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7.神官の罪

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「私がグレースと……」

「もちろんいい意味でだよ。見た目は全然違うのに、顔つきや雰囲気がなんだか似てるんだ」

 ヴィンセントはそう言うと、目を細めて愛おしげに私の頬を撫でる。

 その顔は、とても国民を売ろうとして処刑された悪女を思い浮かべている顔には見えなかった。

 ヴィンセントのアイスブルーの綺麗な目。その透き通った目をじっと見ていたら、以前どこかで同じ色を見たような、そんな記憶が頭をかすめる。

「ヴィンセント様……」

「ちょっと長くいすぎちゃったな。そろそろ神殿に戻ろうか」

 ヴィンセントはそう言って私を抱き上げる。

 聞きたいことはたくさんあったけれど、なんだか胸が詰まって、何も言葉にできなかった。


***

 神殿に戻ると、テレンスがにこやかに、しかし目だけはぎらぎら光らせて待っていた。

 テレンスは私のヴィンセントを交互に見て、私が何か余計なことを言っていないか疑っている様子だった。

 私は引きつった顔のテレンスに笑顔を返してやる。

 私は言われた通りにヴィンセントにはいいことばかり話してあげたので、安心していいのに。本当のことを明らかにするのは、まだ後だ。

「おかえりなさいませ、エヴァンズ公爵、シャーロットちゃん。散歩は楽しかったですか?」

「はい、久しぶりにシャーリーと話せてよかったです。な? シャーリー」

「はいっ、ヴィンセント様! とっても楽しかったです!」

 私がそう言いながら首に抱き着くと、ヴィンセントは嬉しそうに笑う。

「それはよかったです。それでは、そろそろシスター見習いのお仕事が始まるから、シャーロットちゃんはお部屋に戻ろうか」

「はぁい」

「お忙しい中ありがとうございました。私はこれで失礼します。シャーリー、がんばるんだぞ」

「はい、ヴィンセント様。シャーリーはがんばります!」

 ヴィンセントは名残惜しそうに私を床に降ろすと、寂しげな顔をして去って行った。

「じゃあ、戻ろうか。シャーロットちゃん」

「はぁい、神官様」

 私はテレンスに連れられ、応接室を後にした。
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