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友達?
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御者席から小窓があいて、ラスさんの顔がのぞく。
「王女様、申し訳ありません。すぐに目的地に到着するようにスピードをあげますので、それまで我慢してください。もし身の危険を感じたら、思いっきり叫んでください。私が決死の覚悟で主を一時的に仮死状態にして…」
最後まで言い終わることなく、小窓がバシンと閉められた。
ユーリから放たれた極寒の風で…。
しかも、一瞬にして小窓は真っ白。凍りついているみたい…。
溶けるまで時間がかかりそうなほど、しっかりと氷で閉ざされた小窓。
さすが、魔王ユーリ…。氷漬けはお手の物ね…。
そんなユーリに、なんだか不穏な言葉を発していたラスさん。
やはり、相当気を許したお友達なのね!
と、背後でユーリがため息をついた。
「本当にアデルは、すぐに人をたらしこむから油断も隙もない…。しかも面倒な奴が多いし…。それにしても、影としては完璧なあいつが、仕事中に、しかも俺にさからってまで、アデルに話しかけようとするとはね…。どんだけ、気に入ってんだよ? ほんと、もう二度と接触させないようにするしかないな」
俺って言っているし、口調も荒れて、かなり不機嫌そうなユーリ。
「ねえ、何言ってるの? ラスさんは、大事なお友達なのでしょう?!」
「は…?! 違うよ。俺に友達はいない」
「ええっ?! そうなの?!」
どうしよう、触れたらまずい話題だったかしら?
「友人なんていらないよ。だって、部下とか、下僕とか、使える者なら沢山いるし」
はああ?!
そんなにっこり微笑みながら、魔王全開の価値観を堂々と言われても…!
「ちょっと、ユーリ? 友達はそんなんじゃないわよ?!」
「なら、アデルは友達がいるの?」
「もちろん!」
「だれ?」
「マルクよ!」
「ふーん、マルクね。…やっぱり、全然いらないな」
冷たく答えるユーリ。
ユーリの弟なのに、なんたる言いぐさ。ムムムムム…。
ユーリになめられた親友マルク! 私が敵をとるわ!
私にとって、マルクがどれだけ素晴らしい友人かをしっかり語り、「ぼくもマルクみたいな友人が欲しい」って、ユーリに言わせてあげる!
「私にとってマルクは大事な親友なの! 初めて会ったのは、私が5歳、マルクが6歳の頃。同じ絵本が好きなことを知って、すぐさまうちとけた私たち。好きな本の話ができるなんて初めてで、とっても嬉しかったわ。あれから9年。マルクとは、物語好きなところも一緒だし、甘いものが好きなのも一緒だから、おやつを食べながら、本について話したりして、まったり楽しいのよ! ほら、マルクみたいな気の合う友達がいるって、いいものでしょ?」
自信満々で説明した私。
でも、あれ…? 寒いわ…?
うん、ガタガタ震えてきた…。
…って、一気に馬車の中の気温がさがったわよね?!
もちろん、犯人は私をがっしり抱きかかえている人。
そう、私ってば、ユーリの上に座っているような状態だものね。
つまり、今の私は、冷気がでる椅子にすわっているようなものかしら?
うん、寒いはずよね…。
「王女様、申し訳ありません。すぐに目的地に到着するようにスピードをあげますので、それまで我慢してください。もし身の危険を感じたら、思いっきり叫んでください。私が決死の覚悟で主を一時的に仮死状態にして…」
最後まで言い終わることなく、小窓がバシンと閉められた。
ユーリから放たれた極寒の風で…。
しかも、一瞬にして小窓は真っ白。凍りついているみたい…。
溶けるまで時間がかかりそうなほど、しっかりと氷で閉ざされた小窓。
さすが、魔王ユーリ…。氷漬けはお手の物ね…。
そんなユーリに、なんだか不穏な言葉を発していたラスさん。
やはり、相当気を許したお友達なのね!
と、背後でユーリがため息をついた。
「本当にアデルは、すぐに人をたらしこむから油断も隙もない…。しかも面倒な奴が多いし…。それにしても、影としては完璧なあいつが、仕事中に、しかも俺にさからってまで、アデルに話しかけようとするとはね…。どんだけ、気に入ってんだよ? ほんと、もう二度と接触させないようにするしかないな」
俺って言っているし、口調も荒れて、かなり不機嫌そうなユーリ。
「ねえ、何言ってるの? ラスさんは、大事なお友達なのでしょう?!」
「は…?! 違うよ。俺に友達はいない」
「ええっ?! そうなの?!」
どうしよう、触れたらまずい話題だったかしら?
「友人なんていらないよ。だって、部下とか、下僕とか、使える者なら沢山いるし」
はああ?!
そんなにっこり微笑みながら、魔王全開の価値観を堂々と言われても…!
「ちょっと、ユーリ? 友達はそんなんじゃないわよ?!」
「なら、アデルは友達がいるの?」
「もちろん!」
「だれ?」
「マルクよ!」
「ふーん、マルクね。…やっぱり、全然いらないな」
冷たく答えるユーリ。
ユーリの弟なのに、なんたる言いぐさ。ムムムムム…。
ユーリになめられた親友マルク! 私が敵をとるわ!
私にとって、マルクがどれだけ素晴らしい友人かをしっかり語り、「ぼくもマルクみたいな友人が欲しい」って、ユーリに言わせてあげる!
「私にとってマルクは大事な親友なの! 初めて会ったのは、私が5歳、マルクが6歳の頃。同じ絵本が好きなことを知って、すぐさまうちとけた私たち。好きな本の話ができるなんて初めてで、とっても嬉しかったわ。あれから9年。マルクとは、物語好きなところも一緒だし、甘いものが好きなのも一緒だから、おやつを食べながら、本について話したりして、まったり楽しいのよ! ほら、マルクみたいな気の合う友達がいるって、いいものでしょ?」
自信満々で説明した私。
でも、あれ…? 寒いわ…?
うん、ガタガタ震えてきた…。
…って、一気に馬車の中の気温がさがったわよね?!
もちろん、犯人は私をがっしり抱きかかえている人。
そう、私ってば、ユーリの上に座っているような状態だものね。
つまり、今の私は、冷気がでる椅子にすわっているようなものかしら?
うん、寒いはずよね…。
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