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しおりを挟むけど、皆が皆そうなれるわけじゃない。
「……俺、は」
「うん」
「開放、されたくて……」
声を震わせ、ぽつりぽつりと言葉を落とす。
「うん。罪悪感や自責の念に駆られる必要は、ないよ。今の碧音君で、いいんだよ」
「あす、かっ……」
碧音君のさらさらした髪が、鎖骨ら辺に当たってくすぐったい。服からは、柔らかい花の香りがした。
柔軟剤か香水か、どちらにせよ碧音君に合ってる。
「明日歌……っ」
ああ、私まで引き千切られるほど胸が痛い。碧音君が抱えてきたものを考えると、痛くて仕方ない。
「碧音君、頑張ったね。今まで、頑張ってきたんだね」
言えば、肩の震えが大きくなった。いいよ、泣いて。いくらでも、気が済むまで泣いたらいい。
薄っすらと空が藍色に染まり夜が顔を出し始める中、2人で静かに泣いた。
初めて、ちゃんと碧音君の心に、世界に触れられた気がした。
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