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38. ガーランの正体は
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異国情緒漂うグラフ一座の芸は、他の一座や大道芸人のものとは少しばかり毛色が違い、披露する度観客は感嘆の声を上げる。
しかし中には何度か観に来ている観客も居たらしく、「歌姫ミーナを出せ!」と野次が飛ぶ場面もあった。そこで私はドキリとなって身体を震わせたけれど、流石にそれはアルフ様にもレネ様にも分かるはずもなかった。
「このような舞台はあまり観た事が無かったのだが、見事なものだな。ガーランという奇術師の奇術、あれは本当に奇術なのか? どう見ても種も仕掛けも無さそうだが」
「不思議な人なんです。ガーランは」
「ねぇ、観客達が騒いでるミーナってどんな人なの? 歌姫って言ってるけど、今日は出ないのかな?」
私とアルフ様が話していると、レネ様が身を乗り出してそう尋ねてきた。
「ミーナは……、時々しか舞台に上がらない歌い手でだそうですよ」
「へぇ、どんな人なの?」
「さぁ……顔はベールで覆われていて謎だと言われていますけど」
「でも、ワルター殿と仲の良い貴女なら、歌姫ミーナの正体をご存知なのでは?」
レネ様に答えながら、私の胸は嫌な鼓動を抑えようと必死だった。もしかして、レネ様は気づいてしまったのかも知れない。私がミーナで、舞台に立つ為に城を抜け出しているのだと。
「私は……」
レネ様だけでなく、私を愛してくださるアルフ様にも嘘を吐いているという事が、無遠慮にグッと拳を突っ込んで抉られるように胸を苦しくさせた。
「妖精……?」
「わぁ! 可愛い! 妖精だ!」
「おお! 妖精王様! 妖精王様だ!」
「あぁ……長らく妖精のお姿は拝見していなかったけど、本物だ!」
その時、ひときわ大きく観客の歓声が上がる。舞台上でガーランが普段よりも手の込んだ奇術を……。いいえ、もはや奇術とは呼べないほどの現象を起こしていたから。
「人間達よ、妖精王である僕の為にこのような祭りを開いてくれるなんて嬉しいな。忘れもしないよ、八百年前……戦で親を亡くし、悲しみに暮れる気の毒な人間の娘に、祝福を授けたんだ」
ガーランは舞台の上で宙に浮き、その周囲には黄金色をした小さな光の粒が煌めいている。そして、手のひらに乗るくらいの大きさの羽の生えた人間のようなモノが数多く飛んでいた。
「人間達に痛みと喜びが、等しく与えられるように。どちらが欠けても、結局は駄目になるからね」
妖精達は観衆の多くが妖精王の突然の出現に呆気に取られるか、中には涙ぐむなどしている人がいる事にも構わずに、どんどんと金色の粒と可愛らしい花々を撒き散らしながら飛んで行く。
「ガーランが……妖精王だったなんて……」
「グラフ一座は、ワルター殿は、とんでもないお方を味方につけているのだな」
「私も全く存じ上げませんでした」
何となく、魔法のような不思議な力に違和感は持っていたけれど。まさかこの世界で神と並んで偉大な妖精王とは……。
普段あまり動じないアルフ様も心底驚かれたようで、私の肩を抱きながらもガーランの方を瞬きも忘れて見つめている。
「今日は特別だよ。僕の祝福だけでなく、皆が慕う銀髪の歌姫ミーナの祈りも贈ろうか」
「わぁぁ! ミーナ! ミーナ! ミーナ!」
大歓声に包まれる中、舞台の上でそれはもう神々しく煌めいている妖精王ガーランの悪戯な視線が、私の方へと向けられた気がした。
まさか……、アルフ様やレネ様もいらっしゃるのに……。無理よ……。
やがて私の不安など関係ないとでも言うように、ガーランの形の良い唇が動く。「だいじょうぶ、おいで」と。
「エリザベート……っ⁉︎」
「はぁ⁉︎」
隣にいた筈のアルフ様とレネ様の驚きの声は、あっという間に私の下方へと移動した。けれどそれは二人が移動したわけではなく、私の身体が広場にある大きな噴水の水柱の高さほど空高くに、浮き上がっていたのだった。
「ガ、ガーラン……! いや……っ、こんなに高いと怖いわ! それに、皆に顔を見られたら……っ」
「怖くないよ。僕の愛しのミーナを、絶対に落としたりしないからね。ミーナの顔はちゃんと僕が認識阻害しているから、観衆達にはいつものベールを被った姿に見えているよ」
「ほ、ほんとう?」
「僕はミーナの嫌がる事はしないよ。当然だろう?」
楽しそうにフワフワと飛ぶ妖精達を周りに従えながら、あっという間に私のそばに飛んで来たガーラン。そんな事を言いつつふわりと私を縦に抱き上げると、舞台の方へと再び戻っていく。
観客達の大歓声と興奮した叫びで、アルフ様やレネ様の声はもう聞こえない。そちらを振り向こうとしても、私を抱き上げたガーランが許さないとばかりに抱え込んでいて見えない。
「でも、ガーラン……どうして?」
「僕の可愛いミーナ、嘘を吐くのが辛いんだろう? アルフレートは受け入れてくれる。怖がらずに、いつものように歌ってごらん。ミーナの歌声を観客の皆も待っているよ」
耳元で囁くガーランの声はいつもと同じ筈なのに、その正体は偉大なる妖精王だと思うと不思議だった。
「貴方には、何故私の心が分かるの?」
「くくっ……さぁ? 何故かな? 祈りの唄を歌い終わったら答え合わせをしよう」
「祈りの唄?」
「そうだよ、あれは祈りの唄だ」
祈りの唄? ずっと子守唄だとばかり思っていたのに、お母様が私の為に歌ってくれていたのは祈りの唄だったの?
突然の状況と分からないことばかりで、私は混乱していた。ガーランが舞台の上にそっと下ろしてくれた時、遠くからこちらへ駆け寄ってくるアルフ様とレネ様が見えた。
「全く、少しも離れていられないのかな」
ガーランがそう呟くと、アルフ様とレネ様の身体が金の粒に囲まれて、そこで動きを止める。無理矢理拘束されているわけでは無さそうだけれど、自由に動けないみたい。
「ミーナの歌声を、黙って聞いてやってくれる? 今から祈りの唄を、この帝国に捧げるから」
そう大きな声を出していないはずの妖精王ガーランの声は、不思議なことに遠くまで響いた。ざわついていた観衆がシンとなって、胸の前で腕を組んだり大切な人と手を繋いだりするのが見える。
「さぁ、僕の愛しのミーナ。いつものように、祈りを捧げて」
しかし中には何度か観に来ている観客も居たらしく、「歌姫ミーナを出せ!」と野次が飛ぶ場面もあった。そこで私はドキリとなって身体を震わせたけれど、流石にそれはアルフ様にもレネ様にも分かるはずもなかった。
「このような舞台はあまり観た事が無かったのだが、見事なものだな。ガーランという奇術師の奇術、あれは本当に奇術なのか? どう見ても種も仕掛けも無さそうだが」
「不思議な人なんです。ガーランは」
「ねぇ、観客達が騒いでるミーナってどんな人なの? 歌姫って言ってるけど、今日は出ないのかな?」
私とアルフ様が話していると、レネ様が身を乗り出してそう尋ねてきた。
「ミーナは……、時々しか舞台に上がらない歌い手でだそうですよ」
「へぇ、どんな人なの?」
「さぁ……顔はベールで覆われていて謎だと言われていますけど」
「でも、ワルター殿と仲の良い貴女なら、歌姫ミーナの正体をご存知なのでは?」
レネ様に答えながら、私の胸は嫌な鼓動を抑えようと必死だった。もしかして、レネ様は気づいてしまったのかも知れない。私がミーナで、舞台に立つ為に城を抜け出しているのだと。
「私は……」
レネ様だけでなく、私を愛してくださるアルフ様にも嘘を吐いているという事が、無遠慮にグッと拳を突っ込んで抉られるように胸を苦しくさせた。
「妖精……?」
「わぁ! 可愛い! 妖精だ!」
「おお! 妖精王様! 妖精王様だ!」
「あぁ……長らく妖精のお姿は拝見していなかったけど、本物だ!」
その時、ひときわ大きく観客の歓声が上がる。舞台上でガーランが普段よりも手の込んだ奇術を……。いいえ、もはや奇術とは呼べないほどの現象を起こしていたから。
「人間達よ、妖精王である僕の為にこのような祭りを開いてくれるなんて嬉しいな。忘れもしないよ、八百年前……戦で親を亡くし、悲しみに暮れる気の毒な人間の娘に、祝福を授けたんだ」
ガーランは舞台の上で宙に浮き、その周囲には黄金色をした小さな光の粒が煌めいている。そして、手のひらに乗るくらいの大きさの羽の生えた人間のようなモノが数多く飛んでいた。
「人間達に痛みと喜びが、等しく与えられるように。どちらが欠けても、結局は駄目になるからね」
妖精達は観衆の多くが妖精王の突然の出現に呆気に取られるか、中には涙ぐむなどしている人がいる事にも構わずに、どんどんと金色の粒と可愛らしい花々を撒き散らしながら飛んで行く。
「ガーランが……妖精王だったなんて……」
「グラフ一座は、ワルター殿は、とんでもないお方を味方につけているのだな」
「私も全く存じ上げませんでした」
何となく、魔法のような不思議な力に違和感は持っていたけれど。まさかこの世界で神と並んで偉大な妖精王とは……。
普段あまり動じないアルフ様も心底驚かれたようで、私の肩を抱きながらもガーランの方を瞬きも忘れて見つめている。
「今日は特別だよ。僕の祝福だけでなく、皆が慕う銀髪の歌姫ミーナの祈りも贈ろうか」
「わぁぁ! ミーナ! ミーナ! ミーナ!」
大歓声に包まれる中、舞台の上でそれはもう神々しく煌めいている妖精王ガーランの悪戯な視線が、私の方へと向けられた気がした。
まさか……、アルフ様やレネ様もいらっしゃるのに……。無理よ……。
やがて私の不安など関係ないとでも言うように、ガーランの形の良い唇が動く。「だいじょうぶ、おいで」と。
「エリザベート……っ⁉︎」
「はぁ⁉︎」
隣にいた筈のアルフ様とレネ様の驚きの声は、あっという間に私の下方へと移動した。けれどそれは二人が移動したわけではなく、私の身体が広場にある大きな噴水の水柱の高さほど空高くに、浮き上がっていたのだった。
「ガ、ガーラン……! いや……っ、こんなに高いと怖いわ! それに、皆に顔を見られたら……っ」
「怖くないよ。僕の愛しのミーナを、絶対に落としたりしないからね。ミーナの顔はちゃんと僕が認識阻害しているから、観衆達にはいつものベールを被った姿に見えているよ」
「ほ、ほんとう?」
「僕はミーナの嫌がる事はしないよ。当然だろう?」
楽しそうにフワフワと飛ぶ妖精達を周りに従えながら、あっという間に私のそばに飛んで来たガーラン。そんな事を言いつつふわりと私を縦に抱き上げると、舞台の方へと再び戻っていく。
観客達の大歓声と興奮した叫びで、アルフ様やレネ様の声はもう聞こえない。そちらを振り向こうとしても、私を抱き上げたガーランが許さないとばかりに抱え込んでいて見えない。
「でも、ガーラン……どうして?」
「僕の可愛いミーナ、嘘を吐くのが辛いんだろう? アルフレートは受け入れてくれる。怖がらずに、いつものように歌ってごらん。ミーナの歌声を観客の皆も待っているよ」
耳元で囁くガーランの声はいつもと同じ筈なのに、その正体は偉大なる妖精王だと思うと不思議だった。
「貴方には、何故私の心が分かるの?」
「くくっ……さぁ? 何故かな? 祈りの唄を歌い終わったら答え合わせをしよう」
「祈りの唄?」
「そうだよ、あれは祈りの唄だ」
祈りの唄? ずっと子守唄だとばかり思っていたのに、お母様が私の為に歌ってくれていたのは祈りの唄だったの?
突然の状況と分からないことばかりで、私は混乱していた。ガーランが舞台の上にそっと下ろしてくれた時、遠くからこちらへ駆け寄ってくるアルフ様とレネ様が見えた。
「全く、少しも離れていられないのかな」
ガーランがそう呟くと、アルフ様とレネ様の身体が金の粒に囲まれて、そこで動きを止める。無理矢理拘束されているわけでは無さそうだけれど、自由に動けないみたい。
「ミーナの歌声を、黙って聞いてやってくれる? 今から祈りの唄を、この帝国に捧げるから」
そう大きな声を出していないはずの妖精王ガーランの声は、不思議なことに遠くまで響いた。ざわついていた観衆がシンとなって、胸の前で腕を組んだり大切な人と手を繋いだりするのが見える。
「さぁ、僕の愛しのミーナ。いつものように、祈りを捧げて」
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