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お茶の時間

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細身のまま、すらりと高くなった背。22歳になったユーリは、中性的な美貌のまま、大人の色気までかもしだしている。
そして、さらさらした金色の髪は、今日もまぶしい。まぶしすぎて、直視できない。

マルクに小声で言った。
「ちょっと! ユーリがなんでいるのよ?! 今日は領地に行ってるんじゃなかったの?」

マルクも小声で答える。
「うーん、そう聞いてたんだけど…」

留守をねらって、遊びに来たのに!

「アデル。ぼくの予定は、ぼくに聞いてよね。婚約者なのにさみしいよ」
きれいすぎて怖い笑顔で近づいてくるユーリに、

「領地で仕事じゃなかったの? あそこ、遠いでしょ」
とりあえず、疑問をぶつけてみる。

「そうだね。急に近場の領地の視察に変更したんだよね。なーんか、アデルが来る予感がして?」
そう答えるユーリの目は、もはや猛禽類だ。

獲物になったような気分。
いやいや、もう本当に怖いから。

「そうだ、お土産があるんだ。ふたりに」

そう言って、ユーリが合図をすると、テーブルに、お皿にきれいに盛られた色とりどりのマカロンがでてきた。
あっという間に三人分のお茶のしたくができた。

ユーリが、椅子にすわり、
「さあ、二人もすわって」
そう言って、優雅に笑った。

気がつくと、すいよせられるように、私は、もう椅子にすわっていた。
そう、私は甘いものに目がない。
しかも、マカロンは大好物なのよね。

本を読み、甘いものを食べるのが、至福の時。

心の奥底では、危険なエラー音がなっている。
が、このきらびやかなマカロンの前では、あらがえない。

隣をみると、マルクも同じ。
二人とも、本を読んで、甘いものを食べ、あまり動きたくない。
それゆえ、ほんの少しだけ、ぽっちゃり。
似た者すぎる…。

悔しいけれど、この男の買ってきたものに、はずれはない。
なかなか手に入りにくい美味しいものを食べさせてくれるのよね。

こうして、甘いものに目がない、わきの甘い二人と、抜け目ない猛禽類とのお茶の時間がはじまった。


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