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ランディ王子

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ランディ王子に軽く頭を下げ、
「では、これで」
と、さっさと会話を終わらせ、さりげなく距離をとりつつ離れていこうとすると、ランディ王子が、ぐいっと近づいてきた。

げっ!

「俺の外面、通用しないんだ?」
と、ランディ王子が口調を変えてきた。

そりゃ、当たり前よね。
だって、先にデュラン王子への態度で、本性、丸出しだったし、なにより、完璧な外面大魔王と比べると、まだまだひよっこって感じだものね。

「ランディ。お客様にむかって、失礼だよ」
デュラン王子が、あきれたように言うと、ランディ王子のスミレ色の瞳が、一気にメラメラと燃え上がった。

「ちょっと、魔力が多いからってえらそうに」

ん? 魔力うんぬんって、今の会話の流れから、全く関係ないよね?

そして、隣のジリムさんが、
「またか…」
と、面倒そうにつぶやいている。

沸点が低いわね。
そして、ジリムさんが、またかと言っているということは、デュラン王子にこんな態度をいつもとっているということかしら。

あ! もしや、反抗期?!
反抗期といえば、前世の記憶では…中二。…中二病。…なるほど。

「そうか、きっと、お兄さんが大好きなのね。本当は」

…あ、しまった。声にでた。
すごく至近距離だけど、どうぞ、聞こえてませんように。

「はあ?! だれが?!」

ランディ王子が、私をにらんだと思った瞬間、すぐさま、ユーリの背にかばわれた。

「ねえ? そいつ、つぶしていい?」

ダメにきまってるでしょ!!

「いいですよ。面倒なんで」
と、冷静な声。

ええ?! ちょっと、ジリムさん!? 何言ってるんですか?! 自国の王子でしょ?!

「いやいや、ただの反抗期なだけでしょ。大目にみてあげて?」
またもや、思わず、心の声がそのままでてしまったが、仕方がない。

毛を逆立てているだけの子ネコに、魔王が襲いかかることは、断固阻止しないと!

が、ジリムさんは、
「いや、反抗期って…。ランディ王子は、もう18歳ですよ?」

えええ?! その言動から、同じ年くらいかと思ったわ…。

「デュラン王子にむかって、つっかかってくるのも、はや3年。手間がかかるし、面倒だし、なにより、同じことを見せられ続けて飽きたし…。次期公爵様、どうぞ、お好きになさってください」
と、疲労感いっぱいに、ジリムさんが言った。

「おい、おまえら! なに好き勝手なことばかり言ってるんだ!」
と、ランディ王子がわめく。

「うるさいなあ。ほんとに、つぶすよ」
ユーリが、ひやりとする声で言った。一気にあたりが寒くなる。

…ユーリさん、その殺気しまって。
ここは、他国の王宮ですよ? そして、その人は他国の王子ですよ?

ランディ王子が、ぎょっとした顔をして、動かなくなった。

そして、
「…お、おまえも、魔力があるんだな!」
と、後ずさりする。

なんだか、すごーく魔力にこだわってるみたいだけど、何かあったのかしら?

思わず、デュラン王子を見る。

すると、
「ちょっと色々あって…。ごめんね」
と、私に小声で言って、寂しそうに微笑んだ。

その横で、ユーリが、
「魔力、魔力って、うるさいやつだよね。そんなに見たいなら、特別に全力で見せてやろうか? 見た瞬間、後悔すると思うけど」
と、ランディ王子に、魔王全開の言葉を投げかけている。

ランディ王子、悪いことは言わない。
早く逃げて!!

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