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黒色発光ダイオードの開発に成功 千葉電波大
しおりを挟む黒い光を放つ黒色LED(千葉電波大提供)
千葉電波大学工学部の研究グループは29日、黒色発光ダイオード(LED)の開発に成功したと発表した。消音技術に用いられる逆位相の原理を光に応用することで「黒い光」を実現した。
グループでは光が音と同じ波としての性質を持っていることに着目。消音スピーカーに使われる逆位相の波をLEDから発することで光の波を打ち消し、「黒い光」が出せるのではないかと考えた。
LEDはアルミニウムガリウムヒ素など使用する素材が発する色を決定する。特に窒化ガリウムを用いて青い光を出す青色LEDの開発に携わった日本人研究者3人が14年にノーベル物理学賞を受賞したことは記憶に新しい。
15年から基礎研究に取り組んでいたが、今年8月、周囲の光に合わせて逆位相の光を発する素材を発見したことが黒色LED開発の決定打になった。実験器具でカルメ焼きを作ろうとしていた研究員が、黒い霧がかかったような試験管に偶然気付いたのがきっかけだったという。
黒色LEDは他のLEDと同じく長寿命・低消費電力が特徴。これまで闇を作るには夜が更けるのを待ったり、暗幕を張ったりして光を遮るしかなかったが、実用化すれば日中でも手元だけ暗くする黒色LED電球などへの応用が考えられる。
同日、動画サイトに公開した実験映像ではスイッチが入ると蛍光灯で照らされていた黒色LEDの周囲が暗くなり、まるで黒い光が放出されているかのような奇妙な光景が映し出された。
研究を主導した千葉電波大の天崎修造教授は「黒い光が発せられた瞬間、(ノーベル賞授賞式が行われる)ストックホルムでスピーチをしている自分の姿が浮かんだ」とノーベル賞受賞に自信を見せた。だが「部屋を暗くしたければ遮光カーテンでよいのでは」と記者から指摘されると、黒色LEDが消えているにもかかわらず、天崎教授の表情はみるみるうちに暗く陰っていった。
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