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番外編
私の悩み 2
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フィリップが選んだ2人の絵姿を、手に取って見てみる。
一人は、金色の巻き毛で、華やかな顔立ち。
もう一人は、栗色のまっすぐな髪で、涼やかな顔立ち。
どちらも、美人といえる。
が、残念ながら、絵姿というものは、実物と違うことは往々にしてある。
容姿に関しては、一切、信用できない。
ということで、添えられた紹介文を読んでみる。
金色の巻き毛の令嬢は、名を、サラ・アイスバーク。
…はあ? アイスバーク?
あのアイスバーク侯爵の令嬢か?!
そして、もう一人の名は、ジュディス・ゴルラン。
…はあ? ゴルラン?
って、こっちは、あのゴルラン公爵の令嬢?
「おい、フィリップ…。アイスバーク侯爵とゴルラン公爵の娘だぞ? 私のことを気にして、先に2人に会うと言うのなら、気をつかわなくていい」
「まさか! 父上になど、気をつかってはいません」
おい、私のことを、など、と言ったか?
しかも、気をつかっていないだと?
せめて、ルイスの100分の1くらいは、気を使ってくれ…。
「なら、何故、この2人を選んだ?」
「それは、絵姿を気に入ったから?」
と、やたらと冷たい目つきで絵姿を見ながら言った。
「嘘をつくな」
「いえ、気に入ったのは間違いないですよ? そうですね…。面倒なので、見合いは、2人一緒にお願いしますね、父上」
そう言って、王妃と同じハシバミ色の瞳をぎらつかせるフィリップ。
一体、どういう意味で気に入ったのやら…。
もう、不安しかない。
そして、見合い当日。
何故か、私のほうが嫌な予感がして胸が高鳴っている。
フィリップが変なことをしないといいが…。
2人と見合いが決まってからというもの、彼女たちの父親であるゴルラン公爵とアイスバーク侯爵が、あからさまに私にお世辞を言い、すり寄ってくる。
そんなにまでして、娘を王太子妃にしたいのか…。
苦労の多い立場なのにな。
しかも、相手は、あのフィリップだぞ?
外面用のやけに愛想のいい笑顔には、腹黒さがにじみでてるだろうが…。
私が令嬢の親なら、絶対に王太子妃、ましてやフィリップの妃になどさせない…。
見合いの後、フィリップに選ばれなかった時、ゴルラン公爵とアイスバーク侯爵の私への態度は、どうなるんだろうか…。私にすり寄って来たことが無駄になるわけだからな。
反動がすごそうだ…。
せめて、フィリップが令嬢たちを怒らせるようなことをしなければいいが…。
「ダン。王太子の見合いは、どこでやるんだ?」
と、側近に聞いた。
「お天気がいいので、中庭ですると聞いております。もう、そろそろ始まる頃かと」
もう始まるのか…。ダメだ。気になって、仕事が手につかん!
「悪いが、少し休憩する」
そう言って、私が席を立つと、ダンが言った。
「それならば、中庭の見えるお部屋で休憩されたら、いかがでしょう? 気持ちがいいお天気なので、窓はあけております。おそらく、話しも聞こえるかと」
さすが、ダン! 長年、仕えてくれている我が側近!
私の気持ちはお見通しだな。
一人は、金色の巻き毛で、華やかな顔立ち。
もう一人は、栗色のまっすぐな髪で、涼やかな顔立ち。
どちらも、美人といえる。
が、残念ながら、絵姿というものは、実物と違うことは往々にしてある。
容姿に関しては、一切、信用できない。
ということで、添えられた紹介文を読んでみる。
金色の巻き毛の令嬢は、名を、サラ・アイスバーク。
…はあ? アイスバーク?
あのアイスバーク侯爵の令嬢か?!
そして、もう一人の名は、ジュディス・ゴルラン。
…はあ? ゴルラン?
って、こっちは、あのゴルラン公爵の令嬢?
「おい、フィリップ…。アイスバーク侯爵とゴルラン公爵の娘だぞ? 私のことを気にして、先に2人に会うと言うのなら、気をつかわなくていい」
「まさか! 父上になど、気をつかってはいません」
おい、私のことを、など、と言ったか?
しかも、気をつかっていないだと?
せめて、ルイスの100分の1くらいは、気を使ってくれ…。
「なら、何故、この2人を選んだ?」
「それは、絵姿を気に入ったから?」
と、やたらと冷たい目つきで絵姿を見ながら言った。
「嘘をつくな」
「いえ、気に入ったのは間違いないですよ? そうですね…。面倒なので、見合いは、2人一緒にお願いしますね、父上」
そう言って、王妃と同じハシバミ色の瞳をぎらつかせるフィリップ。
一体、どういう意味で気に入ったのやら…。
もう、不安しかない。
そして、見合い当日。
何故か、私のほうが嫌な予感がして胸が高鳴っている。
フィリップが変なことをしないといいが…。
2人と見合いが決まってからというもの、彼女たちの父親であるゴルラン公爵とアイスバーク侯爵が、あからさまに私にお世辞を言い、すり寄ってくる。
そんなにまでして、娘を王太子妃にしたいのか…。
苦労の多い立場なのにな。
しかも、相手は、あのフィリップだぞ?
外面用のやけに愛想のいい笑顔には、腹黒さがにじみでてるだろうが…。
私が令嬢の親なら、絶対に王太子妃、ましてやフィリップの妃になどさせない…。
見合いの後、フィリップに選ばれなかった時、ゴルラン公爵とアイスバーク侯爵の私への態度は、どうなるんだろうか…。私にすり寄って来たことが無駄になるわけだからな。
反動がすごそうだ…。
せめて、フィリップが令嬢たちを怒らせるようなことをしなければいいが…。
「ダン。王太子の見合いは、どこでやるんだ?」
と、側近に聞いた。
「お天気がいいので、中庭ですると聞いております。もう、そろそろ始まる頃かと」
もう始まるのか…。ダメだ。気になって、仕事が手につかん!
「悪いが、少し休憩する」
そう言って、私が席を立つと、ダンが言った。
「それならば、中庭の見えるお部屋で休憩されたら、いかがでしょう? 気持ちがいいお天気なので、窓はあけております。おそらく、話しも聞こえるかと」
さすが、ダン! 長年、仕えてくれている我が側近!
私の気持ちはお見通しだな。
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