上 下
12 / 57

11、へいSiri、うざい兄の撃退方法を教えて

しおりを挟む


「恭~今週の土曜、部活が休みなんだけどデートしよ」

「無理」

「なんで?兄ちゃんとイチャイ………遊びたくないの?」

俺は食べていたサラダを飲み込んでからスマホを開いた。

確かその日はトモとサクヤと遊ぶ日だったはず。

てか今悠にぃ、イチャイチャって言ったよな。
誰もしたくないわ。

「…その日遊び行く。門限までには帰るから。多分。」

「「は?」」

あ、そういえば遊び行くこと言ってなかったっけ。

めんどくさ……

「誰と?俺、許可した覚えないんだけど。」

「俺らの許可なしに行くなっていつも言ってるよね?誰とどこで何をするのかちゃんと言いなさい。」

出たよ…

俺、もう高校生なんだけど。これ、小学生くらいの子供に親が言わせるやつだよね。

あれ、俺今何歳だっけ。


…なんて言えるわけがない。

「トモとサクヤがケーキバイキング連れてってくれるって。だから兄さんたちとは遊びません。」

「「……………チッ」」

舌打ちをした2人は目配せし合ってそれぞれのスマホを取り出した。

「……あ、もしもし智則クン?俺だけど。さっそくだけどさ、今週の土曜って予定ある?」

「ちょっ!おい!何やってんだ!!」

どうやらあいつらを丸め込むつもりらしい。

「……ん?…よ、て、い、あ、る?…うんうん。ないよね。よかったぁ。恭がさ今週の土曜どっかの誰かさん達と遊び行くとか言い出してさ~。智則クンじゃなかったんだね~。あ、用件はそれだけだから。じゃあねー………恭、智則は予定ないってよ?」

「……………」

お前が脅したんだろうが。

あまりに華麗な脅しだったからなんも言葉が出ないわ。

てかトモの奴、裏切ったな……

3日くらい無視ろ。

「悠、そっちは?」

「着拒されてる。恭、スマホ貸せ。」

「やだよ」

……なんでサクヤの連絡先も知ってんだ。

まぁ俺の抵抗も虚しくスマホは俺の手を離れていった。

力でこのパワーゴリラに勝てるわけないんだけどさ。

「……あ、もしもし朔夜クン?恭の兄の………切れた。」

ナイス。

さすがどっかの裏切り者とは違うわ。明日ジュースでも奢ろ。

「まじでサクヤ……ほんっとムカつく。」

ちなみにうちの兄さんたちとサクヤはめちゃくちゃ仲が悪い。

兄さんたちに面と向かって喧嘩仕掛けられるのもサクヤだけだな。

本当頼りになる。

「はぁ………。ケーキバイキングなら俺らと行けばいいじゃん。ね?」

「無理。兄さんたち、甘いものそんな食べれないじゃん」

「別に食べなくても…」

「そんな人たちと行っても楽しくない。いいじゃん別に。あの2人なら兄さんたちもよく知ってるでしょ」

「だめ。サクヤだけはダメ。あいつは油断ならん。」

「…お前らに比べりゃ全然マシだよ……」

「なんか言った?」

「ナンデモアリマセン。」

やっぱり兄さんたちの笑顔の圧力には勝てる気がしない。

と、俺の携帯が震えた。

画面を見ると"トモ"と2文字。

俺は恨みを込めて無言で電話を切った。

「どうしたら行かせてくれるの。」

「あ、今のセリフ上目遣いで、それから途切れ途切れでこのカメラに向かって言ってみ?」

「は?」

スマホを構え始めた2人に睨みつつ再び震えるスマホの着信を切る。

「…………………トモ…は裏切ったからいいけど、サクヤと遊び行きたいんだけど。」

「どうしたら俺らと遊び行ってくれるの?」

ダメだ。話が噛み合わん。

「サクヤの方が先約なんだって。サクヤも甘いもの好きだし。」

「「じゃあ俺らも一緒に行く。」」

「はぁ?!」

顔を見合わせた2人が最悪の条件を提示してきた。

マジでこの2人なんなの。厄病神ですか?悪魔ですか?鬼ですか?

俺の楽しみにしてたスイーツデイを粉々にぶっ壊すつもりですか?

「絶対やだ。来ないで。」

来た時の様子を考えて背筋に悪寒が走った。

そういやこの間夕飯食べに行った時も付いてきたんだっけ。
最悪だったな。

「……来たら嫌いになるよ」

「嫌われたら即犯すよ?嫌われる心配がないからね」

…すでに今嫌いになってる最中だよ!!

「………絶交するよ」

「それは困る」

「でも今以上にくっつくよ?」

「……何なの?!俺にとって不利なことしかないじゃん!!」

ダメだ。いったん退こう。

俺じゃ兄さんたちには勝てないわ。

サクヤに相談しよ。あいつプロだから。

「……この話、保留で。」

「はいはい。」

保留宣言をすると2人はニコッと笑いながらこちらを見てくる。

…これは余裕がある時の笑顔だ。

マジでムカつく!!!


俺は負ける予感がして若干泣きそうになりながら5度目になるトモからの着信を切った。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

兄たちが溺愛するのは当たり前だと思ってました

不知火
BL
温かい家族に包まれた1人の男の子のお話 爵位などを使った設定がありますが、わたしの知識不足で実際とは異なった表現を使用している場合がございます。ご了承ください。追々、しっかり事実に沿った設定に変更していきたいと思います。

兄に嫌われてる弟ですが誤解が解けたら十数年分溺愛されました(完)

みかん畑
BL
王位継承権の関係で嫌われていた弟が兄を庇って女体化の呪いにかかった後のお話です。 ハッピーエンド保証。ジャンルは分かりません。甘々の溺愛系です。 微エロあり、ご注意を。 9/12 恋愛⇒BLに移しておきます。TSモノのBLなので苦手な方は回避お願いします。 9/18 本編完結済みですがたまにチマチマ更新します。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

ある日、人気俳優の弟になりました。

樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

双子攻略が難解すぎてもうやりたくない

はー
BL
※監禁、調教、ストーカーなどの表現があります。 22歳で死んでしまった俺はどうやら乙女ゲームの世界にストーカーとして転生したらしい。 脱ストーカーして少し遠くから傍観していたはずなのにこの双子は何で絡んでくるんだ!! ストーカーされてた双子×ストーカー辞めたストーカー(転生者)の話 ⭐︎登場人物⭐︎ 元ストーカーくん(転生者)佐藤翔  主人公 一宮桜  攻略対象1 東雲春馬  攻略対象2 早乙女夏樹  攻略対象3 如月雪成(双子兄)  攻略対象4 如月雪 (双子弟)  元ストーカーくんの兄   佐藤明

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

処理中です...