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第1章:私が聖女って冗談ですか?

大天使ミカエル現る!

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いやー、いくら教会に「聖女」認定されて、カイル様と婚約することになったとはいえ、まさか大天使が現れるなんて思ってもみなかったわ。

だって「聖女」らしいことは何にもしてないし、普通に欲望だってある!

「みんなを助けたい」とか「国の危機を守る」とか高尚な目標?もないもの。

強いていえば、結婚するなら(貴族だからもちろん政略だけど)まあ、見かけも好みの線で、財力があればいいと思ってたけど、別にカイル様の婚約者に認定されて、将来は多分王妃なんだけど、その立場を利用して「良い国づくり」をしようとかいう野望もない。

とりあえず「他者に使える意思ゼロ、でも自分の欲望には正直な私」に大天使ミカエルが現れるなんて、本当に冗談か、物の怪にそそのかされたのかと思ったわよ。

大天使ミカエルは何の脈絡もなく突然、夜寝床につこうとしていた私の前に「パッ」と出現したの。

「お前がライラか」

普通天使って丁寧な言葉遣いすると思うわよね?前世日本人で聖書にそんなに馴染みのなかった私でさえ、それぐらいは知ってたわ。

「へっ?」

「私は、大天使ミカエル、神の遣いだ」

大天使ミカエルは一言で言うと俺様なタイプだった

「ミカエルってあの有名な?」

「有名かどうかは気にしたことはないが、大天使ミカエルで話が通じるのはありがたい。聖女であるお前に神からの伝言を伝えに来た」

「で、伝言?」

「お前の使命について、だ。簡単に言うと聖女に選ばれたお前が遂行すると神と約束した契約事項内容のことだな」

全然覚えがないんですけど!何かの間違いでは?

私の顔を読んだのか大天使ミカエルはさらに話を続けた。

「人はこの世に生れ落ちると全ての記憶をなくしてくる。無論契約事項もさっぱり覚えていない。普通は聖女ならいくらかそういう記憶のカケラがあるものだが、お前はすっかり抜け落ちていたので、私が代理で伝えにきたのだ」

「はあ」

いきなり使命とか言われても困る。出来るだけ楽に怠惰にでも贅沢に生きていきたいのが私の本音だから。面倒なことは御免被りたい

「あの、私が聖女とかって何かの間違いとかじゃないですか?」

「いや、お前は今世は聖女として生まれてくるとお前自身が決めたのだ」

「へっ?」

「聖女として生を受けて、神とこの国が闇に包まれるのを防ぐことを約束した」

「闇に包まれる?まさかカイル様が何かヤバイことを?」

「何を言っているのだ。闇に包み込もうとしているのは魔王に決まっているだろう?」

「魔王ってあの魔王ですか?異世界転生ゲームに必ず出てくる?」

「魔王とは、数千年ごとに現れて世界を滅ぼす存在だ」

「私が、その魔王を倒す、んですか?」

「魔王を倒すのは勇者であろう?お前は聖女で勇者ではない」

「じゃあ、どのように…」

「とにかく伝言は伝えた。これがお前の使命だ。健闘を祈る」

大天使ミカエルは言いたいことだけ言ってパッと消えてしまった。

私は突然伝えられた使命に唖然としながらも、その実行の仕方を伝授してくれない大天使に

「天使って親切じゃなかったのー!」

呆れかえって、その日はお茶の時間のお菓子をやけ食いしてしまった。

聖女と認定されてても、すごい聖魔法とか使えないのに!

どうしろっていうのよー。

とりあえずそんなすぐに魔王が現れるはずないから、カイル様にでも聞いてみることにしてやっと気持ちを落ち着けたのだった。















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