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ユーリと一緒に

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あれよあれよという間に、ユーリに連れ去られ、子どもたちに挨拶もできなかったよ!

ということで、私、今、おしゃれなカフェにいます。
静かで、落ち着いた雰囲気の個室。窓からは町の景色が一望できて、きれい!

さすが、ユーリ。いいところ知ってるわね。
やっぱり、女性と来てるんだろうね。もてるしね。

と、ユーリが私の顔を見て言った。

「アデルと来ようと思って、下見で何回か来ただけ。他の誰とも来てないよ」

「え、また、心の声がでてた?」
私があわてて聞くと、ユーリはフフッと笑った。

「そうじゃないけど、なんか、アデルの考えてること、よくわかるんだよねえ」

えっ! まずい。変なこと、考えないようにしなきゃ。
ユーリの悪口とか、悪口とか…。

すごーくご機嫌なユーリは、
「アデル、お昼食べてなかったから、色々たのんじゃった」
と、楽しそうに微笑む。

背景に花が咲きほこってるのが、見えた気がするわ。
邪気がない時の笑顔は、天使みたいで、ほんと、見とれてしまうわね。

まあ、テーブルいっぱいに、並んだお料理にも見とれてしまってる私ですが。
ムフフフ、美味しそう!

小さなサイズのいろんな種類のサンドイッチやサラダ、スープ、そして、色とりどりの甘いものが、ところせましと、素敵に並べられている。

これって、好きなものを好きなだけ選んで食べていいってことよね!
いつも食べているお料理とはまた違って、カジュアルな感じで心がはずむわ!

「いただきます!」

私は早速、小さなカップに入ったスープをいただいた。
うわ、濃厚な野菜のスープ。美味しい!

次は、小さなサンドイッチ。いろいろはさまっているので、選ぶのも楽しい!
まずは、よくわからないものを選んで、食べてみる。

もぐもぐもぐ。

「うわ、蟹! 美味しいよ、ユーリ!」

ユーリは、
「喜んでくれて良かった」
うれしそうな顔で、食べもせずに私を見ている。

「ええと、ユーリ? どうかした? 今日、なんか変だよ」

「変? どこが?」

「うーん、いつもみたいな毒気がないというか…。ライオンが猫っぽいというか…」

「毒気ねえ。だそうと思えば、いつでもだせるけど。欲しい?」

私はぶんぶんと首を横にふった。
「いらない! いりません! ご遠慮します! 今のユーリがいい!」

ユーリが、急に艶っぽい何かをだしながら、微笑む。
「そう? じゃあ、今のぼくが好き?」

今度は、私はこくんこくんと首を縦にふった。
「うん、今のユーリのほうが好き! 毒気はいりません!」

「へええ。なんかいいね。もう一回言って?」

え?

「毒気はいりません?」

「そっちじゃなくて。ほら、その前の言葉」

「今のユーリのほうが好き?」

「そう、それ。アデル、ぼくのこと好きなんだ。いいね。ほら、もっと食べて」

ん? なんか、そこだけ切り取ると、変な感じだけど…?

ま、いいか。と、次のサンドイッチを口に入れる。
はああ、今度はローストビーフだった! 美味しい!
ほんと、美味しいは幸せだわ!

そんな私をユーリは、うれしそうに見ている。
そんなに見られたら、ちょっと食べにくいんですが。
…まあ、食べるけどね。

「ユーリも食べたら? ほんと、なんか感じが違うね」

「そうだね、ちょっと反省したんだ」

「反省? ユーリも反省するんだ?」

「いや、今まではしたことないけどね。失敗も後悔もしないから。でも、今回は、アデルの取り扱いが間違ってたかもと反省した。やっぱり、アデルがかかわると、何がおこるかわからないから、おもしろいよね」

んんん? 取り扱い? 色々意味がわかりませんが?

「これからは、ぼくなしでいられないように、色々と全力だしていくから。まずは餌付け。だから、どんどん食べてね」
と、ユーリが艶やかに微笑んだ。

サンドイッチを食べていた手がとまる。

え? なんか、今、不穏な言葉が聞こえなかった?
私、これ、食べていいのかしら?
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