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本編
サロモン様の告白
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「レティシア、君がフィリップの婚約者候補だということは知っています。だけど、臣下に下りたとはいえ、私も王族の一員です。君にふさわしいのはフィリップだけじゃない」
「サロモン様…」
いつもクールなサロモン様が急にわたくしに告白してきて、青天の霹靂でしたわ。
「この間からあなたのことが気になって頭から離れないのです」
「でも、わたくしはフィリップ様の婚約者候補です」
「あくまで、候補でしょう?それにフィリップはマリアンヌを自ら指名した」
「ええ、確かにそうですけれど」
「まだ相手がいないなら、私と夜会に出席していただけませんか?」
サロモン様のお言葉にどう返していいかわかりませんでしたわ。
わたくしはアリステア様と夜会に行きたいのですけれど、まだお誘いを受けてはいませんの。
「ありがとうございます。サロモン様、お誘いを他にもいただいていますので、家の者と相談して決めたいと思っております」
ここで、承諾してしまったら、サロモン様の思いのまま、それはわたくしの望みとは違いますもの。
「そうだぞ!我もレティシアに申し込もうと思っていたところだ」
横から異国のサーティス殿下の横槍が入る。サーティス様の紫の瞳が怪しげに輝く。髪と同じ色の瞳は白い礼服に映えて見かけはすごいかっこいいけれど、とどのつまりは女好きのチャラ王だ。
「サーティス殿下。わたくしはフィリップ様の婚約者候補でございます。フィリップ様を差し置いて、異国の殿下と夜会に出席するのは国際問題に関わりますわ」
「レティシアは硬いなあー。そこんとこ軽く考えられないか?」
サーティス殿下はさすがたくさんの側室が女いる方だけあってすごく軽い。
「それは無理ですわ。婚約者候補として恥ずかしくない行動をしないとなりませんの」
「なら、誰と出席すればフィリップに恥をかかせないんだろうねえ?」
サーティス様の言葉を考えるとアリステア様に誘われたとしても出席できるわけはなく(婚約していればいいのだけれど)お兄様と出席するという羽目に陥りましたわ。
フィリップ様顔負けに貴族のお嬢様方に人気のお兄様が久々に夜会に出席したからそれはそれで、話題になったのですけれどね。
「話は終わったようですね。ムルシリ殿下、これ以上邪魔しないでいただきたい」
黙っていたサロモン様がいきなり口を挟む。
「名高い王宮魔術師で王族だとしても、私は退く気は無い」
「あの、サロモン様、サーティス様、わたくしはフィリップ様の婚約者候補です。お二人の気持ちにお答えすることはできませんわ」
「フィリップがマリアンヌを選べば解決します」
「確かに。そうすればお前は自由だ」
サロモン様とサーティス様ににっこりと断言されてしまって、わたくしは言葉を紡ぐことができなくなってしまいましたわ。
「それでもわたくしは王家の婚約者ですわ。他国に嫁ぐことも、継承権の順位を無視して、臣下に下りた方に嫁ぐことはできません!」
「王位継承権を取り下げるんじゃなかった。まだ打つ手はある」
「運命はどう転ぶかわからないものだよ?」
お二人のつぶやきを無視して、言葉を続けましたわ。
「とにかく、夜会の件は後日連絡させていただきますわ」
そういって、わたくしは2人の前から姿を消しましたけれど、大したことをしていないのに何故ハーレム状態になっているのかしら?
これがゲームの強制力というやつ?
でもヒロインにならわかるけれど、なぜわたくしに?
これは新しい悪役令嬢の破滅へのトラップというやつなのかしら?
とりあえず断ったから、一歩前進ですわよね?
「きっ、気をつけなければなりませんわ!」
誰とでも付き合う尻軽の公爵令嬢なんて聞いたこともありませんし、王家に顔向けができませんもの。それにヤンデレ宮廷魔術師に監禁されるのも、外国の王太子の第10番目の側室なんてまっぴらごめんですわ!
とりあえずサロモン様とサーティス様には必要以上に関わらない再度決意いたしました。
「サロモン様…」
いつもクールなサロモン様が急にわたくしに告白してきて、青天の霹靂でしたわ。
「この間からあなたのことが気になって頭から離れないのです」
「でも、わたくしはフィリップ様の婚約者候補です」
「あくまで、候補でしょう?それにフィリップはマリアンヌを自ら指名した」
「ええ、確かにそうですけれど」
「まだ相手がいないなら、私と夜会に出席していただけませんか?」
サロモン様のお言葉にどう返していいかわかりませんでしたわ。
わたくしはアリステア様と夜会に行きたいのですけれど、まだお誘いを受けてはいませんの。
「ありがとうございます。サロモン様、お誘いを他にもいただいていますので、家の者と相談して決めたいと思っております」
ここで、承諾してしまったら、サロモン様の思いのまま、それはわたくしの望みとは違いますもの。
「そうだぞ!我もレティシアに申し込もうと思っていたところだ」
横から異国のサーティス殿下の横槍が入る。サーティス様の紫の瞳が怪しげに輝く。髪と同じ色の瞳は白い礼服に映えて見かけはすごいかっこいいけれど、とどのつまりは女好きのチャラ王だ。
「サーティス殿下。わたくしはフィリップ様の婚約者候補でございます。フィリップ様を差し置いて、異国の殿下と夜会に出席するのは国際問題に関わりますわ」
「レティシアは硬いなあー。そこんとこ軽く考えられないか?」
サーティス殿下はさすがたくさんの側室が女いる方だけあってすごく軽い。
「それは無理ですわ。婚約者候補として恥ずかしくない行動をしないとなりませんの」
「なら、誰と出席すればフィリップに恥をかかせないんだろうねえ?」
サーティス様の言葉を考えるとアリステア様に誘われたとしても出席できるわけはなく(婚約していればいいのだけれど)お兄様と出席するという羽目に陥りましたわ。
フィリップ様顔負けに貴族のお嬢様方に人気のお兄様が久々に夜会に出席したからそれはそれで、話題になったのですけれどね。
「話は終わったようですね。ムルシリ殿下、これ以上邪魔しないでいただきたい」
黙っていたサロモン様がいきなり口を挟む。
「名高い王宮魔術師で王族だとしても、私は退く気は無い」
「あの、サロモン様、サーティス様、わたくしはフィリップ様の婚約者候補です。お二人の気持ちにお答えすることはできませんわ」
「フィリップがマリアンヌを選べば解決します」
「確かに。そうすればお前は自由だ」
サロモン様とサーティス様ににっこりと断言されてしまって、わたくしは言葉を紡ぐことができなくなってしまいましたわ。
「それでもわたくしは王家の婚約者ですわ。他国に嫁ぐことも、継承権の順位を無視して、臣下に下りた方に嫁ぐことはできません!」
「王位継承権を取り下げるんじゃなかった。まだ打つ手はある」
「運命はどう転ぶかわからないものだよ?」
お二人のつぶやきを無視して、言葉を続けましたわ。
「とにかく、夜会の件は後日連絡させていただきますわ」
そういって、わたくしは2人の前から姿を消しましたけれど、大したことをしていないのに何故ハーレム状態になっているのかしら?
これがゲームの強制力というやつ?
でもヒロインにならわかるけれど、なぜわたくしに?
これは新しい悪役令嬢の破滅へのトラップというやつなのかしら?
とりあえず断ったから、一歩前進ですわよね?
「きっ、気をつけなければなりませんわ!」
誰とでも付き合う尻軽の公爵令嬢なんて聞いたこともありませんし、王家に顔向けができませんもの。それにヤンデレ宮廷魔術師に監禁されるのも、外国の王太子の第10番目の側室なんてまっぴらごめんですわ!
とりあえずサロモン様とサーティス様には必要以上に関わらない再度決意いたしました。
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