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本編
マリアンヌ様の罠(中)
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わたくしのオススメのお店を紹介することに決めて、マリアンヌ様との待ち合わせに向かいましたの。
別にマリアンヌ様のことを疑っていたわけじゃありませんのよ?でもわたくしのワガママが効くお店がここぐらいし
か浮かばなかったというのが正解ですわ。ここならマリアンヌ様でも手を出せる素材で作っていただくことができる
から、ここを選びましたの。やはり王太子であるフィリップ様への贈り物はそれなりのものでないと。
「レティシア様」
わたくしがサテラと馬車から降りるとマリアンヌ様が待っておられましたわ。
お店の前で。
「こんにちは、マリアンヌ様」
「今日はありがとうございます。本当に助かったわ」
「さあ、参りましょう」
わたくし、マリアンヌ様にはできるだけ関わらず、でも当たり障りのない対応を心がけておりますから、こういう2人きりでの行動は初めてで、すごく緊張してしまいましたわ。
変なことになって殺されでもしたら、今までの努力が水の泡ですし。
でも、もしかしたら、これをきっかけに仲良くなれるかも?と淡い期待も抱いておりました。
「いらっしゃいませ、レティシア様」
ここはブラッドストーン家御用達の小物店ですの。
わたくしのお母様が細々とした小物が好きで、ここを贔屓のお店にしてしまったことがきっかけなんですけれど、
わたくしもちょっとしたプレゼントを贈るためのお店として利用しておりますのよ?
「こんにちは、ブラッド、今日はフィリップ様へのプレゼントを選びたいのだけれど、何かあるかしら?」
「王太子殿下に贈り物ですか?」
「ええ。わたくしのお友達が探しておられるのよ?」
ブラッドはマリアンヌ様をチラっと見て、マリアンヌ様の地位と懐具合を判断して、提案してくれたわ。
「最近、貿易を始めた小国で作っている珍しいペンがございます」
「ペン?」
マリアンヌ様は不服そう。で、店内を物色し始められましたわ。
「ええ。その国の特殊加工でできたガラス細工のペンで、魔力で補充されるためインクの換えの必要がない大変便利
なペンでございます」
「ガラスでできているなんて珍しいわね?」
わたくしは会話を広げるために口を挟んだ。
「ええ、普通のペンはそういう素材を使うことはありません。かの国でも使用されているのは王族の方のみです」
「へえ」
「レティシア様のプレゼント用に1点だけお取り寄せしたんですよ」
「まあ、ブラッド、ありがとう」
「それ、買うわ!」
マリアンヌ様が食いついてくれて、彼女でも払える額で、王太子へのプレゼントに相応しいものの買い物が終了しましたわ。
「では、王家の方用の特別仕様で紋章を彫らせて仕上げさせて、学園に届けさせていただきますね?」
「ええ。よろしくね」
「ブラッド、わたくしもプレゼントを買いたいのだけれど、持ち運べないから、近いうちに訪ねて来てね?」
「ありがとうございます」
熱心にフィリップ様へのプレゼントを探す、マリアンヌ様を見ていて、わたくしもアリステア様の何かあげたくなったんですの。もちろんマリアンヌ様の前で選ぶ気にはなれなかったし、わたくしが訪ねて来たのに何も買わないなんてありえなかったから。ブラッドは公爵家の買い物だと思って接待してくれているんですもの。
「では、後でね」
「ありがとうございました、レティシア様」
思った以上に買い物はすんなり済んで、わたくしが従者の待っている馬車に乗り込もうとした時、
「レティシア様!待って!お礼にお茶でも!」
とマリアンヌ様に誘われてしまいましたの。
「この近くに美味しいお店があるの!さあ行きましょう!」
わたくしが返事をする間も無くおしゃれなお店に連れて行かれてしまいましたわ。
******
連れて行かれたカフェはカップルで賑わっていましたわ。それにわたくしたちのような若いたぶん、商人の娘さんたちが多かったですわ。
「ここは、私が男爵家に引き取られる前によく来ていたお店なの」
「まあ、そうなんですの」
「今日は素敵なプレゼントが選べて良かったわ」
「ええ。珍しいものが手に入って、フィリップ様も喜ばれると思いますわ」
「そうかしら?」
「ええ」
「わたしもこれでレティシア様と同じ立場になったわ」
公爵家の令嬢と男爵家の令嬢では立場はかなり違うと思いますけれど、フィリップ様の婚約者候補としてのお話だと思うから、わたくしは何もいわずに微笑みかけた。
「だから、フィリップ様には手を出さないでね?」
「それはわたくしが決めることではなくて、フィリップ様がお決めになることですわ」
「ええ、だけど、あの方はわたしのものよ。レティシア様はフィリップ様のことをどう思っているの?」
「次期国王になられる素晴らしい方だと思っていますわ」
「フィリップ様のこと、好き?」
マリアンヌ様に聞かれて、わたくしは言葉に詰まった。
「………」
「あたしは王太子妃になりたいと思ってるわ」
「そうなんですの」
「ええ。今のところではフィリップ様から1番気に入られてるし、1番いい結婚相手だと思うしね。他の方との恋愛も考えてみたけど、イマイチ反応がないし」
「それがよろしいですわ。わたくしたちの世界の常識では、いろんな男の方に親しくするのは婚約者候補としてふさわしくない行動だと見なされますわ。フィリップ様の顔に泥を塗ることになりますもの」
「えっ、そーなんだ?知らなかった。逆ハーエンドは現実の世界ではダメなんだあ?」
「……」
わたくしはその言葉の返答を避けることにしましたわ。
「なるほどね」
わたくしに言葉にマリアンヌ様は何かを閃いたようにニンマリされましたわ。
わたくしはそのカフェで出された美味しいケーキに気を取られていてマリアンヌ様のリアクションをさほど気に止め
ることもなく2人のお買い物が終了しましたの。
別にマリアンヌ様のことを疑っていたわけじゃありませんのよ?でもわたくしのワガママが効くお店がここぐらいし
か浮かばなかったというのが正解ですわ。ここならマリアンヌ様でも手を出せる素材で作っていただくことができる
から、ここを選びましたの。やはり王太子であるフィリップ様への贈り物はそれなりのものでないと。
「レティシア様」
わたくしがサテラと馬車から降りるとマリアンヌ様が待っておられましたわ。
お店の前で。
「こんにちは、マリアンヌ様」
「今日はありがとうございます。本当に助かったわ」
「さあ、参りましょう」
わたくし、マリアンヌ様にはできるだけ関わらず、でも当たり障りのない対応を心がけておりますから、こういう2人きりでの行動は初めてで、すごく緊張してしまいましたわ。
変なことになって殺されでもしたら、今までの努力が水の泡ですし。
でも、もしかしたら、これをきっかけに仲良くなれるかも?と淡い期待も抱いておりました。
「いらっしゃいませ、レティシア様」
ここはブラッドストーン家御用達の小物店ですの。
わたくしのお母様が細々とした小物が好きで、ここを贔屓のお店にしてしまったことがきっかけなんですけれど、
わたくしもちょっとしたプレゼントを贈るためのお店として利用しておりますのよ?
「こんにちは、ブラッド、今日はフィリップ様へのプレゼントを選びたいのだけれど、何かあるかしら?」
「王太子殿下に贈り物ですか?」
「ええ。わたくしのお友達が探しておられるのよ?」
ブラッドはマリアンヌ様をチラっと見て、マリアンヌ様の地位と懐具合を判断して、提案してくれたわ。
「最近、貿易を始めた小国で作っている珍しいペンがございます」
「ペン?」
マリアンヌ様は不服そう。で、店内を物色し始められましたわ。
「ええ。その国の特殊加工でできたガラス細工のペンで、魔力で補充されるためインクの換えの必要がない大変便利
なペンでございます」
「ガラスでできているなんて珍しいわね?」
わたくしは会話を広げるために口を挟んだ。
「ええ、普通のペンはそういう素材を使うことはありません。かの国でも使用されているのは王族の方のみです」
「へえ」
「レティシア様のプレゼント用に1点だけお取り寄せしたんですよ」
「まあ、ブラッド、ありがとう」
「それ、買うわ!」
マリアンヌ様が食いついてくれて、彼女でも払える額で、王太子へのプレゼントに相応しいものの買い物が終了しましたわ。
「では、王家の方用の特別仕様で紋章を彫らせて仕上げさせて、学園に届けさせていただきますね?」
「ええ。よろしくね」
「ブラッド、わたくしもプレゼントを買いたいのだけれど、持ち運べないから、近いうちに訪ねて来てね?」
「ありがとうございます」
熱心にフィリップ様へのプレゼントを探す、マリアンヌ様を見ていて、わたくしもアリステア様の何かあげたくなったんですの。もちろんマリアンヌ様の前で選ぶ気にはなれなかったし、わたくしが訪ねて来たのに何も買わないなんてありえなかったから。ブラッドは公爵家の買い物だと思って接待してくれているんですもの。
「では、後でね」
「ありがとうございました、レティシア様」
思った以上に買い物はすんなり済んで、わたくしが従者の待っている馬車に乗り込もうとした時、
「レティシア様!待って!お礼にお茶でも!」
とマリアンヌ様に誘われてしまいましたの。
「この近くに美味しいお店があるの!さあ行きましょう!」
わたくしが返事をする間も無くおしゃれなお店に連れて行かれてしまいましたわ。
******
連れて行かれたカフェはカップルで賑わっていましたわ。それにわたくしたちのような若いたぶん、商人の娘さんたちが多かったですわ。
「ここは、私が男爵家に引き取られる前によく来ていたお店なの」
「まあ、そうなんですの」
「今日は素敵なプレゼントが選べて良かったわ」
「ええ。珍しいものが手に入って、フィリップ様も喜ばれると思いますわ」
「そうかしら?」
「ええ」
「わたしもこれでレティシア様と同じ立場になったわ」
公爵家の令嬢と男爵家の令嬢では立場はかなり違うと思いますけれど、フィリップ様の婚約者候補としてのお話だと思うから、わたくしは何もいわずに微笑みかけた。
「だから、フィリップ様には手を出さないでね?」
「それはわたくしが決めることではなくて、フィリップ様がお決めになることですわ」
「ええ、だけど、あの方はわたしのものよ。レティシア様はフィリップ様のことをどう思っているの?」
「次期国王になられる素晴らしい方だと思っていますわ」
「フィリップ様のこと、好き?」
マリアンヌ様に聞かれて、わたくしは言葉に詰まった。
「………」
「あたしは王太子妃になりたいと思ってるわ」
「そうなんですの」
「ええ。今のところではフィリップ様から1番気に入られてるし、1番いい結婚相手だと思うしね。他の方との恋愛も考えてみたけど、イマイチ反応がないし」
「それがよろしいですわ。わたくしたちの世界の常識では、いろんな男の方に親しくするのは婚約者候補としてふさわしくない行動だと見なされますわ。フィリップ様の顔に泥を塗ることになりますもの」
「えっ、そーなんだ?知らなかった。逆ハーエンドは現実の世界ではダメなんだあ?」
「……」
わたくしはその言葉の返答を避けることにしましたわ。
「なるほどね」
わたくしに言葉にマリアンヌ様は何かを閃いたようにニンマリされましたわ。
わたくしはそのカフェで出された美味しいケーキに気を取られていてマリアンヌ様のリアクションをさほど気に止め
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