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あぁ!アリス様、お許しを!!
俺は全てを悟ってしまった…。て、全てを悟れる人間なんかいるかい!?
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「キミは何でそんなに危険察知能力が低いのかな~?」
ミルドレットに連れられて城のたぶん真ん中当たりにあるであろう広場にやってきた。何故「あるであろう」などと不確かな物言いなのかと言うと、それはこの城が思った以上に広すぎて構造がまるで分からないから。ここまで来るのだって10分以上はかかっている。
「危険察知能力ってそんな、俺はただ質問しようとしただけだし」
「あのね、ケン。アリスに冷たい視線を送られたら、その時は素早く行動をしないとダメだよ。死ぬより恐ろしい罰が待ってるからね?」
ミルドレッドは両腕を抱き抱えながらわざとらしく震えて見せた。
「そんな大げさな…死ぬと言えばさっきの話、何で男は首輪がないとダメなんだよ?」
「あぁ、それね。それは自分の目で見た方が分かるんじゃないかな~…ほら、丁度良い所に」
ミルドレットが指さした方向にはゲームに出て来そうなゴッツい、けど、出すところはしっかり出したちょいエロな鎧を着た女の子たちに囲まれた上半身裸の男が連れられてきた。男はヒドく怯えているようだ。
「何が始まるんだ?」
「よく見ておくと良いよ、ケン。この広場はボクたち番犬の訓練場でもあるけれど、処刑場でもあるんだ…見せしめとしては最高の場所だからね」
「処刑?!」
処刑という言葉を聞いて、グロテスクな場面を想像した。
が、鎧美女達は何か呪文を唱えると男の首輪が外れただけだった。
「た、頼む!助けてくれ!!」
男は泣いて鎧美女の脚に縋っていた。
うわー、大の男が情けない。女に捨てられたからってあんなに泣いちゃって…。
「何もあんなに泣かなくてもな~?」
ミルドレットは何も答えない。それどころか、とても暗い面持ちで男を見ていた。
突然、フゥーッと空から何か冷たい空気が流れ込んできた。
「なんだ?」
見上げると、さっきまで雲だった者が人の形になりフワリフワリと男の元に近付いてくるのだ。
男は頭を抱え「死神がきた!もう終わりだ…」そう言い、全身の力を抜いてダラリと地面に崩れてしまった。
男に「死神」と言われた「何か」は男の元にたどり着くころには女性の形に姿を変えて、男をその胸に包み込むと優しく口づけをした。すると、男は激しく痙攣して見る見るうちに体が灰へと変わってしまった。
「何か」は美味しかったと言わんばかりに唇を人舐めすると、またフワリフワリと元の雲に戻ってしまった。
それは一瞬の出来事で、俺は一部始終をただ呆けて見ているだけだった。
「…ン……ケン!!」
ミルドレットに肩を揺さぶられ、ハッとして我に返る。
「今の、何だったんだ?」
「説明はあとで、ピース達がくるよ。逆らわないように、僕の後ろにいるんだよ。」
ミルドレットに連れられて城のたぶん真ん中当たりにあるであろう広場にやってきた。何故「あるであろう」などと不確かな物言いなのかと言うと、それはこの城が思った以上に広すぎて構造がまるで分からないから。ここまで来るのだって10分以上はかかっている。
「危険察知能力ってそんな、俺はただ質問しようとしただけだし」
「あのね、ケン。アリスに冷たい視線を送られたら、その時は素早く行動をしないとダメだよ。死ぬより恐ろしい罰が待ってるからね?」
ミルドレッドは両腕を抱き抱えながらわざとらしく震えて見せた。
「そんな大げさな…死ぬと言えばさっきの話、何で男は首輪がないとダメなんだよ?」
「あぁ、それね。それは自分の目で見た方が分かるんじゃないかな~…ほら、丁度良い所に」
ミルドレットが指さした方向にはゲームに出て来そうなゴッツい、けど、出すところはしっかり出したちょいエロな鎧を着た女の子たちに囲まれた上半身裸の男が連れられてきた。男はヒドく怯えているようだ。
「何が始まるんだ?」
「よく見ておくと良いよ、ケン。この広場はボクたち番犬の訓練場でもあるけれど、処刑場でもあるんだ…見せしめとしては最高の場所だからね」
「処刑?!」
処刑という言葉を聞いて、グロテスクな場面を想像した。
が、鎧美女達は何か呪文を唱えると男の首輪が外れただけだった。
「た、頼む!助けてくれ!!」
男は泣いて鎧美女の脚に縋っていた。
うわー、大の男が情けない。女に捨てられたからってあんなに泣いちゃって…。
「何もあんなに泣かなくてもな~?」
ミルドレットは何も答えない。それどころか、とても暗い面持ちで男を見ていた。
突然、フゥーッと空から何か冷たい空気が流れ込んできた。
「なんだ?」
見上げると、さっきまで雲だった者が人の形になりフワリフワリと男の元に近付いてくるのだ。
男は頭を抱え「死神がきた!もう終わりだ…」そう言い、全身の力を抜いてダラリと地面に崩れてしまった。
男に「死神」と言われた「何か」は男の元にたどり着くころには女性の形に姿を変えて、男をその胸に包み込むと優しく口づけをした。すると、男は激しく痙攣して見る見るうちに体が灰へと変わってしまった。
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それは一瞬の出来事で、俺は一部始終をただ呆けて見ているだけだった。
「…ン……ケン!!」
ミルドレットに肩を揺さぶられ、ハッとして我に返る。
「今の、何だったんだ?」
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