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第9章 継母と継子と愉快な仲間たち

第275話 アゴ

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「なんかさ、アンジュはいつも自信がないとか言ってるけど、エレンでさえ手に負えないルールーに、これだけ好かれてるってだけでもっと自信もっていいと思うよ( ´_ゝ`)ヤレヤレ」

エレンは首をぐるぐる回して筋の具合を確かめた。

エレンはアンジュのような『のんびり系めんどくさい人間』の扱いは慣れているが、ルールーのように『高度に発達した結果一周回って狂気の沙汰系めんどくさい人間』の扱いは苦手であった。

多分得意な人間はこの世に存在しない。


「ル、ルールーは、こ、公務も完璧で、ゆ、優秀で、わ、わたしなんかと違って、で、でもルールーは妹だから、わ、わた、私はルールーの姉だけど…」

アンジュはルールーにしがみつかれ、涙目になりながらもしどろもどろ言った。

「アガガ、アガガ、アゴ、アガガ、アガガダ、ベリ…」

ルールーはアンジュの腹に顔を埋めながらやばい感じでなんか言った。

「『アンジュ姉さまが、私のことを公務も完璧で優秀で、世界一可愛くて、ベンジャミンなんかより大大大好きっていってくれた!もうこれはベンジャミンとの離婚一択!』って言ってるよ!」

バラバラがアハハハと笑いながらルールーの言ってることを翻訳した。

「まず文字数合ってないし、情報の捏造がエグいし、あと一回絶対アゴって言ったよ!( ´_ゝ`)!」

いつもはツッコまれる側のエレンがツッコミ側に回る珍しい現象が発生した。

「まぁ、そこは姉妹しかわからないニュアンスが含まれているからね。ほら、外国語を翻訳するって言っても、どうしてもそのまま訳すより付け加えたほうが正確に伝わるときってあるだろ?戦時中は正確に情報が伝わらないと命取りになるときもあるからさ。」

「ここは戦場じゃないし、妹の発言を外国語扱い!もはや外国語ってかこの世の言葉ではないがな!!( ´_ゝ`)!!」

珍しくエレンがゼエハアいいながら疲れ始めた。

隣国王女三姉妹、中々曲者揃いであった。
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