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どれだけ稼ぎが悪くても、幼女に飼われる趣味はない!!

子犬様の祟りでしょうか?

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全てが鉄で囲まれたお部屋、それがろ・う・や♡
とってもヒンヤリとしていてサディスティックな感じがする。
そして今の俺の服装、それはハ・ダ・カ♡
首には大型犬が付けるであろう首輪がはめられている。
「なに?このSM的なプレイ空間…全然嬉しくない…」
そこまで言いかけて思わずハッとした。これは、まさしく子犬様の祟りではないでしょうか!?鬼の形相で怒りをあらわにした俺に苛立った子犬様が、まさしく鬼のような所業を今、俺に成しているのでは??
…とか、バカな事を考えてみる。
一旦、落ち着こう。冷静になろう。

いや冷静になったところで意味はないのだが。だって、どう考えても、噛まれて気絶した俺が誰かに監禁された、危ない状況には変わりないのだから。


「……へ……」
「………」

男女の話し声と足音が近付いてくる。
それらは俺がいる牢屋の前までやってきた。
男の方は見たことのない…まるで中世ヨーロッパ時代の貴族のような格好に、真っ赤なダッサい帽子をかぶり、両手を擦りながら女の方にヘラヘラと不気味に媚びを売っている。
女の方は…いや、女の子?見た目は12~3才位の女の子だ。金髪ロングの髪を2つに結び、真っ黒な膝上5㎝的な感じのワンピース姿。白い肌に青い瞳がいかにもな美少女だった。


「いかがですか?アリス様。これは最近拾った雑種でして、雑種にしては珍しい髪と瞳が真っ黒な犬種なのです。」

「ふーん、これ名前はあるの?」

アリスと呼ばれたこの女の子は明らかに俺を見て、「これ」と言った。
それだけじゃない。そっちのオッサンも「犬種」だの「雑種」だのと言っていた。
違うよね?俺は人間だよね?なんて失礼な奴らめ。
俺は不機嫌な顔で2人を睨み付けた。
オッサンは慌てた様子でズボンのポケットから鞭を取り出した。
「お前!アリス様に向かってなんて無礼な!」その言葉とともに鞭が打たれる。
バチィ!!と牢屋の柵の部分に当たった。
ばーか!あたらないっつーの…………バチバチバチィ!!
「がっっあ!!」突然、体中に電気が流れ、俺は跪く体勢になった。
「なんだ…これ…」
「何を言っている?超教鞭を知らんのか?お前はどこの雑種だ?」オッサンは鞭を手のひらでパシパシさせながら怪訝な顔を向けてくる。
「超教鞭?なんだそれ?というか、ここはどこなんだ?」俺が色々質問をしたのが気に食わなかったのか、「煩い!」とまた超教鞭なるモノを振り落とした。
バチィ!!とした音のあとに、体中に走る電流。めちゃくちゃ痛い。
「…名前は?」
俺が鞭打たれる所を黙って見ていたアリスが口を開いた。
「アリス様、このようなバカ犬に名前なぞ…」
「お前に聞いていないわ、シュナイダー。それから『これ』をそんなに鞭打たないで貰えるかしら?犬が犬を鞭打つ様は滑稽で不愉快だわ。」
アリスは腕組みして、まるで上からオッサンを見下すような圧をかけている。
「早く答えなさい。あなたの名前は?」
「俺は犬塚健一、言っとくが犬ではなくて人間だ。」チラッとこちらを見て名前を尋ねてきたアリスに、俺は答えた。

「ふーん」アリスはニヤッと口の端をあげて笑うと、「口答え出来るのね」と小さく呟いた。
「決めたわ、これにする。」
『は???』オッサン…もといシュナイダーと俺は息ぴったりで言葉が重なった。
「犬塚健一、アンタは今から私のモノよ。」アリスはイタズラな笑顔を浮かべた。
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