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ドライパイン

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昨日まで

一線を越える

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自分の研究室は高所にある。少し部屋を出れば大量に窓が張ってある。
窓と建物の内側という線を越えてしまえば、僕は物言わぬ肉塊になるだろう。
電車を待つプラットホームでも、黄色い点字ブロックの更に向こう側に飛び込んでしまえば。後の迷惑は残ってしまうだろうが、それで僕はおしまいになる。
終わらせようと思えば、一瞬で終わってしまうのだ。
結界はすなわち「線」だ。超えてしまうことに精神的な負い目を感じてしまえば、科学的・魔術的根拠がなくてもそれは成立する。
線引きをする、という言葉もある。区切りをつけることだ。一線を引けば、その人との関係は必然的にあまり密で無いものになる。
一方、線はそのまま人と人とのつながりをもしめす。どの程度なら相手の近づきを許すか、関わりを許したくは無いか。アプリ名にもあるとおり、通信してもいい間柄かも表すだろう。人との断絶をする線が、同時に人との繋がりという役目をも果たす。直接その2つが同時になることはないだろうが、道具としてみたときに2つの役割を果たすというのは少々特殊だ。同時に、線を引かれると向こう側から区切られる。言ってしまえば不利になる。言葉のようなものだが、無言の了解という意味では「空気」に近いのかもしれない。線を越えてしまえば、「空気の読めない」やつになる。
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