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一章 炎竜氷竜と侍従長
王弟と「王弟の懐剣」はとても仲良し?
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「あ……」
階段を下りると、然も嫌な人間に会ったという顔で声を漏らす王弟。
そして、「王弟の懐剣」さんは、シアが僕に気付く前に、弟のような少年の背中に退避完竜。
元々僕にはそっけない感じだったけど、……それなりに悪意も向けられていたかもしれないけど、レイに苛められてからは、接触自体を拒まれるようになってしまった。
シアが居れば逃げないだろうと、もっけの幸いと状況を利用させてもらうことにする。
「朝からシーソがここに居るということは、ああ、王様に捕まったシア様を連れ出しに来たってわけか。シーソ連れで今もここに居るということは、僕に用事があるのかな?」
幾つか可能性があったが、無表情娘のシーソよりはだいぶわかり易いシアの、最後に残した嫌いな食べ物を口に入れなければならないような表情から、いや、自分で言っていて哀しくなってくるのだが、少年らしい感情の発露を源泉に予測してみたが、当たったようだ。
何かを諦めたらしいシアの後ろから、少女の、悪意を含んでいるようなのにまったく感情が込められていない、慣れてしまうと意外に耳に心地良い、抑揚のない言葉の羅列。
「シア、きをつける、おそろしいひと、あたまのぞきま」
ふぅ、なんというかかんというか。
こわいひと、が、おそろしいひと、になったわけだが、まぁ、違いを探ることに意味はないのだろう。などと考えていると、シアが難しい顔をしていた。どうやら僕に何か言いたいことがあるようなので、急かさずに、少年の後ろの少女を観察する。
この周期頃だと、性差は少ないようだ。身長は、わずかにシーソのほうが低いだろうか。竜の国での生活のお陰だろうか、それでも痩せているが、以前よりはふっくらとした印象の少女。
鋭い心象のある少年と並べてみると、もしかしたらシーソのほうが体重があるような、そんな気がしてくるのだが、実際はどうなのだろう。
「侍従長ーーリシェさんは、人の頭の中を覗けるんですか?」
シーソに気を取られて、質問の内容に面食らったが、シアの真面目な様子から、茶化さず答えることにする。
何より、少年の考えていることに興味があったので、なるべく(「千竜王」とやらの所為で、自身に確信が持てないので)正しい情報を開示するよう努める。
「いえ、僕には出来ません。誰かが僕の思考を覗くことはあっても、その反対は今まで経験したことはありません。それに近いもの。『浸透』と呼べるもので、フィア様と老師の魔法を体感、知覚したことはありますが、思考までは流れ込んできませんでした。魔法でそれは可能かもしれませんが、老師はその類いのことを研究することを禁じています。竜であれば、人間より鋭い感覚を以て、わずかな所作から意味を見出すことが出来るかもしれません」
「あ、……い、じゃなくてっ、そんな詳しく説明してくれないて、いいです」
先程とは逆に、面食らったシアが慌てて両手を振る。
シーソが後ろで何かしているのだろうか、思ったより早く平静を取り戻した少年は、確認するように言葉を発してゆく。
「ーーリシェさんは、初めて会ったときよりも、能力が上がった、のか、成長した、のか、そんな風に見えます。以前、竜の民は、リシェさんは心が覗ける、そんなことを言ってましたが、そのときは、それは本気の言葉じゃなかったです。
でも、『騒乱』が終わった頃から、本当に心を覗かれているんじゃないか、と怖がっている人を、何人か見てきました。ーーだから、時間のあるときに、考えてみたんです」
理知的な眼差しが向けられる。ここは何も言わず、少年の言葉を待つ。
「リシェさんは、自分と同じくらいの相手には、全力です。でも、自分の能力を過小評価しているのか、自分より下の相手にも全力でやっているように見えます。見透かされたり、行動を読まれたり、普通の人は、わからないことが怖いんです。皆に全力でなくて、下の人たちには、半分くらい、手加減をしないと、……今は、怖がられたり嫌われたりだけど、このままだと、拒絶になって、竜の国から出て行かないといけなくなるかもしれない」
……これはしたり。いや、そんなことを言っては失礼になるだろう。
シアは、城街地にいた頃から、子供たちを守る為に、どうすればいいのか常に考えていたはず。
どうやら僕は少年を侮っていたらしい。シアの才は認めていたが、短期間でどうにかなるものではないと思っていた。シーソの天佑とも呼べる能力に助けられてきたと、誤解ーーしていたのだろうか。
そうなると、二人の関係は、また別の見方をすることが出来る。
「シア様とシーソは、幼い頃からではなく、城街地で出逢った、のかな。シーソの、シア様への懐きっぷりから、たぶんシーソをシア様が助けるような何かをした。といっても、シア様がシーソを助けたとなると、シーソが諦めていた……」
「いやなひと、シアがいま、いったばかり、じかくなくたにんの、こころあばく、やっぱりたいへんなへんたい」
シアの肩から目を覗かせて、無表情で断言してくる。
ぐぅ、いやいや、駄目ですよ、シーソ。女の子が変とか態とか言ったら。
出来れば叱りたいところだが、実際にやったら疚しさを隠す為としか受け取られないだろう。
くぅ、さすがはシアに、意地悪と言われるだけのことはある。
然あらばスナに告げ口ーーなんてことは、しませんよ? そんな頑是無いこと、するはずがないじゃないですか、ねぇ、くっくっくっ。
「みがわりになるシアは、いいシア」
然ても、心を暴く、とシーソは言ったが、彼女のほうはどこまで見えているのだろう。
これから話すことの、どこまでを予測しているのか、ーーちょっと試してみようか。
「シーソの身代わりで、シア様は、僕のところで働いていただけるんですか?」
「いやなひとは、だめなひと」
「そうですね、僕のところは若干変則的なので、オルエルさんのところのほうが確実に力を付けられるでしょうね」
「だめなひとは、わるいひと」
「とはいっても、シア様は今の時点で、過剰と言えるくらいに学んでいます。なので、加えるなら、これから話すことを検討してからということになるんですが」
「わるいひとは、いいひと」
あ、媚びた。まぁ、それは言葉の上でのことだけだが。
ふむ、尻尾は見せたようだが、捕まえさせてはくれないようだ。然らば遊びはこれくらいにして、説明するとしよう。
「竜の国は、魔法使いの国、とも思われています。竜、という存在だけを突出させるよりも、魔法、という要素で薄めたほうがいいと、僕と老師で結論付けました。これは、以前から検討していたことですが、竜舎で子供たちに魔法を学ばせる、その為のより良い方法を模索していました。フィア様は、魔法のことになると見境、ではなく、少々のめり込み過ぎてしまうので、こちらも、フィア様の意見を参考にしつつ、僕と老師で詰めました。竜舎で子供たちに教えるのは魔法の知識。魔力が安定したあと、治癒魔法を修めてもらうことになります。攻撃魔法と違って、治癒魔法であれば、概ね危険はないですからね。その後、魔法をもっと覚えたい、研究したい、という子供たちがいれば、より専門的なものを学んでもらおうと、準備やら体制やらを整えているところなんですがーー」
「いいひとは、りゅうのひと」
「シーソには、魔法を教える師範か、魔法乃至魔工技術を磨いて欲しいと思っているんだけど。勿論、これは強制じゃない。ーーでも、そうだね。シーソがどこまでわかっていて、今の言葉を発したのかわからないけど。シーソが何故、そこまで頑ななのかは詮索しないけど、僕のほうからは差し出しておくよ」
シーソと話していて、釈然としない、欲求のようなものが突き上げてきた。
それを知る為にも、一度、衝動のままに吐き出してみようか。
「シーソ。僕は、『千竜王』だ」
僕の気配に触れて。女の子は見上げて、躊躇いは一切なく、素直な言葉で言祝ぐ。
「シア、やっぱり、こわいひと、ざんねんなびょうき、かかってる」
……ぎゃふんっ。
いやいやいやいやいや、ちょっと待ってくださいっ、シーソさん?!
僕の内にいるかもしれないとかなっている奴なのかどうなのかわからないのが、しゅぽんっ、って感じで遥かな奥底まで戻っていっちゃったような感覚がしたようなしなかったような??
うぎぃ……、はぁ、ふぅ、ふ~、うん、ちょいとちょろっとちょこちょこと落ち着こうか、僕。先ずは、シアが何か言いたそうなので、先手を打つが上策。
「シア様には、基礎的な魔法の知識を身に付けていただきます。〝サイカ〟の里で、魔法に関して、おざなりにしてしまったことを後悔しています。魔法を学んだとて、コウさんには追い付けません。ですが、魔法を識らなければ、近付くことは敵いません。何を学ぶのか、どこを目指すのか、それはシア様の自由です」
色々誤魔化したかったので、思いっ切り真面目に、誠実に、少年の未来について騙る、ではなくて、語る。
考えてみた、と先にシアは言ったが、それは自身の将来にも及んでいたようだ。ふと、彼の姿に、懐かしい姿が重なった。
「ーーサキナや皆は、二巡り前くらいからシーソに剣を教わっています。皆は、話し合って、誰かを助けられるような人になりたい、と思ったようです。その為には、先ず自分の身を守れるだけの、強さがなければいけない、と考えて……、それは無力で、無為だった、押し潰されるような、何かを拭い去らなければいけない、そうしないと前に歩いていけない、ーー自分で考えて、学んで、好きなこと、やりたいことが見つかった子もいます」
まだ慣れていないのだろう、自分で思ったことを、正しく伝えられないでいる。もどかしさを抱えながら、未熟さを思い知りながら、それでも前に進まなくてはならない。
「ーーーー」
ーーそこには。僕の前に、僕がいた。
兄さんと出逢った頃の僕。
僕には僕が見えていなかったけど。きっと兄さんは、今僕が見ているような、ーー不意に、兄さんと眼差しが重なったような、不思議な感覚。
これは幻視で、でも心地良くて、懐かしくて。帰りたい、なんて望んではいけないというのに。
僕がシアやシーソに何かしてあげようとするのは、兄さんへの憧れなのかもしれない。恩返し、のようなものなのだろうか。兄さんから受け取ったものを、誰かに渡したい。
コウさんが望んだ、竜の国という場所は、知らず知らず僕の願いに沿うものだったのか。
ああ、何だか、自分が年寄りになってしまったような、いや、子供でいられた時分を振り返りたいような、甘酸っぱさに引き摺られていると、シーソに先手を打たれてしまった。
「こわいひとに、かんしゃしてなくもなくもない、でもたすけ、じゃなくなくて、よけいなおせわ、いらない」
「あー、はは、うん、わかった。子供たちの稽古、僕のほうから竜騎士に要請したりしないよ」
「あたしとシア、かんしゃ、はしてないけど、きにかけてるの、しってる、だからだから、できるはんいの、おんがえし、してあげなくもない」
シーソらしい台詞を、ぽんぽん投げてきてから、男の子の背中から出てくる女の子。
相変わらず、無表情で何処を見ているのかわからない、存在感の希薄な少女。自然体、という言葉ですら欠伸をしそうなくらいの、不自然さを伴わない歩き方で近寄ってきて。
折れない剣を鞘から引き抜いた。
「ひつようは、かくにんのりゅう、やっぱり、おーさま、かんちがいしてる」
嘗て、折れない剣に触れて苦悶を得たことがあるシアが、平然と剣を持っているシーソに、驚愕を通り越した、唖然とした表情を向ける。
対策を施せば、自分やエンさん、老師なら持つことが出来る。と以前クーさんがそのような類いのことを言っていたが、シーソの魔力操作の能力は、彼らに匹敵するのだろうか。
がしゃん。
僕とシアが、シーソの一挙手一投足から目を離せなくなっていると、彼女の手から何の前触れもなく折れない剣が落ちた。そして、無言で崩れ落ちるシーソを、シアは何らかの予兆を感じていたのだろうか、彼女が膝を突く手前で抱き留めた。
魔剣、と呼ばれてしまっている危険物なので、転がしておくのは危ないので、早々に拾って鞘に収める。
「おんなのこの、あつかい、しらないシアは、わるいシア、おーさまに、きらわれるかも」
シーソの言葉に釣られて見てみると、少女を支える少年の手が、周期からして何もおかしいところはないだろう、真っ平らな場所に触れていた。
「はぁ、ほら、そんなこと言ってる余裕があるんなら、自分で立て」
シアは、シーソの腕を自分の首に回させて、手を放す。
これだと、少女が少年に抱き付いている、という格好になる。
「おや、珍しく、シア様が意地悪ですね」
意趣返し、ということではないだろうが、珍らかな光景に尋ねてみると、シアは胡乱気な瞳を僕に向けて、溜め息を吐いた。
「この程度のことが意地悪になるのなら、僕とシーソの関係は、こんな風になってません」
「らくちんちん、シアはいいシア、シアなシア、よきにはからえ」
羞恥心を醸すことも、言葉を乱すこともなく、完全に体を預けてしまうシーソ。
信頼、なのか別のものなのか、竜にも角にも、深いところで繋がった感じの、絆が感じられる。
そんなとき、シアが惟るような仕草を見せて、観察するような視線を僕に向けた。どうやら、何かしら直感が働いたらしい、邪竜侍従長を見るカレンと同じ輝きを瞳に宿していた。
「リシェさん。僕は用事を思い出したので、シーソをお願いします」
シアは、シーソの両肘の下に手を当てて、くいっと持ち上げると、すっと後ろに回って、脇の下から手を入れて彼女を支える。
どうそ、贈り物です(訳、ランル・リシェ)。と差し出されたので、当の然、遠慮なく受け取ることにする。
「はい、了解しました。恙無く、シーソはこちらでお預かりしておきます」
然てこそシーソを貰おうとしたら、世の無常をまったく集めていない顔の女の子が、まるで生まれ立ての竜のように、って、いや、生まれたばかりの竜なんて見たことないんだけど、つまりは、それくらい稀有な状況と言うべきか、ぷるぷるしながら退避行動を取っていた。
二人の男の意見は、完全に一致した。シーソを、余すことなく、眺め遣る。
「シーソが表に兆したのは、みー様が攫われたことを伝えに来てくれた、あのとき以来かな」
「実は、子供たちに対しては、もう少し緩いんです。その分、僕に皺寄せがきているような、……気はしますけど」
「ああ、それは、甘えているんですね」
「……え?」
「シーソのような子にとって、それはとても重要なことです。これは僕が言わずとも十分にわかっていると思いますが、シーソの弟として、十二分にお姉さん振らせてあげてください」
すでに嫌われている僕に、恐れるものなどな何もない。
……いや、嘘です。強がりです。
関係改善は望むところだけど、いつもやられているし、このくらいならいいだろうと、からかい未満、皮肉未満の、……ああ、やっぱり仕返しが怖いからなのか、ちょっと生温い感じの意地悪を、結託した男どもがしてみたのだが。
シーソのぷるぷるが、止んだ。
「「…………」」
どうやら、完全に復調したらしい。
無表情のシーソにじっと見られて、何かを感じ取ったらしいシアが、ひっ、と悲鳴を漏らして、一歩退いた。
その感情を宿さない顔が、すーと斜め上に動いて、僕に向けられる。
明日、殺す(訳、ランル・リシェ)。
明日は、明日になったら明日になるので、明日という日は永遠にやってこない。然しも無し、ということにして、にっこりと笑顔を浮かべてあげたら、もう一度折れない剣を抜こうとしたので、シーソが前に出た分だけ、僕は後ろに下がる。
「おーさまに、あることないこと、つたえること、けってい、それと、さっきいった、おーさまのかんちがい、はなしたくなくなった、けどはなす」
「えっと、ごめんなさい。よろしくお願いします。どうぞ、御指南のほどを」
わざわざシーソが手に取ってまで確かめた事柄。
重要なことである可能性が高いので、低姿勢で、というか僕自身のことなのだから、今更かもしれないが、真摯な態度を取る。
「おーさま、つくったけん、よくできてた、もくてきどおり、こわれないけん、そのものだった、でも、まけんになった、おーさま、じぶんのしっぱいで、そうなった、おもってるけど、ちがう、そうなったげんいん、こわいひと、りゅうのひと」
「僕が持つことで、壊れない剣がおかしくなってしまった、ということ?」
「もってみてわかった、りゅうのひと、けんからまりょく、すいとってる、そしてそれ、じょうたいかした、まけんになった、こわいひとのせい」
「うん、僕の所為、ということはわかったけど。ここまでしたってことはそれだけのことがあるから、とは思うんだけど、実は思ったほどでもなかったのかな?」
「それ、どうおもうか、りゅうのひとの、じゆう、なにかあるなら、たいてい、そのままじゃない、そのままにしないが、けんめい」
「ーーシーソから見て、そういう意味で、以前の僕とは違うところ、何かあるかな?」
「こわいひと、もっと、こわくなった」
空の雲が流れていくように、シアの後ろまで歩いていくシーソ。そして、もう話すことはない、とばかりに姿どころか気配まで薄れてゆく。
然ても、無駄だろうが、気に掛けている、と思ってはいてくれたようなので、最後に強要、もとい要請だけはしておこう。
「二つ音から会議だから、シア様の補佐としてシーソも参加してね」
「かんがえて、おかないこともない」
「うん、風竜の間以外はレイが徘徊しているかもしれないから気を付けてね」
階段を下りると、然も嫌な人間に会ったという顔で声を漏らす王弟。
そして、「王弟の懐剣」さんは、シアが僕に気付く前に、弟のような少年の背中に退避完竜。
元々僕にはそっけない感じだったけど、……それなりに悪意も向けられていたかもしれないけど、レイに苛められてからは、接触自体を拒まれるようになってしまった。
シアが居れば逃げないだろうと、もっけの幸いと状況を利用させてもらうことにする。
「朝からシーソがここに居るということは、ああ、王様に捕まったシア様を連れ出しに来たってわけか。シーソ連れで今もここに居るということは、僕に用事があるのかな?」
幾つか可能性があったが、無表情娘のシーソよりはだいぶわかり易いシアの、最後に残した嫌いな食べ物を口に入れなければならないような表情から、いや、自分で言っていて哀しくなってくるのだが、少年らしい感情の発露を源泉に予測してみたが、当たったようだ。
何かを諦めたらしいシアの後ろから、少女の、悪意を含んでいるようなのにまったく感情が込められていない、慣れてしまうと意外に耳に心地良い、抑揚のない言葉の羅列。
「シア、きをつける、おそろしいひと、あたまのぞきま」
ふぅ、なんというかかんというか。
こわいひと、が、おそろしいひと、になったわけだが、まぁ、違いを探ることに意味はないのだろう。などと考えていると、シアが難しい顔をしていた。どうやら僕に何か言いたいことがあるようなので、急かさずに、少年の後ろの少女を観察する。
この周期頃だと、性差は少ないようだ。身長は、わずかにシーソのほうが低いだろうか。竜の国での生活のお陰だろうか、それでも痩せているが、以前よりはふっくらとした印象の少女。
鋭い心象のある少年と並べてみると、もしかしたらシーソのほうが体重があるような、そんな気がしてくるのだが、実際はどうなのだろう。
「侍従長ーーリシェさんは、人の頭の中を覗けるんですか?」
シーソに気を取られて、質問の内容に面食らったが、シアの真面目な様子から、茶化さず答えることにする。
何より、少年の考えていることに興味があったので、なるべく(「千竜王」とやらの所為で、自身に確信が持てないので)正しい情報を開示するよう努める。
「いえ、僕には出来ません。誰かが僕の思考を覗くことはあっても、その反対は今まで経験したことはありません。それに近いもの。『浸透』と呼べるもので、フィア様と老師の魔法を体感、知覚したことはありますが、思考までは流れ込んできませんでした。魔法でそれは可能かもしれませんが、老師はその類いのことを研究することを禁じています。竜であれば、人間より鋭い感覚を以て、わずかな所作から意味を見出すことが出来るかもしれません」
「あ、……い、じゃなくてっ、そんな詳しく説明してくれないて、いいです」
先程とは逆に、面食らったシアが慌てて両手を振る。
シーソが後ろで何かしているのだろうか、思ったより早く平静を取り戻した少年は、確認するように言葉を発してゆく。
「ーーリシェさんは、初めて会ったときよりも、能力が上がった、のか、成長した、のか、そんな風に見えます。以前、竜の民は、リシェさんは心が覗ける、そんなことを言ってましたが、そのときは、それは本気の言葉じゃなかったです。
でも、『騒乱』が終わった頃から、本当に心を覗かれているんじゃないか、と怖がっている人を、何人か見てきました。ーーだから、時間のあるときに、考えてみたんです」
理知的な眼差しが向けられる。ここは何も言わず、少年の言葉を待つ。
「リシェさんは、自分と同じくらいの相手には、全力です。でも、自分の能力を過小評価しているのか、自分より下の相手にも全力でやっているように見えます。見透かされたり、行動を読まれたり、普通の人は、わからないことが怖いんです。皆に全力でなくて、下の人たちには、半分くらい、手加減をしないと、……今は、怖がられたり嫌われたりだけど、このままだと、拒絶になって、竜の国から出て行かないといけなくなるかもしれない」
……これはしたり。いや、そんなことを言っては失礼になるだろう。
シアは、城街地にいた頃から、子供たちを守る為に、どうすればいいのか常に考えていたはず。
どうやら僕は少年を侮っていたらしい。シアの才は認めていたが、短期間でどうにかなるものではないと思っていた。シーソの天佑とも呼べる能力に助けられてきたと、誤解ーーしていたのだろうか。
そうなると、二人の関係は、また別の見方をすることが出来る。
「シア様とシーソは、幼い頃からではなく、城街地で出逢った、のかな。シーソの、シア様への懐きっぷりから、たぶんシーソをシア様が助けるような何かをした。といっても、シア様がシーソを助けたとなると、シーソが諦めていた……」
「いやなひと、シアがいま、いったばかり、じかくなくたにんの、こころあばく、やっぱりたいへんなへんたい」
シアの肩から目を覗かせて、無表情で断言してくる。
ぐぅ、いやいや、駄目ですよ、シーソ。女の子が変とか態とか言ったら。
出来れば叱りたいところだが、実際にやったら疚しさを隠す為としか受け取られないだろう。
くぅ、さすがはシアに、意地悪と言われるだけのことはある。
然あらばスナに告げ口ーーなんてことは、しませんよ? そんな頑是無いこと、するはずがないじゃないですか、ねぇ、くっくっくっ。
「みがわりになるシアは、いいシア」
然ても、心を暴く、とシーソは言ったが、彼女のほうはどこまで見えているのだろう。
これから話すことの、どこまでを予測しているのか、ーーちょっと試してみようか。
「シーソの身代わりで、シア様は、僕のところで働いていただけるんですか?」
「いやなひとは、だめなひと」
「そうですね、僕のところは若干変則的なので、オルエルさんのところのほうが確実に力を付けられるでしょうね」
「だめなひとは、わるいひと」
「とはいっても、シア様は今の時点で、過剰と言えるくらいに学んでいます。なので、加えるなら、これから話すことを検討してからということになるんですが」
「わるいひとは、いいひと」
あ、媚びた。まぁ、それは言葉の上でのことだけだが。
ふむ、尻尾は見せたようだが、捕まえさせてはくれないようだ。然らば遊びはこれくらいにして、説明するとしよう。
「竜の国は、魔法使いの国、とも思われています。竜、という存在だけを突出させるよりも、魔法、という要素で薄めたほうがいいと、僕と老師で結論付けました。これは、以前から検討していたことですが、竜舎で子供たちに魔法を学ばせる、その為のより良い方法を模索していました。フィア様は、魔法のことになると見境、ではなく、少々のめり込み過ぎてしまうので、こちらも、フィア様の意見を参考にしつつ、僕と老師で詰めました。竜舎で子供たちに教えるのは魔法の知識。魔力が安定したあと、治癒魔法を修めてもらうことになります。攻撃魔法と違って、治癒魔法であれば、概ね危険はないですからね。その後、魔法をもっと覚えたい、研究したい、という子供たちがいれば、より専門的なものを学んでもらおうと、準備やら体制やらを整えているところなんですがーー」
「いいひとは、りゅうのひと」
「シーソには、魔法を教える師範か、魔法乃至魔工技術を磨いて欲しいと思っているんだけど。勿論、これは強制じゃない。ーーでも、そうだね。シーソがどこまでわかっていて、今の言葉を発したのかわからないけど。シーソが何故、そこまで頑ななのかは詮索しないけど、僕のほうからは差し出しておくよ」
シーソと話していて、釈然としない、欲求のようなものが突き上げてきた。
それを知る為にも、一度、衝動のままに吐き出してみようか。
「シーソ。僕は、『千竜王』だ」
僕の気配に触れて。女の子は見上げて、躊躇いは一切なく、素直な言葉で言祝ぐ。
「シア、やっぱり、こわいひと、ざんねんなびょうき、かかってる」
……ぎゃふんっ。
いやいやいやいやいや、ちょっと待ってくださいっ、シーソさん?!
僕の内にいるかもしれないとかなっている奴なのかどうなのかわからないのが、しゅぽんっ、って感じで遥かな奥底まで戻っていっちゃったような感覚がしたようなしなかったような??
うぎぃ……、はぁ、ふぅ、ふ~、うん、ちょいとちょろっとちょこちょこと落ち着こうか、僕。先ずは、シアが何か言いたそうなので、先手を打つが上策。
「シア様には、基礎的な魔法の知識を身に付けていただきます。〝サイカ〟の里で、魔法に関して、おざなりにしてしまったことを後悔しています。魔法を学んだとて、コウさんには追い付けません。ですが、魔法を識らなければ、近付くことは敵いません。何を学ぶのか、どこを目指すのか、それはシア様の自由です」
色々誤魔化したかったので、思いっ切り真面目に、誠実に、少年の未来について騙る、ではなくて、語る。
考えてみた、と先にシアは言ったが、それは自身の将来にも及んでいたようだ。ふと、彼の姿に、懐かしい姿が重なった。
「ーーサキナや皆は、二巡り前くらいからシーソに剣を教わっています。皆は、話し合って、誰かを助けられるような人になりたい、と思ったようです。その為には、先ず自分の身を守れるだけの、強さがなければいけない、と考えて……、それは無力で、無為だった、押し潰されるような、何かを拭い去らなければいけない、そうしないと前に歩いていけない、ーー自分で考えて、学んで、好きなこと、やりたいことが見つかった子もいます」
まだ慣れていないのだろう、自分で思ったことを、正しく伝えられないでいる。もどかしさを抱えながら、未熟さを思い知りながら、それでも前に進まなくてはならない。
「ーーーー」
ーーそこには。僕の前に、僕がいた。
兄さんと出逢った頃の僕。
僕には僕が見えていなかったけど。きっと兄さんは、今僕が見ているような、ーー不意に、兄さんと眼差しが重なったような、不思議な感覚。
これは幻視で、でも心地良くて、懐かしくて。帰りたい、なんて望んではいけないというのに。
僕がシアやシーソに何かしてあげようとするのは、兄さんへの憧れなのかもしれない。恩返し、のようなものなのだろうか。兄さんから受け取ったものを、誰かに渡したい。
コウさんが望んだ、竜の国という場所は、知らず知らず僕の願いに沿うものだったのか。
ああ、何だか、自分が年寄りになってしまったような、いや、子供でいられた時分を振り返りたいような、甘酸っぱさに引き摺られていると、シーソに先手を打たれてしまった。
「こわいひとに、かんしゃしてなくもなくもない、でもたすけ、じゃなくなくて、よけいなおせわ、いらない」
「あー、はは、うん、わかった。子供たちの稽古、僕のほうから竜騎士に要請したりしないよ」
「あたしとシア、かんしゃ、はしてないけど、きにかけてるの、しってる、だからだから、できるはんいの、おんがえし、してあげなくもない」
シーソらしい台詞を、ぽんぽん投げてきてから、男の子の背中から出てくる女の子。
相変わらず、無表情で何処を見ているのかわからない、存在感の希薄な少女。自然体、という言葉ですら欠伸をしそうなくらいの、不自然さを伴わない歩き方で近寄ってきて。
折れない剣を鞘から引き抜いた。
「ひつようは、かくにんのりゅう、やっぱり、おーさま、かんちがいしてる」
嘗て、折れない剣に触れて苦悶を得たことがあるシアが、平然と剣を持っているシーソに、驚愕を通り越した、唖然とした表情を向ける。
対策を施せば、自分やエンさん、老師なら持つことが出来る。と以前クーさんがそのような類いのことを言っていたが、シーソの魔力操作の能力は、彼らに匹敵するのだろうか。
がしゃん。
僕とシアが、シーソの一挙手一投足から目を離せなくなっていると、彼女の手から何の前触れもなく折れない剣が落ちた。そして、無言で崩れ落ちるシーソを、シアは何らかの予兆を感じていたのだろうか、彼女が膝を突く手前で抱き留めた。
魔剣、と呼ばれてしまっている危険物なので、転がしておくのは危ないので、早々に拾って鞘に収める。
「おんなのこの、あつかい、しらないシアは、わるいシア、おーさまに、きらわれるかも」
シーソの言葉に釣られて見てみると、少女を支える少年の手が、周期からして何もおかしいところはないだろう、真っ平らな場所に触れていた。
「はぁ、ほら、そんなこと言ってる余裕があるんなら、自分で立て」
シアは、シーソの腕を自分の首に回させて、手を放す。
これだと、少女が少年に抱き付いている、という格好になる。
「おや、珍しく、シア様が意地悪ですね」
意趣返し、ということではないだろうが、珍らかな光景に尋ねてみると、シアは胡乱気な瞳を僕に向けて、溜め息を吐いた。
「この程度のことが意地悪になるのなら、僕とシーソの関係は、こんな風になってません」
「らくちんちん、シアはいいシア、シアなシア、よきにはからえ」
羞恥心を醸すことも、言葉を乱すこともなく、完全に体を預けてしまうシーソ。
信頼、なのか別のものなのか、竜にも角にも、深いところで繋がった感じの、絆が感じられる。
そんなとき、シアが惟るような仕草を見せて、観察するような視線を僕に向けた。どうやら、何かしら直感が働いたらしい、邪竜侍従長を見るカレンと同じ輝きを瞳に宿していた。
「リシェさん。僕は用事を思い出したので、シーソをお願いします」
シアは、シーソの両肘の下に手を当てて、くいっと持ち上げると、すっと後ろに回って、脇の下から手を入れて彼女を支える。
どうそ、贈り物です(訳、ランル・リシェ)。と差し出されたので、当の然、遠慮なく受け取ることにする。
「はい、了解しました。恙無く、シーソはこちらでお預かりしておきます」
然てこそシーソを貰おうとしたら、世の無常をまったく集めていない顔の女の子が、まるで生まれ立ての竜のように、って、いや、生まれたばかりの竜なんて見たことないんだけど、つまりは、それくらい稀有な状況と言うべきか、ぷるぷるしながら退避行動を取っていた。
二人の男の意見は、完全に一致した。シーソを、余すことなく、眺め遣る。
「シーソが表に兆したのは、みー様が攫われたことを伝えに来てくれた、あのとき以来かな」
「実は、子供たちに対しては、もう少し緩いんです。その分、僕に皺寄せがきているような、……気はしますけど」
「ああ、それは、甘えているんですね」
「……え?」
「シーソのような子にとって、それはとても重要なことです。これは僕が言わずとも十分にわかっていると思いますが、シーソの弟として、十二分にお姉さん振らせてあげてください」
すでに嫌われている僕に、恐れるものなどな何もない。
……いや、嘘です。強がりです。
関係改善は望むところだけど、いつもやられているし、このくらいならいいだろうと、からかい未満、皮肉未満の、……ああ、やっぱり仕返しが怖いからなのか、ちょっと生温い感じの意地悪を、結託した男どもがしてみたのだが。
シーソのぷるぷるが、止んだ。
「「…………」」
どうやら、完全に復調したらしい。
無表情のシーソにじっと見られて、何かを感じ取ったらしいシアが、ひっ、と悲鳴を漏らして、一歩退いた。
その感情を宿さない顔が、すーと斜め上に動いて、僕に向けられる。
明日、殺す(訳、ランル・リシェ)。
明日は、明日になったら明日になるので、明日という日は永遠にやってこない。然しも無し、ということにして、にっこりと笑顔を浮かべてあげたら、もう一度折れない剣を抜こうとしたので、シーソが前に出た分だけ、僕は後ろに下がる。
「おーさまに、あることないこと、つたえること、けってい、それと、さっきいった、おーさまのかんちがい、はなしたくなくなった、けどはなす」
「えっと、ごめんなさい。よろしくお願いします。どうぞ、御指南のほどを」
わざわざシーソが手に取ってまで確かめた事柄。
重要なことである可能性が高いので、低姿勢で、というか僕自身のことなのだから、今更かもしれないが、真摯な態度を取る。
「おーさま、つくったけん、よくできてた、もくてきどおり、こわれないけん、そのものだった、でも、まけんになった、おーさま、じぶんのしっぱいで、そうなった、おもってるけど、ちがう、そうなったげんいん、こわいひと、りゅうのひと」
「僕が持つことで、壊れない剣がおかしくなってしまった、ということ?」
「もってみてわかった、りゅうのひと、けんからまりょく、すいとってる、そしてそれ、じょうたいかした、まけんになった、こわいひとのせい」
「うん、僕の所為、ということはわかったけど。ここまでしたってことはそれだけのことがあるから、とは思うんだけど、実は思ったほどでもなかったのかな?」
「それ、どうおもうか、りゅうのひとの、じゆう、なにかあるなら、たいてい、そのままじゃない、そのままにしないが、けんめい」
「ーーシーソから見て、そういう意味で、以前の僕とは違うところ、何かあるかな?」
「こわいひと、もっと、こわくなった」
空の雲が流れていくように、シアの後ろまで歩いていくシーソ。そして、もう話すことはない、とばかりに姿どころか気配まで薄れてゆく。
然ても、無駄だろうが、気に掛けている、と思ってはいてくれたようなので、最後に強要、もとい要請だけはしておこう。
「二つ音から会議だから、シア様の補佐としてシーソも参加してね」
「かんがえて、おかないこともない」
「うん、風竜の間以外はレイが徘徊しているかもしれないから気を付けてね」
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