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7.神官の罪
④
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「特に聞いていないです。グレースのことは何も」
「そうか……。小さな子に処刑された人間の話はしないよな」
ヴィンセントは少し残念そうな、それでいてどこかほっとしたような顔で言う。
私にはその反応が不思議だった。グレース時代、ヴィンセントとは面識がなかったはずなのに、なぜ彼はグレースを気にするのだろう。
気になった私は、少しだけ探りを入れてみることにした。
「神官様からは何も聞いてませんけれど、ヘレンたちからは少し聞きました」
「え? シスター見習いの子たちから?」
「はい。グレースはいい人だったなんて言うんです。仕事が終わらないとこっそり手伝ってくれたり、食事を持ってきてくれたりしたなんて言って……。おかしいですよね。グレースは悪女のはずなのに」
そう言いながら、ヴィンセントの表情をじっと見つめる。どこか複雑な顔をしていた彼の目に、途端に光が差すのがわかった。
「そうか! そうだよな、グレースはやはり優しい人だったんだ!」
「……ヴィンセント様、もしかしてグレースと知り合いだったんですか?」
「えっ? いや、知り合いではないよ。グレースは私のことなんて知らないと思う」
もしかすると覚えていないだけでグレース時代もヴィンセントと会ったことがあるのかと思い尋ねてみるが、ヴィンセントはすぐさま首を横に振った。
しかし、「グレースは」という言い方が気にかかる。
「ヴィンセント様のほうは知っていたってことですか?」
「あ、ああ。グレースはルーサ王国の聖女だったからね。もちろん知っている」
ヴィンセントは少し慌て顔になって言う。私はじろじろと彼の顔を見た。
「やけにグレースの味方をしますね」
「そうだろうか。……シャーリーとグレースが少し似ているからかもしれないな」
私の疑わしげな視線を受けて、ヴィンセントは小さく微笑んで言う。
探りを入れてやるつもりだったのに、突然の言葉にこちらのほうが驚かされてしまった。ヘレンたちといい、私にはそんなにグレースの面影が残っているのだろうか。
外見は全然違うし、この姿では無邪気な子供らしいキャラを作っているはずなのに。
「そうか……。小さな子に処刑された人間の話はしないよな」
ヴィンセントは少し残念そうな、それでいてどこかほっとしたような顔で言う。
私にはその反応が不思議だった。グレース時代、ヴィンセントとは面識がなかったはずなのに、なぜ彼はグレースを気にするのだろう。
気になった私は、少しだけ探りを入れてみることにした。
「神官様からは何も聞いてませんけれど、ヘレンたちからは少し聞きました」
「え? シスター見習いの子たちから?」
「はい。グレースはいい人だったなんて言うんです。仕事が終わらないとこっそり手伝ってくれたり、食事を持ってきてくれたりしたなんて言って……。おかしいですよね。グレースは悪女のはずなのに」
そう言いながら、ヴィンセントの表情をじっと見つめる。どこか複雑な顔をしていた彼の目に、途端に光が差すのがわかった。
「そうか! そうだよな、グレースはやはり優しい人だったんだ!」
「……ヴィンセント様、もしかしてグレースと知り合いだったんですか?」
「えっ? いや、知り合いではないよ。グレースは私のことなんて知らないと思う」
もしかすると覚えていないだけでグレース時代もヴィンセントと会ったことがあるのかと思い尋ねてみるが、ヴィンセントはすぐさま首を横に振った。
しかし、「グレースは」という言い方が気にかかる。
「ヴィンセント様のほうは知っていたってことですか?」
「あ、ああ。グレースはルーサ王国の聖女だったからね。もちろん知っている」
ヴィンセントは少し慌て顔になって言う。私はじろじろと彼の顔を見た。
「やけにグレースの味方をしますね」
「そうだろうか。……シャーリーとグレースが少し似ているからかもしれないな」
私の疑わしげな視線を受けて、ヴィンセントは小さく微笑んで言う。
探りを入れてやるつもりだったのに、突然の言葉にこちらのほうが驚かされてしまった。ヘレンたちといい、私にはそんなにグレースの面影が残っているのだろうか。
外見は全然違うし、この姿では無邪気な子供らしいキャラを作っているはずなのに。
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