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助手です
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さっき、呼びに来た男の子が、
「ついてきて」
と言って、ドーラさんの部屋へ案内してくれた。
ここでは、一番大きな男の子だけれど、私より少し背が低い。
私は14歳だけれど、平均より低いから、…10歳くらいかしらね。
小さい男の子なのに、しっかりしてるわね。
そう思いつつ、後ろ姿をみていたら、男の子が、きっ!と、私を振り返った。
「ぼく、13歳だから。それに、背はこれから伸びるから。そして、小さい男の子じゃなくて、名前はダニエル」
え!! 心の声、またでてしまってた?!
思わず、デュラン王子を見ると、笑いをこらえながら、うなずいた。
ほんと、ごめんなさい。
しかも、年はひとつしか、かわらないのね。これまた、ごめんなさい…。
そして、ダニエルなのね。忘れないわ…。
ダニエルが、廊下のつきあたりの部屋をノックした。
と、師匠がでてきた。
「デューさんが、お医者さんの資格を持ってるんですって。なので、診てもらいましょう」
私の言葉に、師匠がほっとした顔をする。
「そりゃあ、ありがたい! すぐ診てやってくれ」
そう言って、私たちを招き入れた。
簡素なベッドに、一人の女性が寝ている。
こちらを見て、急いで、起き上がろうとした。
「あ、そのままでいいですよ。ぼくは、医者のデューです。そして、こちらは助手のアディーです」
そう言って、デュラン王子が私を手でしめした。
なるほど、私たち、見知らぬ人だものね。まずは、病人に安心させないとね。
まかせて! 立派に助手になりきってみせるから!
「助手のアディーです。よろしくお願いします」
私は、にっこりと微笑んだ。
「では、診てみますね。ああ、そうだ。師匠、部屋から出ててね」
デュラン王子の言葉に、うろうろしていた師匠が、なんで?という顔をした。
ここは、助手の初仕事ね! 張り切っていきましょう!
私は、師匠へ近づき、
「師匠は、ドーラさんのご主人なんですか?」
「え?」
一瞬間があって、すごい勢いで首を横にふった。
「いやいやいやいや、ちがう、ちがう、ちがう! とんでもない! …あっ、いや、嫌ってわけじゃなくて、俺みたいな奴に、ドーラさんはもったいないっていうか…」
なにこれ、おもしろいわね…。
そして、師匠。顔が真っ赤ですよ。
ふっふーん、なるほど、そういうことね! って、楽しんでる場合じゃないわ。
「じゃあ、他人ということね! すぐに、部屋からでてください!」
私は、真っ赤になったままの師匠を、部屋の外へと追い出した。
さあ、次は何をすればいいかしら、デュー先生!
やる気がみなぎっている私は、後ろで待機してるからね。
ドーラさんは、ベッドで、ゆっくりと上半身をおこした。
私の母くらいの年齢かしら?
優しそうで、きれいな人ね。でも、顔が真っ赤で、しんどそう…。
いつもと違って、甘い雰囲気は封印し、真面目な顔つきのデュラン王子。
「ドーラさん、口をあけて」「頭は痛い?」「せきは?」などなど、次々と質問をしていく。
「なるほどね。だいたいわかったけど、…ちょっと、アディー、ここへ来て」
やっと出番だわ!
「はいっ!」
張り切りすぎて、すごい大きい返事になった。
「クッ…いい返事だね」
デュラン王子が笑い、ドーラさんも微笑んだ。
「じゃあ、ぼくはこれから目をつぶるね。だから、助手のアディーは、ぼくの言う通りにしてね」
デュラン王子は、そう言うと、目を閉じた。
「わかったわ。何をすればいいの?」
「まずは、ドーラさんとぼくとの間に立って」
言われた通りに移動する。
「立ったわ」
「では、ドーラさん、寝間着の上をぬいで、上半身は裸になってください。服越しだと、わかりにくいので。アディー手伝ってあげて」
「まかせて!」
ドーラさんは、体がつらそうなので、ボタンをはずすのを手伝った。
「ぬげたわ」
「じゃあ、今度は、ぼくの左手を、アディーが持ってくれる?」
「デューさんの手を?」
「そうだよ、ほら」
そう言って、伸ばしてきた左手を言われるがままに持つ。
「じゃあ、ぼくの手を、彼女の胸の真ん中あたりに持っていって。触らない程度に近づけてね」
まったく意味がわからないけれど、言われたとおりにする。
「持ってったよ」
「うん、ありがとう。じゃあ、ドーラさん。はじめます」
そう言うと、デュラン王子は、彼女の胸の真ん中あたりにむけて、手のひらを開いた。
一体、何がはじまるの?
「ついてきて」
と言って、ドーラさんの部屋へ案内してくれた。
ここでは、一番大きな男の子だけれど、私より少し背が低い。
私は14歳だけれど、平均より低いから、…10歳くらいかしらね。
小さい男の子なのに、しっかりしてるわね。
そう思いつつ、後ろ姿をみていたら、男の子が、きっ!と、私を振り返った。
「ぼく、13歳だから。それに、背はこれから伸びるから。そして、小さい男の子じゃなくて、名前はダニエル」
え!! 心の声、またでてしまってた?!
思わず、デュラン王子を見ると、笑いをこらえながら、うなずいた。
ほんと、ごめんなさい。
しかも、年はひとつしか、かわらないのね。これまた、ごめんなさい…。
そして、ダニエルなのね。忘れないわ…。
ダニエルが、廊下のつきあたりの部屋をノックした。
と、師匠がでてきた。
「デューさんが、お医者さんの資格を持ってるんですって。なので、診てもらいましょう」
私の言葉に、師匠がほっとした顔をする。
「そりゃあ、ありがたい! すぐ診てやってくれ」
そう言って、私たちを招き入れた。
簡素なベッドに、一人の女性が寝ている。
こちらを見て、急いで、起き上がろうとした。
「あ、そのままでいいですよ。ぼくは、医者のデューです。そして、こちらは助手のアディーです」
そう言って、デュラン王子が私を手でしめした。
なるほど、私たち、見知らぬ人だものね。まずは、病人に安心させないとね。
まかせて! 立派に助手になりきってみせるから!
「助手のアディーです。よろしくお願いします」
私は、にっこりと微笑んだ。
「では、診てみますね。ああ、そうだ。師匠、部屋から出ててね」
デュラン王子の言葉に、うろうろしていた師匠が、なんで?という顔をした。
ここは、助手の初仕事ね! 張り切っていきましょう!
私は、師匠へ近づき、
「師匠は、ドーラさんのご主人なんですか?」
「え?」
一瞬間があって、すごい勢いで首を横にふった。
「いやいやいやいや、ちがう、ちがう、ちがう! とんでもない! …あっ、いや、嫌ってわけじゃなくて、俺みたいな奴に、ドーラさんはもったいないっていうか…」
なにこれ、おもしろいわね…。
そして、師匠。顔が真っ赤ですよ。
ふっふーん、なるほど、そういうことね! って、楽しんでる場合じゃないわ。
「じゃあ、他人ということね! すぐに、部屋からでてください!」
私は、真っ赤になったままの師匠を、部屋の外へと追い出した。
さあ、次は何をすればいいかしら、デュー先生!
やる気がみなぎっている私は、後ろで待機してるからね。
ドーラさんは、ベッドで、ゆっくりと上半身をおこした。
私の母くらいの年齢かしら?
優しそうで、きれいな人ね。でも、顔が真っ赤で、しんどそう…。
いつもと違って、甘い雰囲気は封印し、真面目な顔つきのデュラン王子。
「ドーラさん、口をあけて」「頭は痛い?」「せきは?」などなど、次々と質問をしていく。
「なるほどね。だいたいわかったけど、…ちょっと、アディー、ここへ来て」
やっと出番だわ!
「はいっ!」
張り切りすぎて、すごい大きい返事になった。
「クッ…いい返事だね」
デュラン王子が笑い、ドーラさんも微笑んだ。
「じゃあ、ぼくはこれから目をつぶるね。だから、助手のアディーは、ぼくの言う通りにしてね」
デュラン王子は、そう言うと、目を閉じた。
「わかったわ。何をすればいいの?」
「まずは、ドーラさんとぼくとの間に立って」
言われた通りに移動する。
「立ったわ」
「では、ドーラさん、寝間着の上をぬいで、上半身は裸になってください。服越しだと、わかりにくいので。アディー手伝ってあげて」
「まかせて!」
ドーラさんは、体がつらそうなので、ボタンをはずすのを手伝った。
「ぬげたわ」
「じゃあ、今度は、ぼくの左手を、アディーが持ってくれる?」
「デューさんの手を?」
「そうだよ、ほら」
そう言って、伸ばしてきた左手を言われるがままに持つ。
「じゃあ、ぼくの手を、彼女の胸の真ん中あたりに持っていって。触らない程度に近づけてね」
まったく意味がわからないけれど、言われたとおりにする。
「持ってったよ」
「うん、ありがとう。じゃあ、ドーラさん。はじめます」
そう言うと、デュラン王子は、彼女の胸の真ん中あたりにむけて、手のひらを開いた。
一体、何がはじまるの?
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