9 / 106
何故ですか?
しおりを挟む
あわただしく午前中をすごし、昼食を終え、ついにルビーさんがやってくる時間がせまってきた!
ワクワクがとまらない私。
なのに、ルビーさんをお迎えすることなく、応接室に呼ばれた。
約束の時間よりも早く、王太子様がやってきたそう。
ワクワクしていた気分が下がっていく…。
「ルシェル様、応接室までご案内いたします」
と、今日から私の護衛騎士となったジャックが言う。
ご案内って…知ってるけど? というか、ジャック、どうしたの?
さっきから様子がおかしい。
普段は気さくで、にこにこしてる印象のジャック。
なのに、パキンパキンとした動きで、にこりともしない。
「ええと、普段の感じと違いすぎるけど? ジャック、どうかした?」
廊下を歩きながら聞いてみた。
「俺は、今日から筆頭聖女様の専属護衛騎士として、ルシェルに最大限の敬意を払うことにした!」
「いや…、今までどおりでいいよ? というか、今まで通りのほうがいいよ?!」
「いえ、そういうわけにはいかない! なので、気にしないでくれ。…というか、お気遣いなく、ルシェル様!」
ジャックが、ぴしりと言った。
「あのね、ノアだって、外へでて、人前の時だけ敬語だったし、神殿の中は、今まで通り気楽に話してよ」
すると、ジャックが、私をしっかり見ていいきった。
「親しいノアとはいえ、奴はライバル。筆頭聖女の専属護衛騎士になった以上は、もう、ぜーったいに譲らない!」
めらめらとやる気をだしているジャック。
そんなところ悪いけれど、私の夢も譲れない!
速やかに、ルビーさんに筆頭聖女の役目を引き継がないと!
つまり、遠くない未来、ノアがまた、筆頭聖女ルビーさんの専属護衛騎士になってしまうのよね…。
ということで、短い間になるけど、ごめんなさいね、ジャック…。
と、心の中でしっかりと謝ったところで、応接室の前に着いた。
ドアの前には、顔なじみの近衛騎士のお二人が護衛として立っていた。
つまり、王太子様がこの中にいらっしゃるということ…。
私を見るなり、しゃきんと頭をさげてご挨拶してくれたお二人。
私もご挨拶をお返しするが、隣で、同じように、しゃきんと頭をさげるジャック。
だらっとしたノアの時とは大違いだわ…。
私はひとつ深呼吸をして、ノックをした。
間髪入れず、扉が開いた。え、待ってた…?
「どうぞ、ルシェル様」
迎えてくれたのは、王太子様の従者のアルバートさんだ。
「失礼いたします」
そう言って、応接室に足をふみいれる。
すでに椅子に座り、こちらを向いている王太子様。
まぶしいばかりの黄金の髪の毛は、ゆるやかにウエーブして、瞳の色は、宝石のような濃い紫色。
私も紫色の瞳だけど、うすーい色。同じ系統の色とは思えないほど、王太子様の瞳からは高貴さが漏れだしている。
そして、男女を超越したような美しすぎるお顔。
久しぶりに見ると、まぶしすぎて、直視できない…。目が痛い…。
ということで、もう、帰ってもいいかしら?
できるだけ、ゆっくり歩くけど、王太子様のおられるテーブルまですぐにたどりついた。
アルバートさんが、素早く、椅子をひいてくれた。
「ありがとうございます、アルバートさん」
そう言って、王太子様の真向かいの席にすわった。
そして、王太子様にご挨拶。
「お久しぶりでございます。王太子様」
すると、王太子様は、優雅に微笑んで言った。
「本当に久しぶりですね、ルシェル」
ぞわりと肌が泡立った。
もしかして、王太子様、ご機嫌ななめじゃない?!
顔は微笑んでるけど、全然笑ってないわよね?!
何故ですか?!
ワクワクがとまらない私。
なのに、ルビーさんをお迎えすることなく、応接室に呼ばれた。
約束の時間よりも早く、王太子様がやってきたそう。
ワクワクしていた気分が下がっていく…。
「ルシェル様、応接室までご案内いたします」
と、今日から私の護衛騎士となったジャックが言う。
ご案内って…知ってるけど? というか、ジャック、どうしたの?
さっきから様子がおかしい。
普段は気さくで、にこにこしてる印象のジャック。
なのに、パキンパキンとした動きで、にこりともしない。
「ええと、普段の感じと違いすぎるけど? ジャック、どうかした?」
廊下を歩きながら聞いてみた。
「俺は、今日から筆頭聖女様の専属護衛騎士として、ルシェルに最大限の敬意を払うことにした!」
「いや…、今までどおりでいいよ? というか、今まで通りのほうがいいよ?!」
「いえ、そういうわけにはいかない! なので、気にしないでくれ。…というか、お気遣いなく、ルシェル様!」
ジャックが、ぴしりと言った。
「あのね、ノアだって、外へでて、人前の時だけ敬語だったし、神殿の中は、今まで通り気楽に話してよ」
すると、ジャックが、私をしっかり見ていいきった。
「親しいノアとはいえ、奴はライバル。筆頭聖女の専属護衛騎士になった以上は、もう、ぜーったいに譲らない!」
めらめらとやる気をだしているジャック。
そんなところ悪いけれど、私の夢も譲れない!
速やかに、ルビーさんに筆頭聖女の役目を引き継がないと!
つまり、遠くない未来、ノアがまた、筆頭聖女ルビーさんの専属護衛騎士になってしまうのよね…。
ということで、短い間になるけど、ごめんなさいね、ジャック…。
と、心の中でしっかりと謝ったところで、応接室の前に着いた。
ドアの前には、顔なじみの近衛騎士のお二人が護衛として立っていた。
つまり、王太子様がこの中にいらっしゃるということ…。
私を見るなり、しゃきんと頭をさげてご挨拶してくれたお二人。
私もご挨拶をお返しするが、隣で、同じように、しゃきんと頭をさげるジャック。
だらっとしたノアの時とは大違いだわ…。
私はひとつ深呼吸をして、ノックをした。
間髪入れず、扉が開いた。え、待ってた…?
「どうぞ、ルシェル様」
迎えてくれたのは、王太子様の従者のアルバートさんだ。
「失礼いたします」
そう言って、応接室に足をふみいれる。
すでに椅子に座り、こちらを向いている王太子様。
まぶしいばかりの黄金の髪の毛は、ゆるやかにウエーブして、瞳の色は、宝石のような濃い紫色。
私も紫色の瞳だけど、うすーい色。同じ系統の色とは思えないほど、王太子様の瞳からは高貴さが漏れだしている。
そして、男女を超越したような美しすぎるお顔。
久しぶりに見ると、まぶしすぎて、直視できない…。目が痛い…。
ということで、もう、帰ってもいいかしら?
できるだけ、ゆっくり歩くけど、王太子様のおられるテーブルまですぐにたどりついた。
アルバートさんが、素早く、椅子をひいてくれた。
「ありがとうございます、アルバートさん」
そう言って、王太子様の真向かいの席にすわった。
そして、王太子様にご挨拶。
「お久しぶりでございます。王太子様」
すると、王太子様は、優雅に微笑んで言った。
「本当に久しぶりですね、ルシェル」
ぞわりと肌が泡立った。
もしかして、王太子様、ご機嫌ななめじゃない?!
顔は微笑んでるけど、全然笑ってないわよね?!
何故ですか?!
28
お気に入りに追加
457
あなたにおすすめの小説
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。
天災
恋愛
美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。
とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる