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一章 炎竜氷竜と侍従長
侍従長の部下?
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そのときまで忘れることにします。そう言って、すっかり忘れていられた僕も大概碌でもないが。
そうだった、エーリアさんが言っていた、面接に遣って来るという二人。
侍従長の執務室に戻ると、カレンは資料の整理中。そして部屋の中央の長椅子に、青年と少年、というか、子供、とさえ言える周期の、シアやシーソと同周期の男の子が、若干以上に緊張した様子で座っていた。
それに比して、青年のほうは落ち着いたものである。
優男、というか少し頼りない印象の、然し体はそれなりに鍛えてあるのか、力強さも感じるという、奇妙な魅力を持った青年。
然しもやは見間違いではない。柔和な笑みを浮かべる好青年は、遊牧民だった。
カノンさんやデアさんの衣装に比べると質素なもので、実際使っている生地が違うのだろう、とはいえこの様相は紛れもなくアディステルの民。
僕が長椅子に座ると、数枚の紙を持ったカレンが遣って来て、右側の椅子に腰掛ける。
﨟長けた所作に、醸される気品。そこに居るだけで、カレンの席のほうが上座に見えてしまうから不思議ーーではないか。
不思議、と言うなら、彼らの反応。
カレンが近付くと、彼女に見蕩れたりあからさまに目を逸らしたり、といった行動を大抵の男たちは取るのだが、彼らはどちらでもなかった。
「風聞されている中にあるかもしれませんが、侍従という本来の役目以外も熟しているこの部署は、慢性的に人手不足です。余程のことがない限り、採用の運びとなるので、今日から働くという心積もりでお願いします」
少年を安心させる意図を込めて。それとこちらが本命だが、堅い物言いで二人の見識や才覚といったものを見極めるよう努める。
特に少年。子供も労働力と見做される世相では、学ぶ機会が得られない子供のほうが多数を占める。悪名高き、と自分で言ってれば世話ないが、侍従長のところに来るくらいだから、相応のものはあると思うのだが。
身形にはあまり気を使っていないのだろうか、野性味を覚えるがシアと同じく目には知性の輝きがある。然し乍らより強い、シアとは異なる光も看守できる。
服は、竜の国に移住した際に支給されたもの。となると、光竜の、竜の家の子供の一人なのかもしれない。
青年を見ると、即座に了解して、自己紹介を始める。
「お初にお目に掛かります。シス・イスと申します。採用の運び、とのことですが、是非に任じていただきたいので、胸襟を開かせていただきます」
第一声、前のめりの感が否めなかったので、確認がてら、或いは答え合わせの序でに、遠回竜……ではなく、はぐらかすことにする。
ぐっ、朝から色々あったから、心身ともに疲れているのだろうか。今日はまだ、七つ音の召集に、重大な懸念もあるというのに。
「遊牧民の皆さんは、僕に対してささくれ立った気分になることが間々、往々? いえ、頻々とあるようなので、彼らのことを調べました。先ずは、ですが、シスさん、ではなく、イスさんと呼ぶのが正しいのですよね?」
「呼び捨てで結構。と言いたいところですが、竜の国の流儀に則って自由にお呼びください。仰る通り、我らは、他の一族を、一族の姓で呼びます。一族の内では、名で呼び合います。何故かと言うと、仕来り、と言ってしまうのが簡単なのですが、基本的に他の一族と混じり合うことはなく、必要に応じて、というところでしょうか」
「それでは、イスさんの一族の方が複数いた場合、他の一族の方は、どのようにされているのでしょう」
「はい、次長。我らには、銘々に渾名のようなものが付けられます。例えば、私は、雷のイス、と他の一族から呼ばれます。私が生まれたとき、雷が落ちたことから付けられました。これは功績、または罪過などによって変わることがあります。イスの一族内では、私のことを『双雷』の字とする向きがあるようです」
カレンが手元の紙に目を落としてーー、ああ、そうか、エーリアさんが被面接者の資料を渡すと言っていたが、あれがそうなのか。
顔を上げると、イスさんに質す。
「長老の候補、アディステルの戦士の候補を五名選出し、後継を決めるそうですが、イスさんは両方、選出されていますね。畢竟するに、これが双雷の謂われなのかしら」
「そう、なります。イスの一族は弱小……ととっ、数が少ないので、過大な評価を受けています」
「最大の一族は、カノン一族で、長老を多く輩出。デア一族は、数は少ないものの、多くの戦士を。有力一族は四つ、カノン、アタ、キヤス、テウ。ーーところで、イスさんは、遊牧民らしからぬ物言いをされていますが、それも志望した理由の一つなのでしょうか?」
うわぁ、遠慮なくぐいぐいいくなぁ。
そういえば、カレンは部下を持ったことがなかったっけ。まさか気負っているわけではないだろうし、気に掛かることでもあるのかな。
「ふぅ~、……では、話させて頂きます。アディステルの民は、竜を信仰していますが、私は、あそこまで傾倒しているわけではありません。正直ーー、嫌なんですっ、無理なんです! 何であの人たちはあんななんですかっ! っ、と、失礼しました。それ故、私は子供の頃から、いつか一族を抜けて、見知らぬ国へ旅立とうと決めていました」
溜まりに溜まったものが激発し掛けたシスさんだが、既に理性の力で抑え込む。
「私には婚約者ーーではないのですが、周りも相手もそうなることを望んでいる、そんな幼馴染みの女性がいます」
「結婚してしまえば旅立てない。然し、今以て実行に移していないということは、気の置けない相手だからでしょうか?」
「彼女はーークルは、あっ、違います、その、宰相のことではなく、彼女の名は、クル・エスタで、幼い頃からクルと呼ぶよう言われていたので、ついうっかり……」
「ーークル・エスタ。仄聞したところでは、クル様の、近衛隊の事務を担当。そちら方面が苦手な方が多い近衛隊の中では重宝、重用されているとか」
「彼女は宰相に憧れたのではなく、共感したようなのです。意外でしたが、彼女は美人で気立てが良く、才知に優れ、料理は美味しいし編み物も得意、優しい笑顔が魅力的な女性なので、外に出て、それが知られるのは良いことです」
……聞いていると、何だか殴りたくなってくるような、って、いやいや、別に羨ましいわけではないですよ?
幼馴染みどころか友達さえいなかった僕の悲惨な子供時代……、いやさ、そうではなく。
彼の言い様では、何だか惚気られた気分になってくるのだが。
「今は、竜の民なのですから、えっと、エスタさんを娶ったとしても問題ないのでは?」
ここは直接聞いたほうが早いだろうと判断して、正面から尋ねると、痛いところを突かれたという格好のシスさんは、搾り出すようにして、言葉を吐き出した。
「うっ、うぅ、その……、クルは、ーーデアさん並みなんです」
「「…………」」
「そうっ、あれさえ! あれさえなければっ! 彼女以上の女性なんていないかもしれないっ、でもでもでもでもでもっ、どうしても駄目なんです! 本能の部分で否定してくるんですっ!」
思ったよりも感情が豊かなようだ。炎竜を背負ったかと思うと、氷竜に抱き付かれて、
「……私は、普通の女性と結ばれたいのです。目立たなくても良い、ときどき笑い掛けてくれて、ーーそんな姿が可愛らしいと思えるような、穏やかな生活を望んでいるのです。その願望を成就する為、まことに非礼ながら、アディステルの民の天敵である侍従長を利用ーー、味方に付けるのが最良であると判断した次第です」
淡々と吐露してゆく。
あー、うん、それについてはもはや何も言うまい。竜の国に裨益するのなら、大抵のことには目を瞑ろう。
その代わり、別のことを尋ねよう。
「然し、よくあの方々が、天敵のところに来ることを許してくれましたね。『双雷』と呼ばれ、嘱望されているなら、尚の事生贄を差し出すような真似をするなんて」
「そこは先ず、炎竜祭を俎上に載せました。侍従長の下で、炎竜祭の運営を担当するよう仕向けると。それと『竜の寝床計画』、『竜の安眠計画』に続き、『竜の逗留計画』が動いています。侍従長から信任を得ることで、彼らの悲願である『竜の移住計画』を実現できるかもしれないと、唆しました」
「そういえば『竜の逗留計画』の稟議書が上がってきてましたっけ。今のところ実害はないので、この一件はイスさんにお任せします」
「感謝いたします」
どっちらけ、ということはないが、空を飛ぶ地竜を見た気分である。
然はあれ即戦力となってくれるだろうことは間違いないようだ。
そして、僕らの会話の最中も、気を緩めることなく耳を傾けていた少年。それとなく気色を窺っていたが、幼馴染みのくだりで切歯扼腕、とまではいかないが、奥歯に力が入ったのを確認。
同じくカレンも、イスさんが伴侶の理想像を語ったところで、思うところがあるのか惟るような仕草が見られた。
まぁ、皆周期頃で若いし、多感であるのは当然。などと達観できる立場ではない。僕もスナ、みーや百竜、竜全般のことで悩んでいるので、人のことを言えた義理ではないのだけど。
「では、次は君の番だね。先ずは、自己紹介からお願いしようかな」
思惟の湖に潜りそうになったので、慌てて浮上して、風竜の加護を心象、少年の緊張が解けるよう柔らかな言葉使いを心掛ける。
周期が下の子供たちに慕われることが無いのは、ここら辺に原因があるかもしれないので、練習の意味も込めてやってみる。
「俺はギザマルにまけたくない。だから、ここにきた」
自己紹介、というよりは、決意表明。
その眼差しには、子供らしい純粋さと、凄惨なものを見せられてきたのだろうか、傷跡のような澱んだものが同居していた。
然ても、ギザマル、か。
ギザマルとは、魔物との混血とも言われる害獣であり、嘗てのシアの名前である。
少年が発した、ギザマル、がシアを指してのものであろうことは疑いないが。シアが王弟になった経緯を知らないイスさんが、少年の言葉にぎょっとする。
確かに、彼からしたら意味不明だろう。
「姓は、捨てたのかしら、ガルーーという名も、渾名か偽名か、何かあるようね。シア様と同じく、クラバリッタの城街地出身。同様に、子供たちを率いていた。その数は、シア様たちの数倍の規模で、犠牲を厭わない強引な遣り方で大人たちの反感を買い、終には捕らえられますが、城街地に赴いた際に通り掛かったクル様によって事なきを得たようです」
クラバリッタに奉じていたボルンさんの弟子であったエーリアさんは、当然城街地のことも調べていたのだろう。
大路で頼まれたそうだが、城街地で接触したことがあったのだろうか。竜にも角にも、カレンが先を読み上げようとして、口を閉ざして、由有り気な視線をガルに向ける。
自分で言わなければ私が言いますよ(訳、ランル・リシェ)、ということらしい。観念したわけではないだろうが、少年の重たい口が開かれる。
「ーー親父は没落貴族で、俺に望みをかけた。物心ついたころから厳しく育てられたけど、酒ににげた親父は、身をもち崩して、城街地にきておっちんだ。すかんぴん親父とつながる名前なんていらない。でも、名前いがいに俺がもってるものはなかったから、ガルフィーリスの、ガルだけは残すことにした。ーー竜の国につれてこられて、穏やかにくらしてると、これまでのことが夢のように思えることがある。でも、ちがう、俺は独りだ。最後に失敗した俺から、皆離れた。あいつらは誰も俺をせめなかった。もとに戻りたいわけじゃない。じゃあ、どうしたいのかって考えた。そんで、きづいた。そうだった、俺は、ギザマルより強くならなきゃいけないんだって、あいつより上じゃないと、シーソ……っ!」
未熟で、いや、半熟と言っておこう、ぶっきら棒な口の利き方だが、この周期で自身を省みて、思いを口に出来るというのは、中々できることではない。見所はあるということか。
言葉遣いから始まって、色々と矯正してやる必要はあるが、彼はすでに重要なものを身に付けている。となると、僕のようにならないよう涵養するのがいいだろうか。
「ん? シーソのような相棒が欲しかったということかな?」
僕が所見を述べると、当たったのだろうか、ガルの表情に安堵の色が広がる。
「……ランル・リシェ。どうしてあなたは、そう休眠期の竜のように感受性が眠りに就いているのですか。炎竜を見るより明らかでしょう、彼はシーソさんに……」
「次長。そこまでにしておきましょう。氷竜に見られるのは、ーーあなただって、お嫌でしょう?」
周期の差だろうか、これまでの立場が逆転して、イスさんに窘められる侍従次長。
よくわからないが、複雑な感情を持て余しているらしい少女の黒曜の瞳が、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、僕とがっちんこすると、何故だろう、凄い勢いで睨まれた。
あれ? 僕が悪いのだろうか、それともらしくなく八つ当たりとかだろうか。
カレンが立ち上がって、びくっとする僕に一瞥もくれず、すたすたすた。また、然かと思えば、すたすたすたと戻ってきて、卓の上に冊子や紙の束を置く。
見ると、これは先程カレンが整理していた資料だろうか、一番上の冊子は、名簿ーーのようだが。
「御二人の前にあるのは、ここで働くのに必要な手引書のようなものです。明日の始業時までに目を通しておいてください」
「いつの間にこんなものを……」
「何を言っているのです。『必要になるかもしれない』と言っていたのは、ランル・リシェ、あなたでしょう。時間が空いているときに作ったものを、あなたが戻って来るまでの間に纏めておきました」
以前にも思ったけど、優秀過ぎる部下って怖いですね。
「そういうわけですので、翠緑宮に居室を用意しましょう。肩書きは、侍従ということになるけど、居室は一階になるのかな?」
「侍従としての仕事以外のほうが多いので、そのほうが無難かと」
「では……」
「今日から働く、ということですので、手配などは自分たちで行っておきます。今日はこれで手一杯ですが、職員の方々に挨拶をしておきます」
僕が椅子に手を掛けると、逸早く資料を手に立ち上がって、苦笑いのイスさん。
この資料の量は、カレンならどうということはないのだろうが、彼の手には余るようだ。イスさんに倣い、遅れて起立するガル。
二人とも、色々事情はあるようだが、問題はない(僕らの部署が問題だらけなので)だろう。それでもまだ、カレンと同時に休みが取れるほどではないが、そう遠くない内に、それも可能になるかもしれない。
二人が退室して、そんなことを考えていたら、再びすたすたすた、すたすたすた。
この度も、その歩みに、迷いは一切ない。あと二回、今日の内に戦ってしまうようだ。
「大丈夫です。仕事も序でに熟します」
「…………」
そこは建前でもいいので、仕事の序でに、と言って欲しかった。
正直なことは美点ではあるが、いや、僕の薫陶を受けるとしても、こういうカレンらしい部分を失うのはもったいないか。
ぴしっ。
小気味良い音が響く。
ファタを脅したときのようにカレンに頬を打たれたわけではなく、前回も負けたので、先手のカレンが地竜を動かした音である。
「ちょっと待ってね。執務室で作業できる分を持ってくるから」
「私の分も頼みます」
戦略を練っているのだろうか、竜棋の盤を見詰めて、竜でも動かない、といった様子のカレンさん。
真剣な彼女は、触れたら斬れそうで、ちょっと苦手なので、早々に追い詰めて、柔らかくしてあげるのが最適解か。
然てこそ定石破りに、炎竜から動かす。
「きぃぅ、……姑息な。ですが、以前までの私と同じだなどと、思わないことですっ」
言葉通り、カレンは粘りに粘って。どろどろどろん娘になって。
侍従長の執務室に謎悲鳴が上がり続けて、良からぬ噂を撒き散らすことになるのだが、それはまた別の話である。
そうだった、エーリアさんが言っていた、面接に遣って来るという二人。
侍従長の執務室に戻ると、カレンは資料の整理中。そして部屋の中央の長椅子に、青年と少年、というか、子供、とさえ言える周期の、シアやシーソと同周期の男の子が、若干以上に緊張した様子で座っていた。
それに比して、青年のほうは落ち着いたものである。
優男、というか少し頼りない印象の、然し体はそれなりに鍛えてあるのか、力強さも感じるという、奇妙な魅力を持った青年。
然しもやは見間違いではない。柔和な笑みを浮かべる好青年は、遊牧民だった。
カノンさんやデアさんの衣装に比べると質素なもので、実際使っている生地が違うのだろう、とはいえこの様相は紛れもなくアディステルの民。
僕が長椅子に座ると、数枚の紙を持ったカレンが遣って来て、右側の椅子に腰掛ける。
﨟長けた所作に、醸される気品。そこに居るだけで、カレンの席のほうが上座に見えてしまうから不思議ーーではないか。
不思議、と言うなら、彼らの反応。
カレンが近付くと、彼女に見蕩れたりあからさまに目を逸らしたり、といった行動を大抵の男たちは取るのだが、彼らはどちらでもなかった。
「風聞されている中にあるかもしれませんが、侍従という本来の役目以外も熟しているこの部署は、慢性的に人手不足です。余程のことがない限り、採用の運びとなるので、今日から働くという心積もりでお願いします」
少年を安心させる意図を込めて。それとこちらが本命だが、堅い物言いで二人の見識や才覚といったものを見極めるよう努める。
特に少年。子供も労働力と見做される世相では、学ぶ機会が得られない子供のほうが多数を占める。悪名高き、と自分で言ってれば世話ないが、侍従長のところに来るくらいだから、相応のものはあると思うのだが。
身形にはあまり気を使っていないのだろうか、野性味を覚えるがシアと同じく目には知性の輝きがある。然し乍らより強い、シアとは異なる光も看守できる。
服は、竜の国に移住した際に支給されたもの。となると、光竜の、竜の家の子供の一人なのかもしれない。
青年を見ると、即座に了解して、自己紹介を始める。
「お初にお目に掛かります。シス・イスと申します。採用の運び、とのことですが、是非に任じていただきたいので、胸襟を開かせていただきます」
第一声、前のめりの感が否めなかったので、確認がてら、或いは答え合わせの序でに、遠回竜……ではなく、はぐらかすことにする。
ぐっ、朝から色々あったから、心身ともに疲れているのだろうか。今日はまだ、七つ音の召集に、重大な懸念もあるというのに。
「遊牧民の皆さんは、僕に対してささくれ立った気分になることが間々、往々? いえ、頻々とあるようなので、彼らのことを調べました。先ずは、ですが、シスさん、ではなく、イスさんと呼ぶのが正しいのですよね?」
「呼び捨てで結構。と言いたいところですが、竜の国の流儀に則って自由にお呼びください。仰る通り、我らは、他の一族を、一族の姓で呼びます。一族の内では、名で呼び合います。何故かと言うと、仕来り、と言ってしまうのが簡単なのですが、基本的に他の一族と混じり合うことはなく、必要に応じて、というところでしょうか」
「それでは、イスさんの一族の方が複数いた場合、他の一族の方は、どのようにされているのでしょう」
「はい、次長。我らには、銘々に渾名のようなものが付けられます。例えば、私は、雷のイス、と他の一族から呼ばれます。私が生まれたとき、雷が落ちたことから付けられました。これは功績、または罪過などによって変わることがあります。イスの一族内では、私のことを『双雷』の字とする向きがあるようです」
カレンが手元の紙に目を落としてーー、ああ、そうか、エーリアさんが被面接者の資料を渡すと言っていたが、あれがそうなのか。
顔を上げると、イスさんに質す。
「長老の候補、アディステルの戦士の候補を五名選出し、後継を決めるそうですが、イスさんは両方、選出されていますね。畢竟するに、これが双雷の謂われなのかしら」
「そう、なります。イスの一族は弱小……ととっ、数が少ないので、過大な評価を受けています」
「最大の一族は、カノン一族で、長老を多く輩出。デア一族は、数は少ないものの、多くの戦士を。有力一族は四つ、カノン、アタ、キヤス、テウ。ーーところで、イスさんは、遊牧民らしからぬ物言いをされていますが、それも志望した理由の一つなのでしょうか?」
うわぁ、遠慮なくぐいぐいいくなぁ。
そういえば、カレンは部下を持ったことがなかったっけ。まさか気負っているわけではないだろうし、気に掛かることでもあるのかな。
「ふぅ~、……では、話させて頂きます。アディステルの民は、竜を信仰していますが、私は、あそこまで傾倒しているわけではありません。正直ーー、嫌なんですっ、無理なんです! 何であの人たちはあんななんですかっ! っ、と、失礼しました。それ故、私は子供の頃から、いつか一族を抜けて、見知らぬ国へ旅立とうと決めていました」
溜まりに溜まったものが激発し掛けたシスさんだが、既に理性の力で抑え込む。
「私には婚約者ーーではないのですが、周りも相手もそうなることを望んでいる、そんな幼馴染みの女性がいます」
「結婚してしまえば旅立てない。然し、今以て実行に移していないということは、気の置けない相手だからでしょうか?」
「彼女はーークルは、あっ、違います、その、宰相のことではなく、彼女の名は、クル・エスタで、幼い頃からクルと呼ぶよう言われていたので、ついうっかり……」
「ーークル・エスタ。仄聞したところでは、クル様の、近衛隊の事務を担当。そちら方面が苦手な方が多い近衛隊の中では重宝、重用されているとか」
「彼女は宰相に憧れたのではなく、共感したようなのです。意外でしたが、彼女は美人で気立てが良く、才知に優れ、料理は美味しいし編み物も得意、優しい笑顔が魅力的な女性なので、外に出て、それが知られるのは良いことです」
……聞いていると、何だか殴りたくなってくるような、って、いやいや、別に羨ましいわけではないですよ?
幼馴染みどころか友達さえいなかった僕の悲惨な子供時代……、いやさ、そうではなく。
彼の言い様では、何だか惚気られた気分になってくるのだが。
「今は、竜の民なのですから、えっと、エスタさんを娶ったとしても問題ないのでは?」
ここは直接聞いたほうが早いだろうと判断して、正面から尋ねると、痛いところを突かれたという格好のシスさんは、搾り出すようにして、言葉を吐き出した。
「うっ、うぅ、その……、クルは、ーーデアさん並みなんです」
「「…………」」
「そうっ、あれさえ! あれさえなければっ! 彼女以上の女性なんていないかもしれないっ、でもでもでもでもでもっ、どうしても駄目なんです! 本能の部分で否定してくるんですっ!」
思ったよりも感情が豊かなようだ。炎竜を背負ったかと思うと、氷竜に抱き付かれて、
「……私は、普通の女性と結ばれたいのです。目立たなくても良い、ときどき笑い掛けてくれて、ーーそんな姿が可愛らしいと思えるような、穏やかな生活を望んでいるのです。その願望を成就する為、まことに非礼ながら、アディステルの民の天敵である侍従長を利用ーー、味方に付けるのが最良であると判断した次第です」
淡々と吐露してゆく。
あー、うん、それについてはもはや何も言うまい。竜の国に裨益するのなら、大抵のことには目を瞑ろう。
その代わり、別のことを尋ねよう。
「然し、よくあの方々が、天敵のところに来ることを許してくれましたね。『双雷』と呼ばれ、嘱望されているなら、尚の事生贄を差し出すような真似をするなんて」
「そこは先ず、炎竜祭を俎上に載せました。侍従長の下で、炎竜祭の運営を担当するよう仕向けると。それと『竜の寝床計画』、『竜の安眠計画』に続き、『竜の逗留計画』が動いています。侍従長から信任を得ることで、彼らの悲願である『竜の移住計画』を実現できるかもしれないと、唆しました」
「そういえば『竜の逗留計画』の稟議書が上がってきてましたっけ。今のところ実害はないので、この一件はイスさんにお任せします」
「感謝いたします」
どっちらけ、ということはないが、空を飛ぶ地竜を見た気分である。
然はあれ即戦力となってくれるだろうことは間違いないようだ。
そして、僕らの会話の最中も、気を緩めることなく耳を傾けていた少年。それとなく気色を窺っていたが、幼馴染みのくだりで切歯扼腕、とまではいかないが、奥歯に力が入ったのを確認。
同じくカレンも、イスさんが伴侶の理想像を語ったところで、思うところがあるのか惟るような仕草が見られた。
まぁ、皆周期頃で若いし、多感であるのは当然。などと達観できる立場ではない。僕もスナ、みーや百竜、竜全般のことで悩んでいるので、人のことを言えた義理ではないのだけど。
「では、次は君の番だね。先ずは、自己紹介からお願いしようかな」
思惟の湖に潜りそうになったので、慌てて浮上して、風竜の加護を心象、少年の緊張が解けるよう柔らかな言葉使いを心掛ける。
周期が下の子供たちに慕われることが無いのは、ここら辺に原因があるかもしれないので、練習の意味も込めてやってみる。
「俺はギザマルにまけたくない。だから、ここにきた」
自己紹介、というよりは、決意表明。
その眼差しには、子供らしい純粋さと、凄惨なものを見せられてきたのだろうか、傷跡のような澱んだものが同居していた。
然ても、ギザマル、か。
ギザマルとは、魔物との混血とも言われる害獣であり、嘗てのシアの名前である。
少年が発した、ギザマル、がシアを指してのものであろうことは疑いないが。シアが王弟になった経緯を知らないイスさんが、少年の言葉にぎょっとする。
確かに、彼からしたら意味不明だろう。
「姓は、捨てたのかしら、ガルーーという名も、渾名か偽名か、何かあるようね。シア様と同じく、クラバリッタの城街地出身。同様に、子供たちを率いていた。その数は、シア様たちの数倍の規模で、犠牲を厭わない強引な遣り方で大人たちの反感を買い、終には捕らえられますが、城街地に赴いた際に通り掛かったクル様によって事なきを得たようです」
クラバリッタに奉じていたボルンさんの弟子であったエーリアさんは、当然城街地のことも調べていたのだろう。
大路で頼まれたそうだが、城街地で接触したことがあったのだろうか。竜にも角にも、カレンが先を読み上げようとして、口を閉ざして、由有り気な視線をガルに向ける。
自分で言わなければ私が言いますよ(訳、ランル・リシェ)、ということらしい。観念したわけではないだろうが、少年の重たい口が開かれる。
「ーー親父は没落貴族で、俺に望みをかけた。物心ついたころから厳しく育てられたけど、酒ににげた親父は、身をもち崩して、城街地にきておっちんだ。すかんぴん親父とつながる名前なんていらない。でも、名前いがいに俺がもってるものはなかったから、ガルフィーリスの、ガルだけは残すことにした。ーー竜の国につれてこられて、穏やかにくらしてると、これまでのことが夢のように思えることがある。でも、ちがう、俺は独りだ。最後に失敗した俺から、皆離れた。あいつらは誰も俺をせめなかった。もとに戻りたいわけじゃない。じゃあ、どうしたいのかって考えた。そんで、きづいた。そうだった、俺は、ギザマルより強くならなきゃいけないんだって、あいつより上じゃないと、シーソ……っ!」
未熟で、いや、半熟と言っておこう、ぶっきら棒な口の利き方だが、この周期で自身を省みて、思いを口に出来るというのは、中々できることではない。見所はあるということか。
言葉遣いから始まって、色々と矯正してやる必要はあるが、彼はすでに重要なものを身に付けている。となると、僕のようにならないよう涵養するのがいいだろうか。
「ん? シーソのような相棒が欲しかったということかな?」
僕が所見を述べると、当たったのだろうか、ガルの表情に安堵の色が広がる。
「……ランル・リシェ。どうしてあなたは、そう休眠期の竜のように感受性が眠りに就いているのですか。炎竜を見るより明らかでしょう、彼はシーソさんに……」
「次長。そこまでにしておきましょう。氷竜に見られるのは、ーーあなただって、お嫌でしょう?」
周期の差だろうか、これまでの立場が逆転して、イスさんに窘められる侍従次長。
よくわからないが、複雑な感情を持て余しているらしい少女の黒曜の瞳が、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、僕とがっちんこすると、何故だろう、凄い勢いで睨まれた。
あれ? 僕が悪いのだろうか、それともらしくなく八つ当たりとかだろうか。
カレンが立ち上がって、びくっとする僕に一瞥もくれず、すたすたすた。また、然かと思えば、すたすたすたと戻ってきて、卓の上に冊子や紙の束を置く。
見ると、これは先程カレンが整理していた資料だろうか、一番上の冊子は、名簿ーーのようだが。
「御二人の前にあるのは、ここで働くのに必要な手引書のようなものです。明日の始業時までに目を通しておいてください」
「いつの間にこんなものを……」
「何を言っているのです。『必要になるかもしれない』と言っていたのは、ランル・リシェ、あなたでしょう。時間が空いているときに作ったものを、あなたが戻って来るまでの間に纏めておきました」
以前にも思ったけど、優秀過ぎる部下って怖いですね。
「そういうわけですので、翠緑宮に居室を用意しましょう。肩書きは、侍従ということになるけど、居室は一階になるのかな?」
「侍従としての仕事以外のほうが多いので、そのほうが無難かと」
「では……」
「今日から働く、ということですので、手配などは自分たちで行っておきます。今日はこれで手一杯ですが、職員の方々に挨拶をしておきます」
僕が椅子に手を掛けると、逸早く資料を手に立ち上がって、苦笑いのイスさん。
この資料の量は、カレンならどうということはないのだろうが、彼の手には余るようだ。イスさんに倣い、遅れて起立するガル。
二人とも、色々事情はあるようだが、問題はない(僕らの部署が問題だらけなので)だろう。それでもまだ、カレンと同時に休みが取れるほどではないが、そう遠くない内に、それも可能になるかもしれない。
二人が退室して、そんなことを考えていたら、再びすたすたすた、すたすたすた。
この度も、その歩みに、迷いは一切ない。あと二回、今日の内に戦ってしまうようだ。
「大丈夫です。仕事も序でに熟します」
「…………」
そこは建前でもいいので、仕事の序でに、と言って欲しかった。
正直なことは美点ではあるが、いや、僕の薫陶を受けるとしても、こういうカレンらしい部分を失うのはもったいないか。
ぴしっ。
小気味良い音が響く。
ファタを脅したときのようにカレンに頬を打たれたわけではなく、前回も負けたので、先手のカレンが地竜を動かした音である。
「ちょっと待ってね。執務室で作業できる分を持ってくるから」
「私の分も頼みます」
戦略を練っているのだろうか、竜棋の盤を見詰めて、竜でも動かない、といった様子のカレンさん。
真剣な彼女は、触れたら斬れそうで、ちょっと苦手なので、早々に追い詰めて、柔らかくしてあげるのが最適解か。
然てこそ定石破りに、炎竜から動かす。
「きぃぅ、……姑息な。ですが、以前までの私と同じだなどと、思わないことですっ」
言葉通り、カレンは粘りに粘って。どろどろどろん娘になって。
侍従長の執務室に謎悲鳴が上がり続けて、良からぬ噂を撒き散らすことになるのだが、それはまた別の話である。
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ユーヤのお気楽異世界転移
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死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
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「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
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辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
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いずれは王となるのも夢ではないかも!?
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カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
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長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
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地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
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高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
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「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
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異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
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