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危険!
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そこへ、ドアをノックする音がした。
私は、そそくさとノーラン様から離れて、ドアをあけた。
アリシアさんとルビーさんが立っている。
「ルシェル、ルビーさんと見学してもいい?」
と、アリシアさん。
「もちろん、待ってました! 席は用意してますから! どうぞおふたりとも入って!」
私はドアをあけて、2人を満面の笑みで招き入れた。
はあ、ノーラン様の変な話で混沌としていた空気が、一掃されるようね…。
ノーラン様とミケランさんに向かい合うように、アリシアさんとルビーさんを誘導する。
そして、私が真ん中に立ち、まずはご紹介。
「こちらが、新しく聖女になられたルビーさんです。今日はアリシアさんと一緒に私が結界の魔石に守護の力をこめるところを見学してもらいます」
そして、今度はルビーさんにむかって言った。
「こちらは、魔術院の魔術師長ノーラン様と魔術師のミケランさんです。私が守護の力をこめる時は、魔術院から結界の魔石をこのお二人に持ってきていただき、同席していただいています」
まあ、正確には仕事をしているのは、ミケランさんだけですが…。
と、心の中で付け加える。
すると、そこで、ルビーさんが2人にむかって、ご挨拶をした。
「ルビー・ロランと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
そう言って、完璧な美しい笑みをうかべた。
え、私には向けてくれない笑顔だわ! ノーラン様、ずるい!
そう思った時、ノーラン様が、すーっとルビーさんに近づいて、ルビーさんの真ん前にたった。
そして、顔を近づけて、…って、えええ?
近い、近い、近い!
「ちょっと、ノーラン様?!」
思わず、私は声をあげる。
が、ノーラン様は私を無視して、ルビーさんの顔に更に自分の顔を近づけた。
ルビーさんがぎょっとしたように、固まっている。
私は、あわてて、ノーラン様のジャケットをひっぱった。
そして、なりふり構わず叫ぶ。
「こら、ノーラン! 初対面のレディに、一体、何をしているの?!」
「うん、ルシェ。でも、ちょっと待って…」
そう言いながら、ノーラン様はびくともしない。
そのうえ、ルビーさんに顔を近づけたまま、スンスンと匂いをかぎはじめた。
これは俗に言う、変態という生きものかしら?!
偽エルフで魅了しまくる危険人物だとは思っていたけれど、まさか、そっち方面の危険もあったなんて!!
「こら、ノーラン! やめなさい! 離れなさいっ!」
私が叫ぶと、やっと、ノーラン様が、ルビーさんから離れた。
ノーラン様は全く悪びれず、小首をかしげて、ルビーさんを見た。
「ルビーって、なんか君にしっくりこない名前なんだよねー? だから、君のことは、ビーって呼ぶことにするね。それと…」
そこまで言って、ノーラン様は、ルビーさんに向かって、それはそれは艶やかに微笑みかけた。
瞬間、ぞわっとした。
美しいけれど、何か企んでいる笑みよね…?
「君、…ううん、ビーは、おもしろいね…。ばらしてもいいけど、…今はだまっといてあげる。何が望みかはわからないけれど、やれるところまで、やってみなよ。でも、ひとつだけ、忠告。ルシェを傷つけたら許さない。ルシェをいじめていいのは、ぼくだけだからね。それ以外なら何してもいいよー」
は…? ノーラン様は一体、ルビーさんに何を言っているのかしら?
ちっとも意味がわからないわね…。
私は、そそくさとノーラン様から離れて、ドアをあけた。
アリシアさんとルビーさんが立っている。
「ルシェル、ルビーさんと見学してもいい?」
と、アリシアさん。
「もちろん、待ってました! 席は用意してますから! どうぞおふたりとも入って!」
私はドアをあけて、2人を満面の笑みで招き入れた。
はあ、ノーラン様の変な話で混沌としていた空気が、一掃されるようね…。
ノーラン様とミケランさんに向かい合うように、アリシアさんとルビーさんを誘導する。
そして、私が真ん中に立ち、まずはご紹介。
「こちらが、新しく聖女になられたルビーさんです。今日はアリシアさんと一緒に私が結界の魔石に守護の力をこめるところを見学してもらいます」
そして、今度はルビーさんにむかって言った。
「こちらは、魔術院の魔術師長ノーラン様と魔術師のミケランさんです。私が守護の力をこめる時は、魔術院から結界の魔石をこのお二人に持ってきていただき、同席していただいています」
まあ、正確には仕事をしているのは、ミケランさんだけですが…。
と、心の中で付け加える。
すると、そこで、ルビーさんが2人にむかって、ご挨拶をした。
「ルビー・ロランと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
そう言って、完璧な美しい笑みをうかべた。
え、私には向けてくれない笑顔だわ! ノーラン様、ずるい!
そう思った時、ノーラン様が、すーっとルビーさんに近づいて、ルビーさんの真ん前にたった。
そして、顔を近づけて、…って、えええ?
近い、近い、近い!
「ちょっと、ノーラン様?!」
思わず、私は声をあげる。
が、ノーラン様は私を無視して、ルビーさんの顔に更に自分の顔を近づけた。
ルビーさんがぎょっとしたように、固まっている。
私は、あわてて、ノーラン様のジャケットをひっぱった。
そして、なりふり構わず叫ぶ。
「こら、ノーラン! 初対面のレディに、一体、何をしているの?!」
「うん、ルシェ。でも、ちょっと待って…」
そう言いながら、ノーラン様はびくともしない。
そのうえ、ルビーさんに顔を近づけたまま、スンスンと匂いをかぎはじめた。
これは俗に言う、変態という生きものかしら?!
偽エルフで魅了しまくる危険人物だとは思っていたけれど、まさか、そっち方面の危険もあったなんて!!
「こら、ノーラン! やめなさい! 離れなさいっ!」
私が叫ぶと、やっと、ノーラン様が、ルビーさんから離れた。
ノーラン様は全く悪びれず、小首をかしげて、ルビーさんを見た。
「ルビーって、なんか君にしっくりこない名前なんだよねー? だから、君のことは、ビーって呼ぶことにするね。それと…」
そこまで言って、ノーラン様は、ルビーさんに向かって、それはそれは艶やかに微笑みかけた。
瞬間、ぞわっとした。
美しいけれど、何か企んでいる笑みよね…?
「君、…ううん、ビーは、おもしろいね…。ばらしてもいいけど、…今はだまっといてあげる。何が望みかはわからないけれど、やれるところまで、やってみなよ。でも、ひとつだけ、忠告。ルシェを傷つけたら許さない。ルシェをいじめていいのは、ぼくだけだからね。それ以外なら何してもいいよー」
は…? ノーラン様は一体、ルビーさんに何を言っているのかしら?
ちっとも意味がわからないわね…。
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