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深淵の森の魔術師の誘惑

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「姫様、お久しぶりです」

 セシリアの前には深淵の森の魔術師がいた。

「どうしてここが?」

 それも妖精国に飛ばされた時じゃなくて、今になってこの美しい顔のエメラルドの瞳の魔術師がいるのだろう?

確か乙女ゲームではこんな設定はなかった、と思う。あの世界ではハインリッヒと結婚していたのだから。

「いや、深淵の森でお会いした時から、あなたの場所がいつでもわかるような目印をつけておいてんですけどね、もうそろそろかなあと思いましてねえ」

「……」

 もうそろそろとはどういう意味なのだろう?でも目の前の銀髪の魔術師の自分を舐め回すような目つきを見ると、それはいってはいけない言葉のように聞こえた。

「すっかり本来の姿に戻られたことだし、それに色々躾の手間も省けたようで良かったです」

「はっ?」

「あなたはハインリッヒを愛してはいないでしょう?」

「ええ」

「いいんですか?このままで?」

このままでいいわけはない。セシリアだって脱出方法をいろいろ考えてみたのだ。だが、非力な姫の身では現実的な方法はまだ見つかっていない。魔力のほとんどないセシリアが使えるエリアスに自分の居所を伝える手段は鳥が寄り付かないこの塔では使えない。

「そんなわけないわ…だけど…」

 ガートランドの花と謳われ大切に育てられたセシリアは最小限の護身術を除けば、常にエリアスが付いていたから剣術も知らない。もしある程度セシリアが剣’を使えたとしても、ハインリッヒを相手にすれば切り捨てられるのがオチだろう。誘拐ならまだしも、幽閉のための塔などに監禁された時にどのように抜け出せば良いのかということを教わってはいない。ルーレシアではヘルガを除いて魔力を持つ者はいない。ここから抜け出すほどの魔法も戦闘もセシリアにはできない。現実的に考えて、戦いのプロの集まるルーレシアで戦闘能力の高い者たちが集結している宮殿から抜け出すことは自殺行為にも等しかった。もし、己の正体がバレてしまえば。国際間の大問題になり、ガートランドが危うくなることは目に見えていた。セシリアの望みはエリアスと会う事で死ぬことではない。

「このままここにずっといればやがてルーレシアの皇太子の子を身ごもって、永遠に彼の物になってしまいますよ」

「それはわかっているわ。月光花の薬でもう完全な女の身に戻れたんですもの。このままこうしていればそうなることぐらい…‥だけど、ここから出る方法がないんですもの」

「方法なら、ありますよ」

 深淵の森の魔術師は己を指で差す。

「あなたが連れ出してくださるのですか?」

「ええ。あなたがそう望めば、そういたしますよ」

「では、お願い!ここから私を連れて逃げて!」

「その代わり対価をいただきます」

「対価?」

 魔術師は無言でセシリアを見つめている。

「ええ。美しい花を1度だけ手折らせてください。見ているだけでは我慢できなくなりました」

 魔術師はセシリアの顔に手を添えると、唇を寄せた。

「…んっ…やっ!」

 女のように綺麗な顔をしているとはいえ、やはり男の力で押さえつけられると、セシリアの抵抗はお遊びにしかならない。巧みな舌技で姫の口中を蹂躙して、激しく求めるようなキスを繰り返す。魔術師は色気のある声で耳元で囁いた。

「1夜の夢を見させてください。そうすればエリアスのところに連れて行ってあげます」

 エリアスという愛しい男の名前を聞いて、彼の顔が浮かんだ。

「エリアスのところに?」

 この男の言うことを聞けば望みが叶う。

 この男の提案が唯一の解決法のように思えた。

「ええ。私ならあなたを誰にも知られずにここから連れ出せます。ガートランドに迷惑もかかりません」

 彼女の心を読んだかのように怪しく笑う。

「このままここにいても何の解決にもなりませんよ。あの男に飼いならされていくだけです」

 確かにそのとおりだった。セシリアの体中に快楽を教え込んで、気持ちがなくても反応する体にされてしまっている。だから魔術師の耳の中を巧みに動き回す舌に息を荒げてしまっている。

「はあっ!やめててんてんてん」

「実に可愛らしい。ここ、が弱いのですね?」

 彼女の体をしっかりと拘束していた腕はいつのまにか和らげられて、しなやかな指がドレスの上から彼女の体の敏感なところを刺激し始めている。

「っっんっ、やっ…」

「嫌ではないでしょう?私はあなたを助けたいのです。エリアスに会いたくないんですか?」

 エリアス名前を聞いて、体の力がさらに抜けていく。

「あなたをここから助け出せるのは私だけですよ?」

 一度だけ我慢すればエリアスに会える。この男に一度だけ抱かれるのも、ハインリッヒにこれからも抱かれ続けるのと、どちらがマシだろうか?いくら快楽に呑まれてもエリアス以外の男なら意味がないのだ。エリアス以外の男に抱かれたくない。だけど、このままここに囚われ、これ以上ハインリッヒの餌食になるのは耐えられなかった。

 美しい魔術師はセシリアの首筋にキスを落とし、彼女の纏っていた服を脱がせ、その美しい裸体を愛で始めた。

「やはりガートランドの花ですね。美しい」

 幾千ものキスを落としながら、確実に彼女の敏感な部分にさらに刺激を与えていく。

「もう、すっかり濡れていますね。やはり躾が行き届いているようだ」

「ああっ…」

「姫の肌はとても柔らかくて、蕩けそうです」

 魔術師はセシリアの敏感なところに指を差し込んでいく。

「あなたの中は小さいですから、じっくりと準備をしなくてはいけません」

「んっ!」

「あなたのその顔は男を惑わせる。あなたのためなら何でもします。私だけですよ?あなたの望みを叶えられるのは、愛しい姫君」

 銀の髪の魔術師はさらに指を加えてセシリアの中心を掻き混ぜた。頭の中がドロドロになって、真っ当な思考ができなくなる。その中で愛しい男の事を想った。

「セシリア、あなたは頷くだけでいいんですよ?そうすれば、ここから出られる。エリアスに会えます」

「はああん!」

「私の物になりますか?」

 快楽の波に呑まれながらセシリアは何度も頷いた。

「では、契約成立ですね」

 魔術師はふっと微笑みと己自身をセシリアの中に埋め込み、彼の存在を主張するかのようにセシリアを快楽の波に誘っていった。









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