと奴らに向けると、バリスタを出現させ、射抜いた。高速で移動するにもかかわらずブラックウルフの群れは一瞬で死体になった。
俺はすでにスマホなんて操作していない。
わかるんだ。
目の前に画面が浮かび上がって、その上を蛆虫みたいに這い回る敵の姿がわかるんだ。
俺はそれをただ潰していくだけ。
それだけのゲームだ。
たとえその蛆虫が人間であったとしても、操作方法は変わらない。バリスタを出して、魔法兵器を出して、排除するだけ。
俺は目を閉じて、バリスタを収納する。地面に埋まっていくようにバリスタは消えた。
「今のはなんだ? 魔法か?」
セレナは剣を構えたままの姿勢で俺に尋ねた。
「しるかよ」
俺は知らない。何も知らない。
ただレベルが上がるにつれて、人間じゃあなくなっていく感覚があるだけ。まるで機械と一緒になっていくようなそんな気がする。
いや、もう人間ではないのだ。いくら首を切り裂こうと、心臓を突き刺そうと、俺は死なない。すぐにもとに戻る体。それを人間とは言わない。
俺はいくらでも盾になろう。
ナオミのためなら。
他の人間のことなど知らない。獣人には少しだけ愛着がある。
ただそれだけだ。
俺はあるき出す。
しばらく歩いて、ダンジョンに入ると、セレナは悲鳴を上げた。
「スケルトンナイトじゃないか。こんな敵……」
「うるせえ。……下がってろお前ら」
そう言うとスケルトンナイトたちは頭を下げ、ダンジョンの奥に引き下がった。
「俺はここの主人だ。コイツラに殺されたくなかったら俺にしっかりついてこい」
セレナは俺の服を掴んであるき出した。
ボス部屋の扉を開く。
「ああ、ご主人おかえり。お客さんかな」
「イエロードラゴン……こんなものまで従えているのか……」
「ただのトカゲだ」
「ひどいよねご主人。このメスが正しい反応なんだよ」
イエロードラゴンはそう言ってしっぽを地面に叩きつけた。ホコリが舞う。
「ああ、そうなのか。知らなかった」
そう言って、奥の扉を開けた。
「おかえりなさいませご主人さま。お客様ですか?」
「ただいまナオミ」
俺は彼女を抱きしめてキスをした。
「なあっ!」
セレナは赤面した。
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