踊るパーラメント

橘くらみ

文字の大きさ
上 下
24 / 24

チームプレー

しおりを挟む
横溝は、深い呼吸をして自らの感情を整理しながら、湯浅と菊池のいる部屋へと向かった。彼の心には、嫉妬を乗り越えようとする強い意志が芽生えていた。自分が率いる内閣のために、そして彼らの信頼を勝ち得るためにも、今こそ行動を起こすべきだと感じた。

扉を開けると、湯浅と菊池は議論を重ねている様子だった。菊池が熱心に意見を述べており、湯浅がそれに真剣に耳を傾けていた。横溝はその光景を見て、一瞬足が止まったが、すぐに意識を集中させた。

「二人とも、今の状況についてどう考えている?」横溝は冷静な声で尋ねた。彼は二人の会話の流れを遮ることなく、話に加わるために立ち上がった。

「総理、ちょうどお話ししていたところです」と湯浅が返事をした。「白石の動きに対して、こちらの情報を彼女に流す計画が進行中です。菊池くんの考えも非常に良いものでした」

菊池は少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに横溝に向けて力強い視線を送った。「白石が情報を掴む前に、彼女の興味を他の問題に向ける必要があります。そこで、我々の計画の一部として、特定の議員に関する噂を流すことを考えています」

横溝は彼の意見を尊重し、菊池の考えに賛同した。「それは良い策だ。しかし、注意が必要だ。白石は鋭い。噂が本物かどうかを見極められる可能性が高いから、我々の言動には慎重さが求められる」

「その通りです。だからこそ、我々が流す情報には裏付けを用意し、より信憑性を高める必要があります。特に、他の議員との連携を強調することがポイントです」と湯浅が補足した。

菊池はその言葉に頷きながら、自身の役割に対する意欲が高まるのを感じた。横溝と湯浅の期待に応えようと、彼はますます計画の具体化に集中していった。

「では、具体的にどの議員をターゲットにするか、そしてどのような噂を流すのか、今から詳細を詰めていこう」と横溝は提案した。

三人はそれから、しばらくの間、計画の詳細を話し合った。横溝は二人の意見を聞きながら、同時に自分自身の思考を整理していった。彼は、菊池と湯浅の関係が深まっていることを感じつつも、それが自らのリーダーシップの一部となり得ると信じていた。彼らの強固な結束が、今後の試練を乗り越えるための力となるだろうと確信していた。

夜が深まる中、計画は具体化していった。横溝の心には不安と期待が入り混じりながらも、彼は新たな戦略を持って白石に立ち向かう準備を整えていた。菊池と湯浅との連携が、これからの政治戦においてどのような影響を及ぼすのか、その時が来るのを待ち望んでいた。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

幸せのカタチ

杏西モジコ
BL
幼馴染の須藤祥太に想いを寄せていた唐木幸介。ある日、祥太に呼び出されると結婚の報告をされ、その長年の想いは告げる前に玉砕する。ショックのあまり、その足でやけ酒に溺れた幸介が翌朝目覚めると、そこは見知らぬ青年、福島律也の自宅だった……。 拗れた片想いになかなか決着をつけられないサラリーマンが、新しい幸せに向かうお話。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

僕の宝物はみんなの所有物

まつも☆きらら
BL
生徒会の仲良し4人組は、いつも放課後生徒会室に集まっておやつを食べたりおしゃべりをしたり楽しい毎日を過ごしていた。そんなある日、生徒会をとっくに引退した匠が、「かわいい子がいた!」と言い出した。転入生らしいその子はとてもきれいな男の子で、4人組は同時に彼に一目ぼれしてしまったのだった。お互いライバルとなった4人。何とかその美少年を生徒会に入れることに成功したけれど、4人の恋は前途多難で・・・。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

triangle brothers

モカ
BL
ねぇ、おにーちゃん。 俺、あんたがどうしようもないほど、好きなんだ。

処理中です...