真実の愛を見つけましたわ!人魚に呪いをかけられた箱入り令嬢は、好みの顔した王子様のようなお方を溺愛しております

「お父様、このように丸々と太った酒樽のような方とは暮らせませんわ。隣に立てば暑苦しいったらないでしょう」

「この方も背がひょろりと高過ぎてまるで棒切れのよう。私が扇で仰げば倒れてしまうのではなくて?」

「あらあら、この方はまるで悪党のように悪いお顔をなさっておいでです。隣に立てば、私の命まで奪い取られそうですわ」

 そう言って父親であるメノーシェ伯爵を困らせているのは娘であるジュリエット・ド・メノーシェである。
 彼女は随分と前から多くの婚約者候補の姿絵を渡されては『自分の好みではない』と一蹴しているのだ。

 箱入り娘に育てられたジュリエットには人魚の呪いがかけられていた。

 十八になった時に真実の愛を見つけて婚姻を結んでいなければ、『人魚病』になってしまうという。

 『人魚病』とは、徐々に身体が人魚のような鱗に包まれて人魚のような尻尾がない代わりに両脚は固まり、涙を流せば目の鋭い痛みと共に真珠が零れ落ちるという奇病で、伝説の種族である人魚を怒らせた者にかけられる呪いによって発病すると言われている。



 そんな箱入り娘の令嬢が出逢ったのは、見目が好みの平民キリアンだった。


 世間知らずな令嬢に平民との結婚生活は送れるのか?
 

 愛するキリアンの為に華やかな令嬢生活を捨てて平民の生活を送ることになったジュリエットのドタバタラブコメです。

『小説家になろう』『ノベプラ』でも掲載中です。



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