シロとクロのはなし

ぽんちゃん

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みておいで③

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ボクは思わず耳を下げた。
トラさんは自動車が来てもあわてることのない、とても優雅な動きで道路の半分を渡りきって、自動車を1つ、また道路の半分を渡るのでもう一つ、自動車をよけて向こう側へ渡ってしまった。
「す、すごい」ボクは感動で言葉が出なかった。興奮したクロは「すごいよ!トラさん!!ボクにも教えてよ!」と今にも道路に飛び出してしまいそうだ。
「おーまてまて」と再び道路を渡ってこちらへ戻ってくるトラさん。
「お前たちにはまだ早い。まずは道路にはうかつに近付かないことを教えておきたかったんだ。」
つまらない!とクロはトラさんのしっぽや耳や首元にかぶり付き、ダダをこねた。
「ならばお前たち、今日はキジ狩りに行こうか、キジは旨いんだ…それに大きい。エサ場のみんなと分けても腹いっぱいになるんだぞ。」トラさんはあごをグルグルと鳴らしながら、よだれを垂らしている。
『行こう!』ボクもクロもしっぽをピン!と立てて、歩き出したトラさんについて行った。
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