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7.神官の罪

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 記憶が蘇ると、この子たちのことも思い出せた。もっとも、グレース時代はそれぞれの顔と名前まで覚えていなかったけれど。

 神官様が身寄りのないシスター見習いを冷遇していると知って少しだけ気になったので、たまに仕事を手伝いに行ったり、街で買ってきた食べ物を渡したりしていたのだ。

 仕事以外で人を気遣うのが妙に恥ずかしくて、わざと素っ気ない態度を取っていた天邪鬼な自分の姿も一緒に蘇る。

 グレースはきっと、自分で思うよりもずっと不器用な人間だった。

 神殿の仕事なんて仕方なくやっているだけだと思っていたけれど、本当は人々からお礼を言われるたびに、周りの人たちから褒められるたびに嬉しかった。

 本音では聖女として働く自分も、神殿の仲間も、国民達のことも好きだったのだ。

 だから、仲の良かったシスターたちや、慕われていたはずの国民に罵られ、冤罪で処刑されることに堪えられなかった。

 自分は本当に罪を犯した悪女なのだと思い込むことで、心の均衡を保とうとしたのだ。


 そこまで考えて私は頭を押さえる。

 ……自分のことながら、かわいそ過ぎるでしょ……。テレンスも愚民共も、私を信じなかったシスターたちも本当に腹立たしい。

 私はぎゅっと拳を握りしめた。そして、目の前のヘレンとコーリーと、扉の外からこちらを覗き込むマギーに顔を向ける。

「ヘレン、コーリー、マギー。私、神官様を絶対に引きずり下ろしてやるわ」

 低い声でそう言うと、三人は一斉に同意する。

「ええ、やってやりましょう!」

「神官様を成敗しないとね!」

「私たちも全力で協力するから!」

 三人は私の言葉に迷いなくうなずいてくれた。彼女たちの顔を見て改めて決意する。

 私はテレンスのことを許さないわ。グレース時代の恨み、絶対にはらしてやるから。
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