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3.ヒロインが来た
①
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「フェリシア!」
休み時間になると、僕はフェリシアの席まで駆け寄った。フェリシアは心なしか青白い顔でこちらを見る。
「エルランド様……」
「まさか本当に当たるなんて!君は予知能力でも持っているのか!?」
興奮気味に尋ねると、フェリシアは少し寂しそうに笑った。僕ははっとして付け足す。
「転校生が来るってことと、名前のことに関してだけね。僕は彼女を見ても何も思わなかったよ」
「それはまだ会ったばかりだからですわ」
フェリシアは苦笑いでそう言う。しかし、僕は納得がいかない。確かに可愛らしい人だけれど、この先僕がフェリシアを捨てて彼女を選ぶとは到底信じられない。
「それとエルランド様。あまりその話は大きな声で言わないでくださいね」
「あ、ああ。すまない」
僕は慌てて謝った。確かに、こんな不思議な話を大声でしていたら怪しまれるに決まっている。
「フェリシア。じゃあ、人目を気にせず話せるところに行こう。授業が始まるまでまだ時間もあるし」
「え?ええ、構いませんけど……。クリスティーナと話さなくていいんですの?皆さん、彼女の周りに集まっていますわよ」
フェリシアは視線を横に向ける。クリスティーナの机の周りには早速人だかりができていた。珍しい転校生に皆興味津々のようで、矢継ぎ早に質問をしている。
「いや、いいよ。彼女と話したい人はたくさんいるみたいだし」
「他の方に取られてしまいますわよ?」
「何を言っているの?僕はクリスティーナじゃなく、フェリシアと話したいんだ」
僕が思ったままに言うと、フェリシアは目を見開いた。そして顔を赤くして俯いてしまう。フェリシアはそんな言い方はずるいわ、とか、こんなの今だけなんだからだとか、ぶつぶつ呟いていた。可愛らしい反応に胸がきゅんとなる。
堂々とじゃれついてくるフェリシアも可愛かったけれど、ちょっと自信なさげなフェリシアも最高に愛らしい。いや、早く僕がフェリシアを愛していることを信じて欲しくはあるのだけれど。
「わかりました。では、行きましょうか」
「ああ、行こう」
僕はフェリシアを庭まで連れだした。
花壇に囲まれたベンチに腰掛けながら、フェリシアは口を開く。
「エルランド様、でもこれでわかってもらえましたよね。私が言っていたことが夢ではなく、事実だったと」
フェリシアの声は真剣そのものだ。僕も真面目な顔で言う。
「ああ。君の言ったことが正しかったようだ。けれど、僕がクリスティーナを好きになって婚約破棄を言い渡すことなんて絶対にないよ」
「けれど、ゲームではそうなっているのです……!」
フェリシアは必死の様子で言う。本当にそのゲームとやらは一体なんなんだろう。予知夢の一種なのだろうか……。
「フェリシア!」
「きゃっ」
僕はフェリシアの手を両手で握りしめ、彼女の目を見つめた。フェリシアは頬を赤らめてあわあわしながらこちらを見ている。
「君がとても不安に思っていることはわかった。全て今までの僕の曖昧な態度が原因だ。君を不安にさせないために、これからは四六時中君と一緒にいることにする」
「そ、そこまでしていただかなくても……。本当にエルランド様のせいではないのですわ!」
「じゃあどうしたら君は元気を取り戻してくれるんだい?そうだ。僕はクリスティーナと一切関わらないようにしよう。それなら好きになりようがないだろ」
名案を思い付き、弾んだ声でフェリシアに告げる。これなら彼女を心配させずに済むのではないだろうか。同じクラスだから多少の会話は発生してしまうかもしれないが、必要最低限以上の話は一切しないように気を付ければいいのだ。
フェリシアは青ざめた顔でふるふる首を横に振る。
「いいえ、そんなことしていただかなくても。私はエルランド様とクリスティーナの仲を引き裂きたいわけではないのです。エルランド様の気持ちが変わったら、潔く身を引くつもりなのですわ」
僕とクリスティーナの仲って、フェリシアは一体何を言ってるんだろう。つい数分前に会ったばかりで一言も口を聞いていないと言うのに。
「エルランド様。今にわかります。そうだ、同じクラスのハヴェル様やダーヴィト様、貴方の二人のお兄様をよく見ていてください」
フェリシアは真剣な顔で言った。
休み時間になると、僕はフェリシアの席まで駆け寄った。フェリシアは心なしか青白い顔でこちらを見る。
「エルランド様……」
「まさか本当に当たるなんて!君は予知能力でも持っているのか!?」
興奮気味に尋ねると、フェリシアは少し寂しそうに笑った。僕ははっとして付け足す。
「転校生が来るってことと、名前のことに関してだけね。僕は彼女を見ても何も思わなかったよ」
「それはまだ会ったばかりだからですわ」
フェリシアは苦笑いでそう言う。しかし、僕は納得がいかない。確かに可愛らしい人だけれど、この先僕がフェリシアを捨てて彼女を選ぶとは到底信じられない。
「それとエルランド様。あまりその話は大きな声で言わないでくださいね」
「あ、ああ。すまない」
僕は慌てて謝った。確かに、こんな不思議な話を大声でしていたら怪しまれるに決まっている。
「フェリシア。じゃあ、人目を気にせず話せるところに行こう。授業が始まるまでまだ時間もあるし」
「え?ええ、構いませんけど……。クリスティーナと話さなくていいんですの?皆さん、彼女の周りに集まっていますわよ」
フェリシアは視線を横に向ける。クリスティーナの机の周りには早速人だかりができていた。珍しい転校生に皆興味津々のようで、矢継ぎ早に質問をしている。
「いや、いいよ。彼女と話したい人はたくさんいるみたいだし」
「他の方に取られてしまいますわよ?」
「何を言っているの?僕はクリスティーナじゃなく、フェリシアと話したいんだ」
僕が思ったままに言うと、フェリシアは目を見開いた。そして顔を赤くして俯いてしまう。フェリシアはそんな言い方はずるいわ、とか、こんなの今だけなんだからだとか、ぶつぶつ呟いていた。可愛らしい反応に胸がきゅんとなる。
堂々とじゃれついてくるフェリシアも可愛かったけれど、ちょっと自信なさげなフェリシアも最高に愛らしい。いや、早く僕がフェリシアを愛していることを信じて欲しくはあるのだけれど。
「わかりました。では、行きましょうか」
「ああ、行こう」
僕はフェリシアを庭まで連れだした。
花壇に囲まれたベンチに腰掛けながら、フェリシアは口を開く。
「エルランド様、でもこれでわかってもらえましたよね。私が言っていたことが夢ではなく、事実だったと」
フェリシアの声は真剣そのものだ。僕も真面目な顔で言う。
「ああ。君の言ったことが正しかったようだ。けれど、僕がクリスティーナを好きになって婚約破棄を言い渡すことなんて絶対にないよ」
「けれど、ゲームではそうなっているのです……!」
フェリシアは必死の様子で言う。本当にそのゲームとやらは一体なんなんだろう。予知夢の一種なのだろうか……。
「フェリシア!」
「きゃっ」
僕はフェリシアの手を両手で握りしめ、彼女の目を見つめた。フェリシアは頬を赤らめてあわあわしながらこちらを見ている。
「君がとても不安に思っていることはわかった。全て今までの僕の曖昧な態度が原因だ。君を不安にさせないために、これからは四六時中君と一緒にいることにする」
「そ、そこまでしていただかなくても……。本当にエルランド様のせいではないのですわ!」
「じゃあどうしたら君は元気を取り戻してくれるんだい?そうだ。僕はクリスティーナと一切関わらないようにしよう。それなら好きになりようがないだろ」
名案を思い付き、弾んだ声でフェリシアに告げる。これなら彼女を心配させずに済むのではないだろうか。同じクラスだから多少の会話は発生してしまうかもしれないが、必要最低限以上の話は一切しないように気を付ければいいのだ。
フェリシアは青ざめた顔でふるふる首を横に振る。
「いいえ、そんなことしていただかなくても。私はエルランド様とクリスティーナの仲を引き裂きたいわけではないのです。エルランド様の気持ちが変わったら、潔く身を引くつもりなのですわ」
僕とクリスティーナの仲って、フェリシアは一体何を言ってるんだろう。つい数分前に会ったばかりで一言も口を聞いていないと言うのに。
「エルランド様。今にわかります。そうだ、同じクラスのハヴェル様やダーヴィト様、貴方の二人のお兄様をよく見ていてください」
フェリシアは真剣な顔で言った。
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