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どうしたの?

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その後、パーティーは途中だったけれど、両親に連れられて、すぐに帰った私。
さすがに色々あって疲れたけれど、ぐっすり眠ったら、翌朝はしゃっきり回復。

お茶会に向けて、闘志がみなぎってきた!

ということで、元気に学園に行こうとしたら、いつもうちの馬車が止まっているところに、なぜか、立派な馬車がとまっていた。

「おはよう、ララ」
と、馬車からおりてきたのはルーファスだ。

「え、ルーファス? おはよう! ……どうしたの?」

「ララをむかえにきたんだ」

そう言って、甘やかに微笑んできたルーファス。

驚く私の手をとり、ぴったり寄り添うようにして、「そのバッグ、僕が持つから」「ほら、足、気をつけて」とか、過保護モード全開で私の世話をやく。

なすがまま、ふっかふかの座席にすわったとたん、馬車がなめらかに動き出した。
真向かいに坐って、微笑みながら私を見つめるルーファスは、窓から差し込む朝日で輝いていて、いつも以上に、天使感が増している。
私はまぶしさに目を細めながら、聞いてみた。

「ええと、ルーファス……。今朝は、なんで、わざわざ迎えにきてくれたの……?」

「あの王女が、この国にいる間は、ララの学園への送り迎えは僕がするよ。ララのご両親にも承諾してもらってるから」

「え……? でも、ルーファスのところからだと、遠回りになるのに。私は大丈夫だよ」

「いや、僕が心配で、全然大丈夫じゃないから。だから、そうさせて。それと、ララ、昨日はパーティーで嫌な思いをさせてごめん」

「ちょっと、なんで、ルーファスがあやまるの? っていうか、私のほうが、ルーファスにお礼を言わなきゃだよ。ルーファスとルーファスのご両親のおかげで、本当に助かったから。ルーファス、あの時、そばにいてくれてありがとう」

私の言葉にルーファスが首を横にふった。

「いや、僕の判断ミスだ。あの王女を甘く見すぎてた。ララに王女を接触させないですむよう、この1週間、ララと会うのを我慢してたんだ。それでパーティーもやりすごせると思ってた。でも、昨日の王女の様子を見たら、どうやら、あの第二王子と一緒に……というか、第二王子を従えて何か企んでいるようにしか思えない。しかも、やけにララに絡んでいくのも気になる」

「あ、ルーファスもそう思ったんだ。私も何か企んでそうに思ったんだよね。それに、ひきこもっていた王子妃が、いきなりお茶会を開きたいと思うのかってことも気になるし……」

「王子妃のほうは、とりあえず、母に任せてみようと思う」

「レーナおばさまに?」

「ほら、国王の命で母が茶会を手伝うことになっただろう? 打ち合わせをしないといけないから、茶会の前に話す機会を作るって言ってた。少し話せば、なにかわかると思うよ」

「でも、レーナおばさまは大丈夫なの? 今の王子妃が、一体、どんな考えを持ってるかわからないから、すごく心配なんだけど……」

「ああ、それなら、心配しないで。打ち合わせっていっても、母が第二王子の屋敷に行くことはないから。それに、王子妃とふたりだけで会うこともない。母にとって安全な場所でしか会わないから」

「それなら、良かった……! まあ、でも、王女様が何を企んでようが、お茶会の場所がルーファスのお屋敷に変わったから、変なことはできないよね。守りはばっちりだし。第二王子の屋敷なんて絶対に足を踏み入れたくないから、ロイド公爵様が提案してくれて、本当に良かった」

私の言葉に、ルーファスの紫色の瞳がゆれた。
なんだか、悔しそう……。

「本当はララをこんなことに巻き込みたくなかったんだ……。でも、親ばかの国王があんなことを言いだした以上、あの状況下では父の案でのりきるしかない。あとで、父に怒られたんだ。ララを隠すだけでは守れないって。敵をおびきよせて、つぶすくらいの気概を見せろ。臆病になるなって」

「え……? ロイド公爵様って、そんなこと言いそうにないから、びっくりした……。いつ会っても、にこにこしていて、優しいから」

「優しい? ララには好かれようとして本性隠してるからね」

「本性って、頼りがいあるってことでしょう。親しみやすいし、素敵な方だと思う」

「へえ。ララにはああいう感じが素敵に見えるんだ……ふーん、そうなんだ……」

そう言うと、美しい笑みを浮かべて、私をじっと見つめてきたルーファス。
顔は微笑んでるのに、なんだか、馬車の中がひんやりしてきた感じがするんだけど……。

なんて考えている間に、馬車は学園に到着した。
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