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29. あらあら、とうとう扉が壊れました
しおりを挟む「お父様!どういう事ですか!?何故アルフォンス様がお姉様と結婚なさるの!?」
「あなた、どういうことですか?フェルナンド様がブルレック辺境伯家から勘当されたとは……。モニクの結婚はどうなりますの?」
飛び込んできたのは、今日もお元気な赤毛のお二人でしたわ。
「……ヴィオレットのことはもう決まったことだ。モニクは、本気でフェルナンド様のことを愛しているならば彼が貴族でなくなって一介の騎士になったとしても結婚を許そう。」
もうこのお話も終盤になって初めてまともなことをお話になったお父様。
「そんなの嫌よ!アルフォンス様がダメでも、モニクが辺境伯夫人になる予定だったのに!一介の騎士なんて平民と変わらないじゃない!」
「そうですよ。あなた、どうにかしてくださいな!」
ギャーギャーと喚くお二人は、まるで赤い鳥のようで、まるで何を言っているのか意味が分かりませんわ。
しかも、フェルナンド様と結婚しても辺境伯はローラン様が継いでらっしゃるから辺境伯夫人になることなどできないのですが。
「相変わらずお二人とものんびりしていらっしゃる(頭が悪い)のね。」
あれだけ頑張って言葉を紡いだお父様、今では赤毛のお二人に向けて絶対零度の冷めた視線を向ける辺境伯様とフォスティーヌ夫人の方をチラチラと窺うように見ているだけですし。
ラングレー会長は私を守るように後ろから抱き締めたまま冷たい微笑みを浮かべて微動だにしませんし。
「これでは埒があきませんわ。」
そんな時再び扉が勢いよく開かれて、今度は扉がドア枠から外れて壊れてしまいましたわよ。
バターンと倒れたドア扉はもう元通りには戻りそうにありませんのに、もう私は存じ上げませんわ。
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