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反省会
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騎士団長のラルフさんが退席した後、打ち合わせは打ち切られました…。
結局、ブルージュ国での予定は、ジリムさんにまるなげになりました…。
本当にすみません…。
5日後に出発で、時間もないため、しなければならないことが満載のジリムさん。
素早く書類をまとめて、でていこうとすると、
「ジリム、あとはまかせたよ~」
と、のんきに手をふるデュラン王子。
が、すぐさま、
「は?! あなたも来るんですよ!!」
と、ジリムさんに引きずられていった。
そして、ルイ兄様は、ユーリに、
「それじゃあ、こっちで準備することは、ユーリがしきってね」
と、それだけ言うと、あっという間に部屋から退出していった。
逃げ足が速いわ、ルイ兄様!
では、私も、続いて退席しましょうかね…?
そろっと席から立ちあがると、
「どこ行くの? アデル」
魔王様が、やっと言葉を発せられました。
ぎぎっと、お隣を向くと、きれいなお顔が冷え冷えとしているわ。
「えっと、打ち合わせも終わったみたいだし、私も部屋に帰ろうかなあって…」
「座って」
真顔のユーリ様が、怖い…。とりあえず、言われたとおりにしておこう。
私が座ると、椅子ごとユーリの方向にぐいっとまわされ、お互いが向かいあう形になった。
「…なに?」
おそるおそる聞いてみる。
「反省会でもしようと思って」
と、ユーリ。
「反省会? なんの?」
「アデルの」
ん? 私の反省会? …って、なに?!
「えっと、私、反省するようなことしてないよね?」
だって、場を荒らしていたのは、主に、ルイ兄様と、あなたがた魔王二人でしょ?
「へえ、自覚がないんだ。どうやって、わからせようかな?」
ひんやりとした口調で、体が冷える。
外は暑いけど、ここに暖房をつけてください!
「ねえ、俺が盛大に愛の告白をしたのに、なんで無視して、ブルージュ国に行きたがるの?」
え? 愛の告白? そんなことあったっけ?
…あ、もしや、国をつぶす発言のこと?
「いやいや、あれは、愛の告白じゃなくて、ルイ兄様を滅ぼす話でしょ。それに、ブルージュ国に行きたいというよりは、リッカ先生に会いたいの! すごいファンなの、ユーリは知ってるよね?」
と、ここは、絶対、引けないとこなので、負けないように、胸をはって主張する。
「ふーん。じゃあさ、俺とリッカ先生とどっちが大事なの? アデルは」
なんだ、その質問は?
決まってるじゃない。それは、リッカ先生の作品です!
…なーんて言えないから、
「比べられないわよね」
と、無難な感じで答えてみる。
が、ユーリの宝石みたいな目で見据えられると、私の目が泳ぎまくってしまうわ…。
「なるほどね…。わかった、俺が間違ってた。本に負けるなんて、今後はもっと攻めてくね」
ご遠慮いたします。そして、その狂暴なまなざし、怖いんだけど…。
そして、ユーリは、すっと私の方に体をよせてきて、私がしているチョーカーの宝石にぴたりと指をあてた。
「…な、なに? なんですか、ユーリさん?!」
えっと、まさか、そこを押すの?
首の真ん中だよ。押されたら、死んじゃう感じ?!
実は、この宝石は推すと、命のカウントダウンがはじまるスタートボタンみたいな感じなの?!
「これ、全然、効かなかったね。どうしようかな…」
ユーリはそう言いながら、指を、チョーカーにそって、なぞらせはじめた。
「ひゃ! ちょっと、やめてよ!!」
くすぐったくて、ぞわぞわするから、やめてー!
真っ赤になって、嫌がる私を見て、やっと、ユーリが笑った。
楽しそうに。ほんと、いい性格してるよね…。
そして、言った。
「でも、二人で旅行だなんて、初めてだね。ねえ、アデル」
いやいや、二人では全然ないですが?
「アデルは、すぐに虫を引き寄せるから油断できないけど、新婚旅行だと思って、楽しもうね?」
そう言って、妖艶な笑みを浮かべた。
ユーリさん、色々間違ってますよ?
旅行に行く前から、面倒なことが起こりそうな予感がびしびしするわね…。
でも、リッカ先生に会えるんだから、がんばるのよ、私!
結局、ブルージュ国での予定は、ジリムさんにまるなげになりました…。
本当にすみません…。
5日後に出発で、時間もないため、しなければならないことが満載のジリムさん。
素早く書類をまとめて、でていこうとすると、
「ジリム、あとはまかせたよ~」
と、のんきに手をふるデュラン王子。
が、すぐさま、
「は?! あなたも来るんですよ!!」
と、ジリムさんに引きずられていった。
そして、ルイ兄様は、ユーリに、
「それじゃあ、こっちで準備することは、ユーリがしきってね」
と、それだけ言うと、あっという間に部屋から退出していった。
逃げ足が速いわ、ルイ兄様!
では、私も、続いて退席しましょうかね…?
そろっと席から立ちあがると、
「どこ行くの? アデル」
魔王様が、やっと言葉を発せられました。
ぎぎっと、お隣を向くと、きれいなお顔が冷え冷えとしているわ。
「えっと、打ち合わせも終わったみたいだし、私も部屋に帰ろうかなあって…」
「座って」
真顔のユーリ様が、怖い…。とりあえず、言われたとおりにしておこう。
私が座ると、椅子ごとユーリの方向にぐいっとまわされ、お互いが向かいあう形になった。
「…なに?」
おそるおそる聞いてみる。
「反省会でもしようと思って」
と、ユーリ。
「反省会? なんの?」
「アデルの」
ん? 私の反省会? …って、なに?!
「えっと、私、反省するようなことしてないよね?」
だって、場を荒らしていたのは、主に、ルイ兄様と、あなたがた魔王二人でしょ?
「へえ、自覚がないんだ。どうやって、わからせようかな?」
ひんやりとした口調で、体が冷える。
外は暑いけど、ここに暖房をつけてください!
「ねえ、俺が盛大に愛の告白をしたのに、なんで無視して、ブルージュ国に行きたがるの?」
え? 愛の告白? そんなことあったっけ?
…あ、もしや、国をつぶす発言のこと?
「いやいや、あれは、愛の告白じゃなくて、ルイ兄様を滅ぼす話でしょ。それに、ブルージュ国に行きたいというよりは、リッカ先生に会いたいの! すごいファンなの、ユーリは知ってるよね?」
と、ここは、絶対、引けないとこなので、負けないように、胸をはって主張する。
「ふーん。じゃあさ、俺とリッカ先生とどっちが大事なの? アデルは」
なんだ、その質問は?
決まってるじゃない。それは、リッカ先生の作品です!
…なーんて言えないから、
「比べられないわよね」
と、無難な感じで答えてみる。
が、ユーリの宝石みたいな目で見据えられると、私の目が泳ぎまくってしまうわ…。
「なるほどね…。わかった、俺が間違ってた。本に負けるなんて、今後はもっと攻めてくね」
ご遠慮いたします。そして、その狂暴なまなざし、怖いんだけど…。
そして、ユーリは、すっと私の方に体をよせてきて、私がしているチョーカーの宝石にぴたりと指をあてた。
「…な、なに? なんですか、ユーリさん?!」
えっと、まさか、そこを押すの?
首の真ん中だよ。押されたら、死んじゃう感じ?!
実は、この宝石は推すと、命のカウントダウンがはじまるスタートボタンみたいな感じなの?!
「これ、全然、効かなかったね。どうしようかな…」
ユーリはそう言いながら、指を、チョーカーにそって、なぞらせはじめた。
「ひゃ! ちょっと、やめてよ!!」
くすぐったくて、ぞわぞわするから、やめてー!
真っ赤になって、嫌がる私を見て、やっと、ユーリが笑った。
楽しそうに。ほんと、いい性格してるよね…。
そして、言った。
「でも、二人で旅行だなんて、初めてだね。ねえ、アデル」
いやいや、二人では全然ないですが?
「アデルは、すぐに虫を引き寄せるから油断できないけど、新婚旅行だと思って、楽しもうね?」
そう言って、妖艶な笑みを浮かべた。
ユーリさん、色々間違ってますよ?
旅行に行く前から、面倒なことが起こりそうな予感がびしびしするわね…。
でも、リッカ先生に会えるんだから、がんばるのよ、私!
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