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54. 鼻血の人※
しおりを挟む「伊織、奥にぶち込んでいい?」
「ハァ……ッ! だか……らッ、聞かない……でよ……ッ! んあ!」
ジュプッジュプッと直腸の蠢く粘膜を擦り上げて、気持ちの良いところを的確に突きながら、宗次郎はそれでも僕に聞く。
「ふふっ……。ごめん、そう言わせたいだけ……」
「や……あぁっ! んうぅぅぅッ、はあ……ッ!」
僕の腰を強く掴んで、赤く痕が付いて痛みがあるくらいにするのが宗次郎の合図で。
そこから僕のナカの奥の奥のところへ宗次郎の肉の楔がグチュッグチュッと何度も打ち込まれる。
僕はもう快楽の波にとっくに飲み込まれて、自分が何を言ってるのかも分からないほどに気持ち良い。
「ああ……ァッ! やあ……ンっ!」
「奥を突くと何かつっかかりがあって、ここをグリってやるのが好きだよな」
「やだ……ぁッ、んああァッ! ひィ……んっ!」
グリっと奥の奥を突かれると同時に、後蕾がミチミチと悲鳴を上げる。
「や……ぁ、ナカで……膨らんでる……ッ」
「んっ……、そお? いつもより、気持ち良いからかなッ!」
「んあぁぁッ!」
ズボッと引っこ抜かれそうになって、中の粘膜ごと持ってかれそうなほどの感覚が来た後に、また再びずと奥まで貫かれる。
「はぁ……っ、これ、俺も……やば……っ」
「そお、じろぉ……」
「ハァ……。伊織、挿れながら触ってやるからまた出しなよ」
「や……っ、それダメぇ……っ! んああァッ!」
ズルリと抜いてバチュンと貫かれて、同時に自分の陰茎を宗次郎に扱かれたら、僕はもう嗄れるほどに声をあげて喘ぐしかない。
「締まりすぎ……っ、伊織……っ」
「やめ……ッ、ヤァァッん!」
宗次郎に扱かれる僕の切っ先から、もう透明に近いような液体がビュクビュクと迸るのが見えたとき、僕は初めてセックス中に意識を手放した。
そこからふと目が覚めると、あったかいタオルで僕の身体を拭き清める宗次郎が見えて、宗次郎も僕に気づいた。
「ごめん、やり過ぎた……。大丈夫?」
「大丈夫……じゃない」
「だよね……。ごめんな、伊織」
シュンと落ち込みながらも、僕の身体にまとわりついた液体を拭き清める宗次郎が愛しくて。
「嘘。気持ち良かったから許す」
「痛いとこ、ない?」
痛いとこ……、ちょっとだけ流石にお尻がヒリヒリするけど大した痛みじゃない。
それに、付き合い始めると頻繁に宗次郎が男同士のやり方を調べて教えてくるから、僕も身体が変わってきちゃったみたいだ。
「ちょっとだけ、お尻痛い」
「えっ……、まじ? ごめん、薬塗ろう」
そう言って準備されてる軟膏を塗るのも宗次郎がしてくれる。
至れり尽くせりというか、こんなので良いのかな。
でも、宗次郎は何故かお世話したがるし……。
「宗次郎、もう一緒に寝よ」
「うん、待って。あとは俺のだけ……」
「じゃあこっち来てよ」
「へ?」
僕はちょっと柔らかくなった宗次郎の苦さの残るモノを、舐め上げて綺麗にしてあげた。
「ちょ……、伊織。確かに嬉しいけどさ、また勃ってくるんだけど……」
「ダメだよ、僕もうお尻がヒリヒリするんだから」
「えっ! ど、どうすれば……」
「明日まで我慢してね。じゃあ寝ようよ」
そう言って、僕は宗次郎が悶々としてるのをお尻に当たる硬いモノの感触で知りながら、いつものように後ろから抱かれる格好で眠る。
「おやすみ、宗次郎。好きだよ」
「うん、俺も好きだよ……おやすみ、伊織」
きっと朝になったら知らないうちにまた僕のお尻か、太ももが汚されてるんだと思うけど。
宗次郎は、実はこうやって放置されるのも興奮して好きなんだって前に教えてくれたから、僕は時々意地悪してあげる。
こうやって、僕らは男同士だけどちょっと変なお互いの性癖を教え合って開発しながら過ごしてく。
おんなじ男なのに、本当に性癖って違うもんだねと笑い合ったりして。
翌朝、やっぱり気付けば僕の太ももにベチャベチャしたものが掛けられてて、二人でお風呂に入るところから休日が始まった。
そういうエロくて馬鹿みたいだけど幸せな時が過ごせるのは、宗次郎と二人でいるからだとつくづく感じる。
出会った時にはまさかこんな関係になるなんて思いもしなかったけれど。
もうすぐ宗次郎と出会ってから五ヶ月が来ようとしている。
たった五ヶ月、だけど本当に濃い時間だった。
「ちょっと! 伊織! 昨日の伊織のこと思い出してて鼻血出た! 助けて!」
僕の恋人があの時みたいにまた鼻血を出したみたい。
だからって何度も処置を教えたのに、いつも僕を呼びつける。
「もう、だから下を向いて鼻の付け根を摘むんだよ。ほら、ティッシュ」
「なんかさ、昨日の伊織があまりにエロくて……。思い出したら鼻血出た」
「知らないよ、そんなの。じゃ、僕は朝食作るからちゃんと押さえててよ」
何気ない日々がキラキラして見える。
宗次郎のお陰で僕の人生は意味を持った。
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