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免許講習受講の住職、突然悟りを開く 長野・呪曼寺

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 長野県呪曼寺の双六迎牟住職(86)が、仏教の最終目標とされる「涅槃(ねはん)」に入ったとして、注目を集めている。きっかけは運転免許の更新時に受ける高齢者講習。「半世紀以上修行しても無理だったのに」と、本人も首をかしげる。

 双六住職は5月26日、運転免許更新のため、地元の運転免許センターで高齢者講習に参加。指導員による説明を聞いたあと、安全運転に関するビデオを視聴している最中、突然悟りの境地に達したという。「様々な煩悩から解放されて、頭の中がこれまで体験したことがないほど清々しく澄み渡った」と話す。

 免許更新と脳機能の関係について調べた『永遠の退屈』の著者・萩原太郎さんによると、指導員の話を聞いたり、ビデオを見たりしている受講者の脳波は極めて微弱で、疑似的な死を体験している状態になるという。

 「密室に閉じ込められた人間は、暇をつぶしたり、居眠りをしたりする習性がある。しかし、講習会場ではスマートフォンの操作や居眠りに、『再講習』というペナルティが課せられるため、ただ時間が過ぎることだけを考えざるを得ない。このような無の精神状態が継続することで、脳波が衰えた結果、願望や欲望の先にある無我の境地に行き着きやすくなるのではないか」と、萩原さんは分析する。

 「座禅でも同じ効果を得られるが、修行という名目がある分、かえって無我には達しにくい。免許の更新手続きとは本質的に何の関係のない、安全講習の純粋な無意味さが、悟りを導く重要な要素だろう。」

 双六住職は受講後、更新したばかりの免許証をその場で返納。自宅のベンツ8台も全て売却した。「煩悩が袈裟(けさ)を着て歩いているような人だったのに、今は後光が差して見える」と、近隣住民も驚きを隠せない。

免許更新時の講習は「無」の精神を養うという
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