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歓迎されてる!

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「すごい噴水ね!」
と、私が、思わず声をあげると、

「これはね、人工的な噴水じゃなくて、自然に湧いている泉なんだ。それに、あの高く噴き上がっているのも、自然なんだよ」
と、デュラン王子が言った。

「え、泉?!」

「近くにいくと、よく見えますよ。ついてきてください」
そう言ったのは、ジリムさんだ。

ということで、ジリムさんのあとをついて、泉のそばまでやってきた。
丸い形をした泉は、そう、大きくはなく、真ん中から、水が空高くまで噴き上がっている。

「この泉は、太古からあると言い伝えられていてね。
まず泉があって、それから、まわりに人が住み始め、この街ができ、この国ができたっていう言われがあるんだよ。
この泉は、ポーリンって呼ばれているんだけど、古代語で、命という意味になる。
つまり、この泉から、このブルージュ国はできたってことなんだ」
と、デュラン王子が説明してくれた。

「太古からある泉って、すごいわね! でも、なんで、上のほうの水が、虹色なの。虹がでてるのかとも思ったけど、水自体が虹色に見えるんだけど?」
私が聞くと、デュラン王子がうなずいた。

「そう、この泉は、不思議な魔力をふくんでる。空に近づくにつれ、虹色に見える水は、魔力のせいだと思う。いまだ、詳しくはわからないんだけどね」
と、私の質問に答えてくれた。

と、そこで、イーリンさんが、私のまわりを見ながら言った。
「アデルちゃんのまわりに、虹色の小さなフワフワしたものが、集まってきてる。この泉の精霊みたいなんだけど」

「え! イーリンさん、精霊まで見えるの?!」
私が驚くと、

「普段は、人が発する言葉にしか見えないんだけど、なんでだろう? 泉の精霊は見えるわ」
と、首をかしげる。

すると、デュラン王子が、
「おそらく、精霊は、まさにこの泉の意志を伝えようとする、言葉みたいな存在だからじゃない? 
だって、ほら、アディーのまわりによってきたんなら、来てくれてうれしいってことでしょ」
と、私にむかって微笑んだ。

この泉に歓迎されるのは、すごーく嬉しい!

そこで、イーリンさんは、はっとしたような顔をして、
「そう言えば、アデルちゃんが話しかけてきてくれた晩餐会の時、アデルちゃんの言葉は、きれいな虹色をしてたって、私言ったよね。この泉の精霊と感じるものが似てるわ!」
と、琥珀色の目をきらきらさせて、私に言ってくれた。

「へえ、やっぱり、アディーはこの国に縁があるんだね。この国の起源ともいえる泉の精霊にまで気に入られたのなら、やっぱり、アディーはこの国に越してきたほうがいいよ。ね、おいで」
と、デュラン王子が甘く誘ってきた。

たちまち、場が寒くなった。ユーリから放たれる気が冷たい…。

そして、ユーリは、私とデュラン王子の間に立ち、
「アデルを呼び寄せようとするなら、この泉も、精霊も、まるごと凍らすけど? 元が、水だから、簡単だよね?」
と、妖しげに微笑んだ。

なんですって?! それは、さすがに止めないと。
他国の起源であり、命ともいえる大事な泉だよ?

「こら、ユーリ! やめなさい! そんなこと言ったら、罰があたるわよ!」
私が注意すると、

「おい、アデル! おまえこそ、ユーリさんに、なんて口のきき方だ!」
と、ランディ王子が、つっかかってくる。

あなたの国のために、注意したんですが…。

そんな、ランディ王子に、ユーリが、凍てつく視線をとばし、
「ランディ。ほんとに覚えないね? アデルは、ぼくの婚約者だよ? 
ランディこそ、口のきき方を改めないと、この泉に閉じ込めて、凍らすよ?」

「あ、すみません、ユーリさん。…と、アデル…さん」
と、悔しそうな顔で、私に言った。

それよりも、一応、ユーリに物申しておかねば。

「ユーリ。泉に閉じ込めて、凍らすって…。ランディ王子はともかく、太古からある、しかも精霊もいる泉に、失礼でしょ!」
と、私はぴしりと注意した。

デュラン王子はクスッと笑い、ランディ王子は目をむいて、私をにらんだ。

もう、本当に混沌としてます。
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