93 / 106
招待されてません
しおりを挟む
私はロジャー様に群がっている銀色の動物たちにむかって、両手をだした。
魔獣にするように、手のひらから守護の力をだして、銀色の動物たちをくるんでいくことにしたから。
そうすれば、魔獣だったら眠る。
ただ、ノーラン様の魔術で生まれた幻だから、どうなるかはわからない。
でも、やってみると、私の髪が入っているだけあって、銀色の動物たちが、私の守護の力に簡単にくるまれていった。
(眠りなさい)
と、心で訴えかけてみる。
すると、たちまち、動物たちが動かなくなった。
「ノーランの幻術にも効くなんて、ルシェルの守護の力は強いわね! 後は私にまかせて!」
と、エリカ様が叫んだ。
エリカ様は、ものすごい勢いで、両手からきらきらとした浄化の力をだしはじめた。
なるほど……。
エリカ様は、ノーラン様への怒りをぶちまけてるのね……。
ということで、さようなら、銀色の動物たち。
もともと30分で消えるあなたたちだったけれど、偽エルフのせいで、消え去る時間が早まってしまったわね。
と、心の中で、語りかける私。
エリカ様の渾身の浄化で、銀色の動物たちは完全に消えてしまった。
人間以外で部屋に残ったものは、私のハンカチから偽エルフの使い魔に転身した蝶もどきだけ。
エリカ様はその蝶を鋭い視線で見て、悔しそうにつぶやいた。
「それも浄化してやろうと思ったのに……。実体があると、さすがにノーランの魔力が強すぎて、短時間では無理だったわ」
「えー、エリカさん、怖ーい! ぼくとルシェの子どものルーハーを殺そうとしたの!?」
また言ってる……。
「その変な例えはやめて、ノーラン!」
と、私は、きつい口調で抗議した。
が、何故か、華やかな笑みをみせた偽エルフ。
「フフ。ルシェに叱られるの好きー! ノーランって呼ばれるのも、嬉しい!」
そう言って、私の頭をなではじめた偽エルフ。
「こら! うちの娘にむやみに触るな。この変態が!」
という言葉とともに、ロジャー様がノーラン様の手を叩き落した。
「ああ、ロジャー君がたたいたー! いたいよー! 暴力、はんたーい!」
と、わめきだす偽エルフ。
あの……、さっき、銀色の動物たちを使って、散々ロジャー様を痛めつけていたのは誰でしたっけ……。
収集がつかなくなってきた時、神官見習いのアランがエリカ様を呼びにきた。
来客だそう。良かった……。
吉報をもたらしたアランが天使に見えた私。
あとで、大事に隠している激甘のお菓子をひとつわけてあげよう。
「私は負けていないわ。ノーランの優勝は認めない!」
と、エリカ様は捨て台詞を残して去って行った。
「俺の優勝は常にエリカだ!」
という、謎の発言を残して、ロジャー様もエリカ様に従って出て行った。
ふー、やっと静かになったわ……。
あとは、偽エルフに速やかにお帰りいただこう。
と思ったら、ノーラン様が、今度はルビーさんに近寄った。
「で、ビーさんは、その隠し事、どうするのー? まさか隠し続ける気?」
と、挑発するように聞く。
「ノーラン様。だから、誰にだって隠し事はありますから!」
「あのね、ルシェ。お菓子を隠してる、みたいな、どうでもいいことと、ビーさんの隠し事は全然違うからねー」
あ、やっぱり聞こえてたのね! さすが、エルフもどき。耳もいいのね……。
じゃなくて、私のとっておきの隠し事が、どうでもいいことですって!?
「数日、待ってください。自分の口から言います」
真剣な顔で宣言するルビーさん。
「いや、だから、隠し事なんて言わなくていいわよ、ルビーさん」
と、私はあわてて止めた。
が、私の言葉をまるっと無視して、ノーラン様とルビーさんのやりとりが続く。
「じゃあさ、ビーさんの歓迎会で、どーんと発表したらー? うん、おもしろそう」
「わかりました」
と、覚悟を決めた顔でうなずく、ルビーさん。
「でも、ルビーさんの歓迎会は神殿関係者だけでする内輪の会です。ノーラン様は招待されませんし、関係ないですから」
と、私が釘をさした。
「え、ぼく、呼ばれてなくても行くよー」
「いや、やめて」
と、思わず本音がでた。
ノーラン様とエリカ様が一緒にいたら、また、面倒なことがおこりそうだもの。
「ルシェがひどーい。それに、アリシアさんとも、もう少しでお別れだから、行きたーい。そうだ、結婚祝いに、ぼくのとっておきの品物を持っていくから、行ってもいいよね? アリシアさん」
「うわ、お祝いくださるんですか? 嬉しい! ノーラン様からのとっておきの品なんて何かしら!? 楽しみにしていますから、どうぞ来てください」
と、満面の笑みで喜ぶアリシアさん。
アリシアさん、品物につられましたね……。
魔獣にするように、手のひらから守護の力をだして、銀色の動物たちをくるんでいくことにしたから。
そうすれば、魔獣だったら眠る。
ただ、ノーラン様の魔術で生まれた幻だから、どうなるかはわからない。
でも、やってみると、私の髪が入っているだけあって、銀色の動物たちが、私の守護の力に簡単にくるまれていった。
(眠りなさい)
と、心で訴えかけてみる。
すると、たちまち、動物たちが動かなくなった。
「ノーランの幻術にも効くなんて、ルシェルの守護の力は強いわね! 後は私にまかせて!」
と、エリカ様が叫んだ。
エリカ様は、ものすごい勢いで、両手からきらきらとした浄化の力をだしはじめた。
なるほど……。
エリカ様は、ノーラン様への怒りをぶちまけてるのね……。
ということで、さようなら、銀色の動物たち。
もともと30分で消えるあなたたちだったけれど、偽エルフのせいで、消え去る時間が早まってしまったわね。
と、心の中で、語りかける私。
エリカ様の渾身の浄化で、銀色の動物たちは完全に消えてしまった。
人間以外で部屋に残ったものは、私のハンカチから偽エルフの使い魔に転身した蝶もどきだけ。
エリカ様はその蝶を鋭い視線で見て、悔しそうにつぶやいた。
「それも浄化してやろうと思ったのに……。実体があると、さすがにノーランの魔力が強すぎて、短時間では無理だったわ」
「えー、エリカさん、怖ーい! ぼくとルシェの子どものルーハーを殺そうとしたの!?」
また言ってる……。
「その変な例えはやめて、ノーラン!」
と、私は、きつい口調で抗議した。
が、何故か、華やかな笑みをみせた偽エルフ。
「フフ。ルシェに叱られるの好きー! ノーランって呼ばれるのも、嬉しい!」
そう言って、私の頭をなではじめた偽エルフ。
「こら! うちの娘にむやみに触るな。この変態が!」
という言葉とともに、ロジャー様がノーラン様の手を叩き落した。
「ああ、ロジャー君がたたいたー! いたいよー! 暴力、はんたーい!」
と、わめきだす偽エルフ。
あの……、さっき、銀色の動物たちを使って、散々ロジャー様を痛めつけていたのは誰でしたっけ……。
収集がつかなくなってきた時、神官見習いのアランがエリカ様を呼びにきた。
来客だそう。良かった……。
吉報をもたらしたアランが天使に見えた私。
あとで、大事に隠している激甘のお菓子をひとつわけてあげよう。
「私は負けていないわ。ノーランの優勝は認めない!」
と、エリカ様は捨て台詞を残して去って行った。
「俺の優勝は常にエリカだ!」
という、謎の発言を残して、ロジャー様もエリカ様に従って出て行った。
ふー、やっと静かになったわ……。
あとは、偽エルフに速やかにお帰りいただこう。
と思ったら、ノーラン様が、今度はルビーさんに近寄った。
「で、ビーさんは、その隠し事、どうするのー? まさか隠し続ける気?」
と、挑発するように聞く。
「ノーラン様。だから、誰にだって隠し事はありますから!」
「あのね、ルシェ。お菓子を隠してる、みたいな、どうでもいいことと、ビーさんの隠し事は全然違うからねー」
あ、やっぱり聞こえてたのね! さすが、エルフもどき。耳もいいのね……。
じゃなくて、私のとっておきの隠し事が、どうでもいいことですって!?
「数日、待ってください。自分の口から言います」
真剣な顔で宣言するルビーさん。
「いや、だから、隠し事なんて言わなくていいわよ、ルビーさん」
と、私はあわてて止めた。
が、私の言葉をまるっと無視して、ノーラン様とルビーさんのやりとりが続く。
「じゃあさ、ビーさんの歓迎会で、どーんと発表したらー? うん、おもしろそう」
「わかりました」
と、覚悟を決めた顔でうなずく、ルビーさん。
「でも、ルビーさんの歓迎会は神殿関係者だけでする内輪の会です。ノーラン様は招待されませんし、関係ないですから」
と、私が釘をさした。
「え、ぼく、呼ばれてなくても行くよー」
「いや、やめて」
と、思わず本音がでた。
ノーラン様とエリカ様が一緒にいたら、また、面倒なことがおこりそうだもの。
「ルシェがひどーい。それに、アリシアさんとも、もう少しでお別れだから、行きたーい。そうだ、結婚祝いに、ぼくのとっておきの品物を持っていくから、行ってもいいよね? アリシアさん」
「うわ、お祝いくださるんですか? 嬉しい! ノーラン様からのとっておきの品なんて何かしら!? 楽しみにしていますから、どうぞ来てください」
と、満面の笑みで喜ぶアリシアさん。
アリシアさん、品物につられましたね……。
3
お気に入りに追加
457
あなたにおすすめの小説
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。
天災
恋愛
美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。
とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
サラシがちぎれた男装騎士の私、初恋の陛下に【女体化の呪い】だと勘違いされました。
ゆちば
恋愛
ビリビリッ!
「む……、胸がぁぁぁッ!!」
「陛下、声がでかいです!」
◆
フェルナン陛下に密かに想いを寄せる私こと、護衛騎士アルヴァロ。
私は女嫌いの陛下のお傍にいるため、男のフリをしていた。
だがある日、黒魔術師の呪いを防いだ際にサラシがちぎれてしまう。
たわわなたわわの存在が顕になり、絶対絶命の私に陛下がかけた言葉は……。
「【女体化の呪い】だ!」
勘違いした陛下と、今度は男→女になったと偽る私の恋の行き着く先は――?!
勢い強めの3万字ラブコメです。
全18話、5/5の昼には完結します。
他のサイトでも公開しています。
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる