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その計画、変です
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一生、ユーリについていく宣言をした、ランディ王子。
ユーリが、氷のような目で見ようが、冷たい言葉を放とうが、離れるどころか、更に、ユーリにぴったりとひっついていく。
すごい、意外と根性があるわね…。
ついに、ユーリのほうが、根負けしたのか、
「じゃあ、少しだけ、ここで魔力をあげる練習をしてみる? ここの泉、ランディとも相性が良さそうだし」
と、ランディ王子に言った。
「はい!」
いい返事をする、ランディ王子。しっぽを、すごい勢いで振っているのが見える気がする。
「じゃあ、泉の水に手をつけてみて」
「はい!」
「手から、この水が、自分の中へはいっていくイメージをしてみて」
「はい!」
「手をだして」
「はい!」
「じゃあ、その手と泉の間に、何が見える?」
「あ、細い光が、ほんの少し見えます」
「そこに焦点をあわせて」
「はい!」
ランディ王子の、すばらしく、はきはきした返事があたりに響く。
人間って、こんなに短期間に変われるのね!と、改めて驚いてしまう。
訓練をしている二人から、私たちは少し離れて、その様子を眺める。
そこで、ジリムさんが私に話しかけてきた。
「私は、王都の中心で生まれ育って25年。正直、この泉に初めて興味がわきました」
えええ?!
仮にも、国の起源となる、「命」なんでしょ?
突然の告白にびっくりしていると、
「正直すぎるだろ、ジリム」
と、デュラン王子が苦笑する。
が、ジリムさんは、
「いくら、天然の泉で、魔力があって、空高く噴き上がっていようと、見慣れた私からしたら、まあ、ただの泉。この水を飲んだら、病が治るみたいな劇的なこともないですしね。
ですが、アデル王女様が来ただけで、こんなに色々なことがおこるなんて…。
正直、驚きました。本当に、おもしろいことを引き寄せる方ですね」
と言って、私に微笑んだ。
「いやいや、私が引き寄せた訳ではないですが?
何かを見たのは、イーリンさんと、ランディ王子だよ?」
と、私が言うと、
「いえ、お二人とも、アデル王女様と泉に関して、ご覧になってますから。
やはり、アデル王女様が要因だと思われます!」
と、断言するジリムさん。
すると、デュラン王子が、それを聞き、
「そうでしょ?! アディーが、この国にいたら、絶対楽しくなるよね?
欲しくない? この国に!」
と言う。
いや、私はいたって、普通の人間です。
一国に一人みたいな、特異な存在ではないですよ!
ジリムさん、否定して!
が、私の思いもむなしく、ジリムさんが、
「ええ、そうですね。うちの国に来ていただければ、おもしろそうです」
と、うなずいた。
しかも、イーリンさんまでが、
「私もそう思う! アデルちゃんに妹になってもらって、一緒に住みたい!
だから、デュラン兄様を応援することにしたわ!
この国に、アデルちゃんを呼び寄せよう!」
と、力強く宣言をはじめた。
「うわ、イーリンが応援してくれるなんて、嬉しいよ! アディーを家族にするため、みんなでがんばろう。いいよね、ジリム」
と、デュラン王子。
ええと、一体、この人たちは、何を計画してるんですか?!
おかしな方向につきすすんでるので、常識人のジリムさん、とめて!
と、思ったら、
「ええ、私も賛同いたします。かわりといってはなんですが、ランディ王子を、次期公爵様のところに、差し出しましょう」
と、ジリムさんが、淡々と言った。
ジリムさん…、今、一番、変なことを言いましたよ?!
「あ、それいいね! ランディが、あんなに懐いて、楽しそうだもんね。次期公爵のところに、弟子入りさせてもらったらいいんじゃない?」
そう言って、ランディ王子が微笑んだ。
「そうね。ランディ兄様もそのほうが喜ぶわね! そうと決まれば、アデルちゃんにこの国をうーんと好きになってもらって、この国にずーっといたくなるようにがんばろう!」
と、イーリンさんが元気よく言った。
イーリンさんも、すっかり、活発で明るくなった。良かったわ…。
…じゃなくて、みなさんの言ってることは、つっこみどころ満載なんだけど?
ユーリに聞かれたら恐ろしいので、冗談でもやめてくださいね…。
ユーリが、氷のような目で見ようが、冷たい言葉を放とうが、離れるどころか、更に、ユーリにぴったりとひっついていく。
すごい、意外と根性があるわね…。
ついに、ユーリのほうが、根負けしたのか、
「じゃあ、少しだけ、ここで魔力をあげる練習をしてみる? ここの泉、ランディとも相性が良さそうだし」
と、ランディ王子に言った。
「はい!」
いい返事をする、ランディ王子。しっぽを、すごい勢いで振っているのが見える気がする。
「じゃあ、泉の水に手をつけてみて」
「はい!」
「手から、この水が、自分の中へはいっていくイメージをしてみて」
「はい!」
「手をだして」
「はい!」
「じゃあ、その手と泉の間に、何が見える?」
「あ、細い光が、ほんの少し見えます」
「そこに焦点をあわせて」
「はい!」
ランディ王子の、すばらしく、はきはきした返事があたりに響く。
人間って、こんなに短期間に変われるのね!と、改めて驚いてしまう。
訓練をしている二人から、私たちは少し離れて、その様子を眺める。
そこで、ジリムさんが私に話しかけてきた。
「私は、王都の中心で生まれ育って25年。正直、この泉に初めて興味がわきました」
えええ?!
仮にも、国の起源となる、「命」なんでしょ?
突然の告白にびっくりしていると、
「正直すぎるだろ、ジリム」
と、デュラン王子が苦笑する。
が、ジリムさんは、
「いくら、天然の泉で、魔力があって、空高く噴き上がっていようと、見慣れた私からしたら、まあ、ただの泉。この水を飲んだら、病が治るみたいな劇的なこともないですしね。
ですが、アデル王女様が来ただけで、こんなに色々なことがおこるなんて…。
正直、驚きました。本当に、おもしろいことを引き寄せる方ですね」
と言って、私に微笑んだ。
「いやいや、私が引き寄せた訳ではないですが?
何かを見たのは、イーリンさんと、ランディ王子だよ?」
と、私が言うと、
「いえ、お二人とも、アデル王女様と泉に関して、ご覧になってますから。
やはり、アデル王女様が要因だと思われます!」
と、断言するジリムさん。
すると、デュラン王子が、それを聞き、
「そうでしょ?! アディーが、この国にいたら、絶対楽しくなるよね?
欲しくない? この国に!」
と言う。
いや、私はいたって、普通の人間です。
一国に一人みたいな、特異な存在ではないですよ!
ジリムさん、否定して!
が、私の思いもむなしく、ジリムさんが、
「ええ、そうですね。うちの国に来ていただければ、おもしろそうです」
と、うなずいた。
しかも、イーリンさんまでが、
「私もそう思う! アデルちゃんに妹になってもらって、一緒に住みたい!
だから、デュラン兄様を応援することにしたわ!
この国に、アデルちゃんを呼び寄せよう!」
と、力強く宣言をはじめた。
「うわ、イーリンが応援してくれるなんて、嬉しいよ! アディーを家族にするため、みんなでがんばろう。いいよね、ジリム」
と、デュラン王子。
ええと、一体、この人たちは、何を計画してるんですか?!
おかしな方向につきすすんでるので、常識人のジリムさん、とめて!
と、思ったら、
「ええ、私も賛同いたします。かわりといってはなんですが、ランディ王子を、次期公爵様のところに、差し出しましょう」
と、ジリムさんが、淡々と言った。
ジリムさん…、今、一番、変なことを言いましたよ?!
「あ、それいいね! ランディが、あんなに懐いて、楽しそうだもんね。次期公爵のところに、弟子入りさせてもらったらいいんじゃない?」
そう言って、ランディ王子が微笑んだ。
「そうね。ランディ兄様もそのほうが喜ぶわね! そうと決まれば、アデルちゃんにこの国をうーんと好きになってもらって、この国にずーっといたくなるようにがんばろう!」
と、イーリンさんが元気よく言った。
イーリンさんも、すっかり、活発で明るくなった。良かったわ…。
…じゃなくて、みなさんの言ってることは、つっこみどころ満載なんだけど?
ユーリに聞かれたら恐ろしいので、冗談でもやめてくださいね…。
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