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公爵夫人レイラ
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あれから一週間。
ついに、公爵夫人である、レイラおばさまとお茶をする日になった。
大事なポイントは、ユーリが絶対に留守であること。
念には念を入れ、王太子のルイ兄様にも、それとなく確認した。
その結果、通訳、参謀として、隣国との大事な交渉があるこの日に決まった。
そして、レイラおばさまの大好物である、王宮御用達の老舗ケーキ屋さんの季節限定アップルパイも用意済み。
なんて、ぬかりのない私。やれば、できる子! これで、完璧ね。
公爵家に到着すると、レイラおばさまとマルクが出迎えてくれた。
「アデルちゃん、いらっしゃい! 今日は楽しみにしてたのよ」
笑顔でむかえてくれる、レイラおばさま。
ユーリと同じ金髪で澄んだ青い目。スタイルはすらりとして、とてつもない美人だが、表情が可愛らしく、どこか少女のよう。
ちなみに、マルクは全身が公爵に似ている。いわゆる親しみやすい外見だ。
「おじゃまします。今日は、お芝居のお話が聞きたくて、お時間をとっていただき、ありがとうございます。レイラおばさま」
「あらあら、レイラお母さまでもいいのよ? もうすぐ、そうなるんだから。フフフ」
いえいえ、なりません。ならないために、がんばってます!
もちろん、レイラおばさまは大好きだから、本当なら義理のお母さまだなんて、ラッキーなんだけどね。
残念、息子が怖すぎる…。
応接間に案内されると、そこには、色々なお菓子やサンドイッチが並べられている。
美味しそう! …じゃなくて、今日は大事な任務があるから、食べ物に気をとられてはならないわ!
用意された席にすわる。
となりにマルクがすわる。
ええと、マルクさん? いくらなんでも緊張しすぎでしょう。置物みたいだよ。
真実の愛を演じないといけないのに、大丈夫なのかしら?
しかたない。いざとなったら、一人芝居。
私の眠れる女優魂を呼び起こすのよ!
「早速ですが、今、レイラおばさまが見に行ってるお芝居って、どんなお話なんですか? 人気があるので、私も興味があって」
と、まずは直球で。
レイラおばさまの顔は、さっきから話したくて、うずうずしている感じがしたから。
「それが、すごく素敵なの! ヒロインがね、家のため、政略結婚の相手と愛のない結婚をしようとするところからはじまるの。また、この政略結婚の相手が、ひどい人でね。人を人とも思ってない、冷たい人なのよ!」
ここで、私は大きく、うんうんとうなずく。
人を人とも思ってない感じ、一緒だ。共感してしまうわ。
「でも、ヒロインが健気なの。心優しくて、可憐で、そんな婚約者にも、つくそうとするのよ。ほんと、何度見ても、序盤はかわいそうで、涙がでちゃうの」
心優しくて、可憐…。
うん、私も、そうでないとは言いきれない…かもしれない。
ということで、ここまでは一緒。…ということにしておこう。
が、つくそうとする? これはない。やりたくもない。
ますます、やつが助長するだけだもの。
ここは、舞台のキャラとは少しずれるけど、まあいいか。
「そこで、庭師の男性が登場するの。困っているヒロインを静かに見守って、寡黙だけど、頼もしいの」
ええと、ここで、真実の愛の相手が登場ね。ということは、マルクか…。
うーん、静かは静かよね。
だって、横でマルクはかたまったまま、一言もしゃべってない。これを寡黙ということにしよう。
そして、頼もしい?
うーん、よくわからないけれど、まあ、お願いを聞いてくれて、この場にいるので、頼もしいということにしてしまおう。
うん、だいたい、舞台のキャラと同じだ。いける!
そんなことを考えている間にも、レイラおばさまの話は、どんどん熱をおびていった。
いまや、お気に入りの役者の演技をほめまくっている。本当に素敵だとか、素晴らしくて泣けるとか。
この辺は、興味がないので、…省略。
ついに、公爵夫人である、レイラおばさまとお茶をする日になった。
大事なポイントは、ユーリが絶対に留守であること。
念には念を入れ、王太子のルイ兄様にも、それとなく確認した。
その結果、通訳、参謀として、隣国との大事な交渉があるこの日に決まった。
そして、レイラおばさまの大好物である、王宮御用達の老舗ケーキ屋さんの季節限定アップルパイも用意済み。
なんて、ぬかりのない私。やれば、できる子! これで、完璧ね。
公爵家に到着すると、レイラおばさまとマルクが出迎えてくれた。
「アデルちゃん、いらっしゃい! 今日は楽しみにしてたのよ」
笑顔でむかえてくれる、レイラおばさま。
ユーリと同じ金髪で澄んだ青い目。スタイルはすらりとして、とてつもない美人だが、表情が可愛らしく、どこか少女のよう。
ちなみに、マルクは全身が公爵に似ている。いわゆる親しみやすい外見だ。
「おじゃまします。今日は、お芝居のお話が聞きたくて、お時間をとっていただき、ありがとうございます。レイラおばさま」
「あらあら、レイラお母さまでもいいのよ? もうすぐ、そうなるんだから。フフフ」
いえいえ、なりません。ならないために、がんばってます!
もちろん、レイラおばさまは大好きだから、本当なら義理のお母さまだなんて、ラッキーなんだけどね。
残念、息子が怖すぎる…。
応接間に案内されると、そこには、色々なお菓子やサンドイッチが並べられている。
美味しそう! …じゃなくて、今日は大事な任務があるから、食べ物に気をとられてはならないわ!
用意された席にすわる。
となりにマルクがすわる。
ええと、マルクさん? いくらなんでも緊張しすぎでしょう。置物みたいだよ。
真実の愛を演じないといけないのに、大丈夫なのかしら?
しかたない。いざとなったら、一人芝居。
私の眠れる女優魂を呼び起こすのよ!
「早速ですが、今、レイラおばさまが見に行ってるお芝居って、どんなお話なんですか? 人気があるので、私も興味があって」
と、まずは直球で。
レイラおばさまの顔は、さっきから話したくて、うずうずしている感じがしたから。
「それが、すごく素敵なの! ヒロインがね、家のため、政略結婚の相手と愛のない結婚をしようとするところからはじまるの。また、この政略結婚の相手が、ひどい人でね。人を人とも思ってない、冷たい人なのよ!」
ここで、私は大きく、うんうんとうなずく。
人を人とも思ってない感じ、一緒だ。共感してしまうわ。
「でも、ヒロインが健気なの。心優しくて、可憐で、そんな婚約者にも、つくそうとするのよ。ほんと、何度見ても、序盤はかわいそうで、涙がでちゃうの」
心優しくて、可憐…。
うん、私も、そうでないとは言いきれない…かもしれない。
ということで、ここまでは一緒。…ということにしておこう。
が、つくそうとする? これはない。やりたくもない。
ますます、やつが助長するだけだもの。
ここは、舞台のキャラとは少しずれるけど、まあいいか。
「そこで、庭師の男性が登場するの。困っているヒロインを静かに見守って、寡黙だけど、頼もしいの」
ええと、ここで、真実の愛の相手が登場ね。ということは、マルクか…。
うーん、静かは静かよね。
だって、横でマルクはかたまったまま、一言もしゃべってない。これを寡黙ということにしよう。
そして、頼もしい?
うーん、よくわからないけれど、まあ、お願いを聞いてくれて、この場にいるので、頼もしいということにしてしまおう。
うん、だいたい、舞台のキャラと同じだ。いける!
そんなことを考えている間にも、レイラおばさまの話は、どんどん熱をおびていった。
いまや、お気に入りの役者の演技をほめまくっている。本当に素敵だとか、素晴らしくて泣けるとか。
この辺は、興味がないので、…省略。
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