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ベッキーの密偵生活1週間目

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お城に来て1週間後、変化があった。

いやーびっくりしたわ!氷の皇太子には!

ますます機嫌が悪くなって厨房どころか城中ビクビクした空気が流れている。

少しでも粗相をしたら、首をチョンパされそうな、こわーいオーラに包まれているからねえ。

幸いにもあたいはその冷気に直接触れることはなくなったから、命拾いだよ。

急に「もう夜食や間食を頻繁に作らなくてもいい」ということをマットさんから聞いた。

あの皇太子さん、何でか知らないけど、急に宮中で食事を今まで通り取り始めたんだってさ!よかった、よかった。誤ってお盆でも落としてたら、死んでるしね。

「ということは、あたい、クビですかね?」

「いや、お前さんは役に立つから、他のことを手伝ってもらう」

「他のことですか?」

「ちょっと教えれば簡単な料理ぐらい作れるだろう?」

「もちろん!」

「しっかり働いて即戦力になるように頑張ってくれよな!」

「はい!ありがとうございます!」

よかった。クビにならなくて。家族を支えないといけないもんね!

だけど、あの綺麗な騎士様から他の臨時報酬をもらうことは諦めたほうがいいかもしれない。

他の役割を与えられたから、忙しすぎて死にそうだよ。城の間取りどころじゃないし!はじめの教えてもらった城の間取りをちゃちゃっと書いて、渡して本業に集中しなきゃ!

初めてのお勤めの日から皇太子とは1日2回顔を合わせたけれど、昨日、それが終わった。5日目に出した料理は程ん土手がつけられてなくて、6日目に「もう必要ない」と怒ったような声でいわれたから、あたいたちみんなヒヤヒヤしたけど、別に食事の内容がまずかったわけじゃないんだってさ。まあ、あの皇太子と顔をあわせることもなくなってホッとしてるけど!正直。ああ、そうそうあの甘い香りも5日目からしなくなった。囲ってた(?)娘にでも逃げられたのかな?まあ、あの恐い皇太子じゃあ仕方ないよねえ。

まあ、これだけ忙しいと家に帰るのも遅くなるからあの騎士さんへの報告は遅れそうだけど、特に重要なことじゃなさそうだし!週末にいっとけばいいよね!それより、バンバン仕事して、がっつり稼がないと!あの金華みたいな大金は嬉しいけどさ、家族も喜んでたし!でも定期収入は大切だから!まあ、騎士様には、おまけに親しくなった給仕の女の子から聞いた噂でも話しとけばいっか!



ベッキーはにっこり笑うと、新しい業務を体得するために、料理人たちの手伝いを始めるのだった。







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