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7.神官の罪

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「シャーリー! 会いたかったよ!」

 応接室に着くと、私の姿を見るなりヴィンセントが駆け寄ってきた。ヴィンセントは私を抱き上げ、いつものように頬ずりする。久しぶりにすりすりされてちょっと痛い。

「ヴィンセント様、こんなに朝早くにどうしたんですか?」

「いや、シャーリーが住み込みで頑張っているんだから邪魔してはだめだと耐えていたんだが、こらえきれなくなってしまって……」

 ヴィンセントはちょっと恥ずかしそうにそう言う。それにしたって、まだ日も昇りきらないうちから来ることはないだろう。

「シャーリーはまだ眠いです」

「そ、それは申し訳なかった。起こしてしまってごめんね」

 私が抗議すると、ヴィンセントはおろおろした様子で謝る。


「エヴァンズ公爵、シャーロットちゃんはとてもよく働いてくれていますよ。礼拝に来た人々からの評判もいいんです」

 少し離れたところで見ていたテレンスは、こちらに近づいてくると、先ほど私に見せた態度とは打って変わって丁寧な口調で言った。

「そうなんですか。それはよかった! 神官様、お忙しい中こんな時間に来てしまいすみません」

「いいえ、エヴァンズ公爵でしたらいつでも来てくださって構いませんよ。シャーロットちゃんも会いたいでしょうし」

 テレンスはそう言いながら、「ね、シャーロットちゃん」とにこやかに言う。豹変ぶりが不気味だ。

 私はヴィンセントに向かって笑顔で言った。

「はい、ヴィンセント様に会いたかったです! ヴィンセント様、これからお外に散歩に行きませんか? 久しぶりに二人で歩きたいです!」

「お散歩? それはいいね! 神官様、少しの間シャーリーを連れ出しても大丈夫ですか?」

 ヴィンセントは嬉しげな顔でテレンスに尋ねる。

「え、ええ。構いませんよ」

 テレンスは若干引きつった顔で了承した。二人になって私が何かヴィンセントに言いつけないか警戒しているのだろうか。心配するくらいなら、あんな扱いしなければいいのに。

「ヴィンセント様とお散歩、楽しみです!」

「ははっ、楽しみだな。シャーリー。神官様、少しだけ行ってきますね」

「はい……。いってらっしゃいませ」

 テレンスは引きつった顔に精一杯作ったらしい笑みを浮かべて言う。

 私が部屋を出るときには、威圧するように見られた。私はちょっとおもしろくなって、テレンスにひらひら手を振りながら出て行った。
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