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議題「時間遡行者を主人公・主役級以外として起用することは可能か」
時間を巻き戻すことの出来る能力は普通の人には備わっていない。物語において、時間遡行者は何かしらの事情で時間を巻き戻すことが可能である。何らかの目的を達成するために、文字どうりにそれまで居た世界を「無かったことに」できる。これにあたる人物について、以下の条件を満たすものとする。
1.一度以上、「失敗した」世界を体感した
2.時間遡行は複数回可能である(⇔何回もやり直しをさせられる羽目になる)
3.時間遡行のトリガーが本人にあるかは問わない(発動が本人の任意であるかも問わない)
時間遡行のネックとして、現状をそのまま呑んでしまうと「詰み」になっていることが多い。そのくせ、なんとか時間遡行して条件を変えても「歴史は変化を嫌う」の一言で彼らの努力は水泡に帰すことすらある。その結果を認めきれないから時間遡行者は「もう一度」を繰り返す。だが、繰り返したところで詰みは詰み。待ったを掛けても必至に至っている事が往々にしてある。玉将である自分が取られれば再起不能、だが駒を棄てることを大抵躊躇する。もとい、駒を落とさないように死力を尽くしている人が多い。そういった意味で、仲間を守らない選択をとることの出来る遡行者は戦略的には正しい。だが、その選択をした時点で本当に守りたかったものからは確実に遠ざかる。
……などといった、どちらかというとその遡行が可能な人物の内面描写をどのようにするかを重視してしまい、さらにキャラとしてもその信念を簡単に覆すわけにはいかないのでどうしても脇役、サブキャラに添えるには難しすぎる能力だと考えられる。「もうひとりの主人公」として暗躍するのが限界か。
ラスボスとして出てくるとそれはそれで厄介である。相手は過去に逃げればいい。それに対抗するには主人公側も時間遡行の能力を持っていなければならないが、それが複数ある時点で「枯れた技術」である。固有能力ではない。主人公・相棒がもう一つ時間遡行への対抗策を持ち出すことでようやく解決する。これはラスボス側が任意に時間を遡るとして考えているが、その発端が主人公側にあったとすればとんだ暗黒小説である。ここまでの事例は今までの誰かの物語で既に書かれている。……もとい私は書こうとした。主人公を取り巻く環境をありとあらゆる障害と悪意で覆って、主人公自身が諦めきっている状態から書こうとした。普通に書き手側の方にダメージが入った。
「動機」が足りなかった。物語として構築して、そこに何らかの目的があれば多少のアクションを起こす。そのためのストーリーラインは思いつく。それすらも出来なかった。あるいは彼のことを砂時計をひっくり返すだけの壊れた人形としか仮定できなかったのが問題か。ぴったりな言葉があるとすれば、「お前の立場なら当の昔に諦めていた」である。我々作者は自作中のキャラクターの人権を踏みにじった上で作品を描いているようなものでもある。作中に不幸を作るのは作者で、そこから這い上がる様を描くのも作者。読者はそこから一歩引いているからそこに読者を巻き込むのは少々ご法度。ゆえに自分の作品で真っ先に不幸になるのは大体自分のキャラである。極端で異常な言い方をしてしまえば、作者は自分が投影した存在をを遠まわしに傷つけなければならない。遠回りな自傷行為になりかねない。
それらすべてを無理やり解決するのが時間遡行でもある。全て「なかったこと」に出来る。
だが、どこかで感じた痛みは消し去ることが難しい。その痛みは別段任意的に忘れてもいいし、倫理的に何ら問われるものではない。でも、どこか覚えておきたいと思わせられる。
時間を巻き戻すことの出来る能力は普通の人には備わっていない。物語において、時間遡行者は何かしらの事情で時間を巻き戻すことが可能である。何らかの目的を達成するために、文字どうりにそれまで居た世界を「無かったことに」できる。これにあたる人物について、以下の条件を満たすものとする。
1.一度以上、「失敗した」世界を体感した
2.時間遡行は複数回可能である(⇔何回もやり直しをさせられる羽目になる)
3.時間遡行のトリガーが本人にあるかは問わない(発動が本人の任意であるかも問わない)
時間遡行のネックとして、現状をそのまま呑んでしまうと「詰み」になっていることが多い。そのくせ、なんとか時間遡行して条件を変えても「歴史は変化を嫌う」の一言で彼らの努力は水泡に帰すことすらある。その結果を認めきれないから時間遡行者は「もう一度」を繰り返す。だが、繰り返したところで詰みは詰み。待ったを掛けても必至に至っている事が往々にしてある。玉将である自分が取られれば再起不能、だが駒を棄てることを大抵躊躇する。もとい、駒を落とさないように死力を尽くしている人が多い。そういった意味で、仲間を守らない選択をとることの出来る遡行者は戦略的には正しい。だが、その選択をした時点で本当に守りたかったものからは確実に遠ざかる。
……などといった、どちらかというとその遡行が可能な人物の内面描写をどのようにするかを重視してしまい、さらにキャラとしてもその信念を簡単に覆すわけにはいかないのでどうしても脇役、サブキャラに添えるには難しすぎる能力だと考えられる。「もうひとりの主人公」として暗躍するのが限界か。
ラスボスとして出てくるとそれはそれで厄介である。相手は過去に逃げればいい。それに対抗するには主人公側も時間遡行の能力を持っていなければならないが、それが複数ある時点で「枯れた技術」である。固有能力ではない。主人公・相棒がもう一つ時間遡行への対抗策を持ち出すことでようやく解決する。これはラスボス側が任意に時間を遡るとして考えているが、その発端が主人公側にあったとすればとんだ暗黒小説である。ここまでの事例は今までの誰かの物語で既に書かれている。……もとい私は書こうとした。主人公を取り巻く環境をありとあらゆる障害と悪意で覆って、主人公自身が諦めきっている状態から書こうとした。普通に書き手側の方にダメージが入った。
「動機」が足りなかった。物語として構築して、そこに何らかの目的があれば多少のアクションを起こす。そのためのストーリーラインは思いつく。それすらも出来なかった。あるいは彼のことを砂時計をひっくり返すだけの壊れた人形としか仮定できなかったのが問題か。ぴったりな言葉があるとすれば、「お前の立場なら当の昔に諦めていた」である。我々作者は自作中のキャラクターの人権を踏みにじった上で作品を描いているようなものでもある。作中に不幸を作るのは作者で、そこから這い上がる様を描くのも作者。読者はそこから一歩引いているからそこに読者を巻き込むのは少々ご法度。ゆえに自分の作品で真っ先に不幸になるのは大体自分のキャラである。極端で異常な言い方をしてしまえば、作者は自分が投影した存在をを遠まわしに傷つけなければならない。遠回りな自傷行為になりかねない。
それらすべてを無理やり解決するのが時間遡行でもある。全て「なかったこと」に出来る。
だが、どこかで感じた痛みは消し去ることが難しい。その痛みは別段任意的に忘れてもいいし、倫理的に何ら問われるものではない。でも、どこか覚えておきたいと思わせられる。
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